リフォーム 暮らし・住まい

住宅業界を直撃した「ウッドショック」とは リフォーム・新築計画は延期したほうがいい?

kurashino

2019年に発生した新型コロナウイルスの感染爆発により、世界中で人や経済の動きに大きな影響が出ています。直接的な影響を受けている観光業や飲食業に加え、実は建築業界もジワジワとそのあおりを受けています。いま、まさに起きている「ウッドショック」といわれる現象です。
1970年代に発生したオイルショックでは、原油の供給ひっ迫や価格高騰により、経済全体が大きな影響を受けました。では、ウッドショックとはいったいどんな現象なのでしょう。
この記事ではウッドショックの内容と、今後のリフォームへの影響についてご紹介します。

ウッドショックとその原因

新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中の日常が一変しました。これにより特に大きな変化があったのが、就業形態です。ロックダウンや休業要請、外出自粛要請を受け、多くの企業が在宅ワークへシフトチェンジしました。この変化は郊外に住宅を購入する人、在宅ワークに合わせてリフォームする人を爆発的に増やすことにもつながっています。これは人々のなかに、会社へ通勤する必要がなくなったぶん在宅時間をより有意義に過ごそうという考えが高まったことがひとつの理由になっています。

下記のグラフはアメリカの住宅建築件数の推移です。パンデミック直後はロックダウンなどの影響により急降下していますが、その後は増加し続け、過去数年間の数値と比べても、はるかに多い建築件数であることが分かります。

経済産業省ウェブサイト「新型コロナがもたらす供給制約 ; ウッドショックの影響」より転載

これにより深刻な影響を受けているのが、木材の需要と供給です。アメリカでは木材の需要が供給量を超えたため、価格が高騰しました。中国などでも同様の動きがあり、結果、世界各国で価格高騰が起こっています。これがコロナの影響で発生した「ウッドショック」なのです。
木材のほとんどを輸入製品に頼っている日本では、この影響を強く受け、一時期は木材・木製品の国内価格が前年に比べ47%も上昇しています。

経済産業省ウェブサイト「いつまで続くウッドショック;価格の高止まりが需要に影響?」より転載

住宅リフォームへの影響は?

現在アメリカでは、ワクチン接種などの医療強化により、住宅以外の娯楽(旅行など)にも消費が移行しつつあるため、木材価格の高騰はある程度の落ち着きを取り戻しているようです。他方、日本への影響は今後どうなっていくのでしょう。

経済産業省ウェブサイト「新型コロナがもたらす供給制約 ; ウッドショックの影響」より転載

ここ最近の住宅売買件数は、2020年8月にピークを迎えて以降、減少しています。これはウッドショックの結果、リフォームや住宅購入をいったん保留するケースが増えたからです。
とはいえ、「郊外に住まいを持ちたい」「リフォームしたい」と考える人が減ったわけではなく、現状はウッドショックの影響を受けて一時的に足止めを食らっているだけの状態といえます。しかし、こうした状態がいつまでも続いては、建設業に関わる中小企業、工務店などでは廃業に追い込まれる事態にもなりかねません。
現在の対応としては、価格が高騰している輸入製材を避け、国産材への切り替えが進んでいます。政府としても、国土交通省や林野庁が連携をして、国産材の利用促進や安定供給に取り組むことを検討しています。(※)
ウッドショックの影響がいつまで続くのかは、さまざまな憶測が出ていますが、建築木材の多くを輸入材に頼っていた日本では、ウッドショックの影響はしばらく続く、という観測も出ているようです。

ウッドショックでのリフォームのタイミングと対策

ウッドショック以のいまは、工事費用が高くなったり、工期が遅れたりなどの問題が発生するケースがあるため、リフォームを思いとどまる人も多いかもしれません。しかし、水まわり設備の故障や雨漏りなど、生活に必要な補修が急に発生する場合もあるため、いつまでもリフォームを見合わせていられないケースもあるでしょう。
ここでは、ウッドショックの現在、リフォームをしなくてはならなくなった場合のポイントをご紹介します。

