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「ハザードマップポータルサイト」活用術 自然災害リスクを正しく知り、防災に活かそう

kurashino

自然災害にはさまざまな形があり、地域や土地によってどんな被害が起こりやすいのかは異なります。沿岸部であれば津波、山間部であれば大雨による土砂災害、平野部では河川の氾濫などが考えられます。しかし、これらが災害のすべてではありません。

災害に備えたいと思ってはいても「何から始めてよいかわからない」という人は、災害を知る最初のステップである「ハザードマップの見方」から始めましょう。

災害の備えに対する意識

損保ジャパンのアンケート調査によると、アンケート回答者の多くは、自らが居住する地域で大きな自然災害が発生する確率が年々高まっていると感じているようです。

損保ジャパン「【東日本大震災発生から10年】『災害への備えに関するアンケート』結果|質問2.あなたがお住まいの地域では、地震や台風、大雨などの大きな自然災害が発生する確率が年々高まっていると感じますか?」を基に作図

このように、7割以上が自然災害の発生の高まりを感じているものの、自然災害への備えについては、「特に何もしていない」人が4割近くにのぼっています。

損保ジャパン「【東日本大震災発生から10年】『災害への備えに関するアンケート』結果|質問3.現在、あなたのご家庭では、自然災害への備えを何かしていますか?」を基に作図

「特に何もしていない」と答えた人のなかには、自然災害が起こる確率が高まっていると感じながらも何から始めてよいのかわからない、という人もいるかもしれません。
まだ起きていないことに対して備えることは想像の域を出ないこともあり、漠然としているものです。まずは、災害を自分ごととしてとらえる第一段階として「ハザードマップ」を見ることから始めてみましょう。

ハザードマップとは

「ハザードマップ」とは、どのような場所で、どのような被害が、どの程度起きやすいのかを日本地図上に表示しているものです。

先に紹介した損保ジャパンの調査結果を見ると「ハザードマップ」という言葉をご存じの方は多いようですが、「災害リスクの確認まではしていない」「聞いたことはあるが、見たことはない」という人が4割以上、さらには「閲覧方法が分からない/存在を知らない」人も7%存在しています。

損保ジャパン「【東日本大震災発生から10年】『災害への備えに関するアンケート』結果|質問9.あなたは、「ハザードマップ」などで、ご自宅周辺の災害リスクを確認していますか?」の情報を基に作図

国土交通省が設置している「ハザードマップポータルサイト」では地域の検索、閲覧ができます。どのような情報があるのか、具体的に見てみましょう。

まずは、東京駅周辺の洪水の危険性を表示したものです。中央の+印が東京駅です。東京駅の東側がオレンジ色で覆われていることがお分かりでしょうか。これは、隅田川が氾濫した場合に洪水被害に見舞われる危険性があることを表しています。東京駅西側と比べ、洪水のリスクが大きく違うことが分かります。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」からのキャプション(「東京駅」を表示のうえ、「洪水浸水想定区域(想定最大規模)_国管理河川」を選択して作成)

また、「令和元年東日本台風(台風19号)」で、土砂崩れの大きな被害が出た房総半島は、千葉県南部に「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地すべり」のリスクがあるとされています。濃い青の点が集中していることがお分かりいただけるでしょう。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」からのキャプション(「千葉県」を表示のうえ、「土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)」「土砂災害警戒区域(土石流)」「土砂災害警戒区域(地すべり)」を選択して作成)

このように、ハザードマップポータルサイトでは、地図上の自分の住んでいる地域に対し、災害の種類ごとのリスクを表示させる機能があります。詳細にチェックしてみることで、さまざまな自然災害が他人事ではなくなると同時に、どのような備えをしておくべきかが見えてきます。

ちなみに食料や水の備蓄はどのような災害にも共通します。このほか、たとえば洪水リスクの高い地域の場合は、土のうの準備、高台に避難する経路の確認・確保が必要になるでしょう。また、土砂災害のリスクの高い地域は、家屋が倒壊する恐れがあります。もしもの事態に備え、避難経路はぜひとも頭に入れておきたいところですが、道路が寸断される場合も考えられます。「そうなる前に、避難所に向かう手段を考えておこう」というように、被害が起こるリスクが高いことがあらかじめ分かっていれば、手遅れにならないうちにどのタイミングで、どういう行動をとればよいのか、心積もりができます。

ハザードマップでは避難所の場所も確認できます。最寄りの避難先はどこなのかを知っておくと安心です。
実際、ハザードマップポータルサイトを使用してみると意外な発見もあり、災害に対する理解や備えが進むはずです。

なお、自治体単位でもハザードマップを独自に作成しています。紙ベースで配布もしていますので、いつでも見られるように手元に置いておきたいという方は入手しておくとよいでしょう。入手先もまた「ハザードマップポータルサイト」から検索できます。

食料備蓄について

ここでは、「食料備蓄」の目安を紹介します。備蓄と一言で言っても、いったいどのくらいの量あればよいのかわからない、という人も少なくないでしょう。

内閣府が熊本地震での食料供給について調査したデータでは、避難者と食料供給のピークにズレがあったことがわかっています。

農林水産省ウェブサイト「災害を想定した備えが大切」より転載

避難者数が発災後3日目にピークを迎えている一方、食料供給量のピークは6日目に起きています。つまり、災害発生後4日目から避難所への食料供給のバランスが取れ、その後余剰になっていることが分かります。避難所で「欲しいものと届けられるものにギャップが生じている」といったことが明らかになるのもこの頃でしょう。
よって、避難者数と食料供給のギャップが大きくなる最初の3日間は、それぞれの家庭による備蓄食料がカギになります。ただし、これは最低ラインです。土砂災害によって道路が寸断され、孤立するおそれがある土地に住んでいる人は物資の到着が遅れることを見込み、1週間程度の備蓄が必要になるでしょう。

「避難勧告」は廃止、いま一度災害情報のチェックを

令和3年5月20日から気象庁が発表してきた避難情報の名称が変更され、「避難勧告」が廃止されました。変更後は下記のようになります。

内閣府「新たな避難情報に関するポスター・チラシ」から転載

「避難勧告」の表記が廃止されたのには、「避難勧告」=「避難を勧める」と解釈し、逃げ遅れる人が多いため、より強い表現に変更する必要があったためだと考えられます。
変更後は「避難指示」の段階で、全員が避難する必要があります。その上の段階である「緊急安全確保」はすでに命が危険な状況にあることを示します。

終わりに

自然災害は意外なところで起きる場合もあります。自分の住んでいる地域は沿岸部ではないから津波の被害はないだろう、と思う人もいるかもしれませんが、津波は川を遡上(そじょう)する性質があり、内陸部でも警戒が必要な場所があります。

また、河川が近くにない土地でも、海抜の低い地域では高潮などによる浸水リスクがあり、大雨や台風に警戒すべき地域もあります。

ハザードマップは、普段はあまり意識しない地形などを元に作られています。想像と違う情報もありますので、ぜひ確認しておきましょう。

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