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地下室をつくるメリットや条件は? 実は簡単なリフォームのポイントを詳しく解説します

kurashino

読者の皆さんは、地下室にどんなイメージをお持ちでしょうか。
「暗い」「ジメジメしている」「ホコリが舞う」など、もしかしたらあまり良いイメージはないかもしれないですね。
しかし、それは過去のものです。筆者はアメリカと日本で長年にわたりリフォームを生業としてきた経験から、地下室は家を快適にする核になり得ると実感しています。

この記事では、いままで地下室を検討したことのない読者の方にも地下室のメリットを知っていただけるように、地下を最大限に活用するポイントや注意したい点について解説します。

自宅を魅力的にする4つの地下利用法

一般に知られる地下室のメリットは、「狭小地の効率的な利用」「遮音性の向上」「耐震性の向上」です。しかし、それ以上に地下室にはメリットがあります。なぜでしょうか。

実は、地上部のリビングやキッチン、居室には、リフォームの自由度に限界があります。
柱が多い日本の家屋は、間取りを変更するのが難しく、水まわりやガス等の配管が必要なキッチンやバス、トイレなどは特に大きな制約があります。一方、地下は周囲を強靱なコンクリート壁で囲まれるため、大きなスペースを取りやすく制約が少ないのです。そのため有効に活用すれば、地下を中心に家全体を快適かつ魅力的にすることができるでしょう。

ここではまず、私自身が感心した地下室の利用例を4つご紹介します。
これらを組み合わせて最高の地下室と、素晴らしい家にフルリフォームしましょう。

利用法1 ホテルや貸しスペース

地下客室の例(CG) ※筆者作成

アメリカの住宅では、各部屋にそれぞれバス・トイレが付いています。慣れてしまうと、自分用のバス・トイレがない生活には戻れません。
これは来客時にもたいへん便利です。アメリカでは一週間ほど長居するゲストも多いのですが、家主も毎日のようにゲストの相手をすることはありません。お互いのペースで気ままに過ごします。

たとえ気の知れた友人といえども、同じフロアに客室があると過ごしにくいため、せいぜい数日の滞在が限界です。それを避けるために、地下にゲストルームと簡単なキッチンなどを設置します。このようにすると、家主とゲストの導線が完全に分離されます。さらにランドリールームが別にあれば、下着等を自分で洗濯できて便利です。

地下が充実していると、来客がないときには一般の方に貸し出すことで副収入を得られます。
これは、地下室のリフォームコストを比較的短期間で回収できることにもなるのです。もちろん賃貸にもできるので家の利用方法が広がります。投資物件としても扱われるため、売却もスムーズです。

広めの部屋は教室などにも最適です。お料理教室や楽器、英会話などのレッスンが可能になります。
さらに時間単位で、パーティやセミナー用スペースとして貸し出すこともできます。
都心の地価は高額ですが、このような利用をあらかじめ計画しておけば、駅近の物件でも購入費用を回収でき、レンタルする利用者にも喜ばれます。
最近では、レンタルスペースに特化したさまざまなマッチングサイトがあるので、利用者を募集するのも容易です。

利用方法2 プールやジム

地下プールとジムの例(CG) ※筆者作成

アメリカでは、地下にプールを設けると自慢の種になります。屋外プールは、藻が発生したり虫がたまったりするため、定期的に水を換え業者に掃除を依頼する必要があり、維持費が負担となります。しかし、屋内であればこのような問題が解決されますし、日焼けの心配もありません。

なお、地下室をトレーニングスペースとして活用する方法もおすすめです。誰にも見られることもなくトレーニングでき、雨の心配もありません。さらには、ヨガマットを毎回しまう手間も、トレーニングマシンのセッティングを毎回戻す必要も、衛生面での心配もありません。ジム通いのための時間や会費を節約できるうえ、運動を継続するのが楽になります。最近はオンライントレーニングも多くありますので、孤独でもありません。むしろ自宅にいながら、適度なプライバシーを守りつつも、志を同じくする仲間が増えます。

プールには多くの場合に、ジムやサウナ、ジェットバスを併設します。運動後のジェットバスやサウナは大変気持ちがいいものです。最近では日本の深いバスタブを「Japanese soaking tub」と呼び、地下室に設置する人も増えています。

地下室でプールは無理と思われるかもしれませんが、地下は床面積に算入されないため、家の床面積を1.5倍にできます(※1)。
これだけでも地価が高い日本では大きなメリットがありますが、傾斜地などでは、擁壁(ようへき)を作る必要があるぶんコストがかかります。それでも、少しの費用をプラスするだけで地下室が作れるのですから、一考する価値はあるでしょう。

利用方法3 コレクションルームやスポーツバー

地下室のミニバーの例(CG) ※筆者作成

壁一面を好きなスポーツ選手のコレクションで埋め尽くしたり、自慢の古書やワインを展示・保管したり、巨大な水槽を設置したりする利用方法も魅力的です。巨大なスクリーンを見ながら、仲間とひいきのチームを応援すれば、さながらスポーツバーのようになります。コマーシャルタイムには、ビリヤードや卓球などを楽しみます。
地下室ならどんなに盛り上がっても周囲に迷惑をかけず、音は上には伝わりにくいため、家族にも迷惑がかかりません。

日本におけるご近所トラブルの多くが音に関係しています(※2)。お子さんのいる家庭では音を出すことに神経をとがらせているところもあるでしょう。こうした問題を一挙解決してくれるのが、地下室なのです。