リフォームする部位を限定する

フルリフォームなどは大がかりな間仕切り変更などを含むため、使用する木材も多くなります。複数個所のリフォームを予定している場合、通常であればまとめてリフォームするほうがお得ですが、ウッドショックの影響がある状況では、工事範囲が広ければ広いほど費用がかさんでしまう状態です。このタイミングでリフォームを行う場合は、どうしてもすぐリフォームが必要な場所に限定する、リフォーム箇所に優先順位を付けるなどして対応しましょう。

木造以外の構造も検討してみる

ウッドショックであっても、木造と比べると鉄骨造や鉄筋コンクリート造はやはり高額です。しかし、耐震性に優れていることや耐久年数が長いなどのメリットも多いため、この機会に木造以外の構造を検討してみるのも良いでしょう。

国産木材を多く取り扱っているメーカーを選ぶ

国産材を作るためには、木を切り出した後に乾燥させるための大型乾燥機など、特殊な機械が必要となりますが、国内ではこうした特殊機械を持つ業者は実はあまり多くありません。また林業全体では人手不足が続いていることもあり、国産材や国産集成材を安定して供給できるメーカーは限られています。しかし、ウッドショック前から国産材を多く扱っているメーカーであれば、より安定した供給が可能でしょう。こうしたメーカーでは、企業努力で木材の価格高騰をある程度吸収し、値段を抑えているところもあります。国産材の使用に実績があるほど、急な価格高騰に対して、より柔軟な対応が可能となるのです。

説明や相談にていねい対応してくれるリフォーム会社を選ぶ

ウッドショック以前の価格との差や木材の価格高騰にどんな対応をしているのかを、きちんと説明してくれるリフォーム会社を選びましょう。現状の説明だけでなく、タイミングとしてどうなのか、という点も正直に話してくれる事業者なら安心感につながるでしょう。さらには、今後の木材の価格の動向に影響されて、契約後に工事価格に追加費用が発生することがないかなども、しっかり確認が必要です。

コロナ禍のリフォームの注意点

新型コロナウイルスの影響で、部品サプライヤーの生産にも支障が生じたため、住宅設備の納期遅延といった問題も発生しています。特に給湯器やトイレなどの水まわり設備に関して、各メーカーでは製品の納期延期を案内しています。

水まわり設備は生活するうえでの重要度が特に高く、故障してからの取換えでは間に合わない場合が高い部分です。現在の設備の動作に不安がある場合は、早期の相談や取り替えの依頼をおすすめします。
なお、ウッドショックや電子部品が不足しているいまは、価格が安定せず先行きも見えないことから、購入や契約を急かしたり、便乗値上げをたくらんだりする悪徳業者が出てくるタイミングでもあります。必ず他メーカーに相見積もりを取るなどし、被害を防止しましょう。

まとめ

木材は建築材料として使用できるまでに約60年もの時間がかかる、とても貴重な資源です。この年数を考えると、ウッドショックの早期の解決は難しいでしょう。しかし、ウッドショックがきっかけとはいえ、国産材に注目が集まっているのは良いことでもあります。国産材をたくさん使うことで、木の間伐や山の管理の助けになり、土砂災害などを防止することにつながっていきます。また、国産材の価値が高かったことの要因に人手不足がありましたが、人気が高まることで新たな人材の流入も期待できるかもしれません。木材がより良く育つための環境への取り組みにも効果が期待できそうです。

日本で育った材木は、日本の気候によく合い、湿気や気温差に強い住宅を建築することができる優れた材料です。輸入材の価格が高騰しているいまは、住宅の構造材を見直すチャンスともいえるでしょう。

なお、国は住宅に国産の地域材を使用することを推奨しており、「地域型住宅グリーン化事業」も展開しています。対象になれば、補助金を受け取ることが可能です。該当する方は、確認してみるとよいでしょう。

HOT

-リフォーム, 暮らし・住まい