意外と知られていないのが、自宅内の快適性の向上です。家が交通量の多い幹線道路や線路に近い場合でも、地下なら静かで快適です。近年増えたネット会議をするにしても外部の音を気にする必要がありません。

大型の水槽はプールと同様に、直射日光で藻が発生したりしますが、地下であれば管理がたいへん楽になります。また、水温維持には多くの電力を消費しますが、地下は外気温の影響を大きく受けないため、冬場にヒーターを稼働させてもさほど電気料金がかかりません。最近のLEDライトは高輝度で省エネのため、部屋全体が明るくなります。床をウォータープルーフにしておけば、メンテナンスもたいへん楽です。

さらにバーカウンターを併設すれば、自分のお気に入りのコレクションをゆっくり眺めながら、おいしいお酒が楽しめます。アメリカでは「家の中で地下が一番好きな場所」という方が多くいます。

利用方法4 家族のための柔軟で安全なスペースとして

地下の多目的ファミリールームの例(CG) ※筆者作成
壁際のみ作り付けの家具として中央部はレイアウトしやすくしています。

アメリカでは、地上部のリビングと地下のリビングのどちらかを家族専用とすることで、来客対策としてプライバシーを確保します。

広い空間を設け、子どもが小さいうちはアスレチックスペースやホームスクールとします。なかには子どもが熱中しているからと、バスケットボールのハーフコートやゴルフ練習場を作る人も。このほかピアノやバイオリン等の楽器の練習室、DJブース、カラオケルームなども見たことがあります。
家族のさまざまな挑戦を支援するための柔軟な空間活用は地下ならでは。これを地上部で、となると、実現が困難です。

おまけに地下室は深いべた基礎で、周囲をコンクリート壁で囲まれているため、家の中でもっとも安全な空間になります。地下で過ごす時間を増やすことは家族の安全を守るうえでも有効です。
フルリフォームの際に耐震性も高めたいというニーズは多いのですが、地下があれば家全体の耐震性が高まります。

地震や竜巻などの際には、シェルターとして利用できますし、温度も一定に保ちやすいので一部をパントリー(食品庫)として利用すれば非常時にも安心です。

地下室を作る際のポイントと避けるべきアイデア

筆者は経験則から、地下に十分なお金をかけて、独立した空間として利用できるようにするのが実は一番コストパフォーマンスが高いと感じています。

では、実際に地下室の活用を行うには、何に注意したらよいでしょうか。ここでは地下の利用で大事なことや避けるべきポイントについて、順番に解説します。

明るくする

当たり前のようですが、完成後に想像以上に暗かったという失敗はよくおこります。明るさは心理的な安全性にもつながるので最重要です。暗い地下室には自然と足が向かわなくなります。

埋め込み式のライトを多めに天井につけることはもちろんですが、自然光は時間の経過がわかるうえ明るさもライトとは段違いです。そこで、十分な敷地があるならばドライエリア(空堀)を作り、大きな窓を設けましょう。ドライエリアの唯一の欠点は雨による浸水です。透明で強度の高いポリカーボネイト等のひさしを付ければ、光を遮らずに雨の浸入だけを防げますし、防犯にもなります。

土地が十分に無い場合でも約1mまでは、地下室を地盤より上に作ることが認められる(※1)ので、半地下にして、窓を作りましょう。半地下は掘り込みが少ない分、施工費の面でも有利です。
窓は室内を明るくするだけでなく換気にも有効で、地下を快適にするために必須です。

ウォークアウトを作る

地下から地上への出入り口をつくることはメリットが大きく、ドライエリアに階段を作るのがベストです。その際、雨水の浸入を防ぐために、地盤面より出入り口を一段高くしましょう。
ドライエリアの階段が難しい場合にはハシゴをつけます。部屋のドアとは別に出口があることで用途が広がるうえ、安全性が高まり、心理的にも安心感を得られます。

なお地下と1階の接続は、プライバシーを確保するためにあえて1カ所がよいでしょう。唯一のドアに鍵をかけるだけで地下と地上を完全に区分できますし、セキュリティも高まります。

除湿と排水対策

地下は施工からの1年間はどうしても湿度が高くなります。一度カビが発生してしまうと、その後もカビに悩まされることが多くなるので注意が必要です。十分な機能のある除湿設備を常時運転しましょう。
また、2台のポンプを設置して、仮に浸水しても確実に排水できるようにします。

湿気対策のために地下から1階に吹き抜けをつくるアイデアは、地下の独立性が下がるのでおすすめできません。

また、地下にガレージを作ると大雨で浸水しやすいため、段差の上に家がある場合を除いては、地下を居室、1階をガレージにすることをおすすめします。1階のガレージは地下より目が届きやすく、防犯面でも安心です。

まとめ

地下を上手に活用すれば、住まいの快適性が格段に高まり、家の価値も上がります。したがって、地下室を視野に入れたリフォームは十分に検討に値します。

政府は防災対策と土地の高度利用を推進しており、たび重なる建築基準法の改正で地下利用の可能性は大幅に拡大しましたが、従来のイメージはアップデートされていません。これはマイホームを差別化するうえで大きなチャンスになります。

唯一解決の難しい施工費が高額というデメリットも、ここで解説したような地下の有効活用によって解決でき、場合によっては利益を生むことも可能です。

地下活用に関する失敗の多くは、事前の調査不足と設計者の経験不足に起因します。経験のある事業者と十分に検討を重ねてから施工することで、ぜひ地下室を備えた夢のマイホームを手にしてください。

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