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洗濯の"負担"と"不安"を軽減するベランダリフォーム ~動線の効率化で、誰でも洗濯をしやすい環境に~

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高齢者の健康寿命を延ばし、またその期間を元気に過ごすためには、高齢者自身がなるべく負担なく自立生活を送れることが重要です。
家のことや自分のことをなるべく自分たちで行うことは、身体を動かし、生活の意識を高め、そしてそれが心身の健康につながっていきます。しかし、そうした自立生活のなかに、高齢者にとっての危険や負担が多くあった場合、それがケガや苦労の原因となってしまうことも。

家事のなかでも、特に体力的な負担が大きい洗濯作業は、その動線や設備、ベランダの構造などにより、危険でつらい作業になってしまっている場合もあるのではないでしょうか。
毎日繰り返される家事においては、ほんの少しの改善だけでも、今までよりはるかに負担が減り、家事に対しての気苦労が改善されることも少なくありません。

今回は、こうした洗濯作業の負担を減らすための、ベランダの危険除去のリフォームをご紹介します。

※用語説明

  • ベランダ:2階以上の物干し場(屋根付き)
  • バルコニー:2階以上の物干し場(屋根なし)
  • テラス:1階の物干し場、デッキ

(引用)リフォーム実例 福岡県 Y邸 No.197  住友林業のリフォーム

高齢者の洗濯干しにおける不便さ・危険とは

高齢者の身体的特徴として、洗濯作業に大きく影響するものに「運動機能の低下」や「感覚機能の低下」があります。これらの低下により、「移動する」「重い物を持つ」「段差を認識する」「腕を上げる」などの動作が困難となるのです。
洗濯作業は健康体の若年層にとっても重労働であり、その苦労は十分に理解できるでしょう。

ただ、視力の低下や関節障害などによる動作の不安定さは少し分りづらいかもしれません。
さらに高齢者には、呼吸機能の低下や循環機能の低下などもあり、負担が大きい作業は、身体へのダメージも大きくなります。
また、視力の低下による段差などの認識力の低下が起きている場合は、歩行するだけでも転倒や転落の危険が常にある状態です。

内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)|介護が必要となった主な原因

高齢者では、要介護となる主な原因のなかで、脳や心臓などの疾患や認知症に次いで、関節疾患や骨折が原因である割合が多く見られます。つまり、現時点で健康体であったとしても、転倒のリスクがある状態や関節や筋肉を酷使する環境は、健康を脅かす不安要素となり得るのです。

健康寿命を少しでも長く過ごすためにも、家事で苦労がある場合は、その環境を見直すことが必要となります。

ベランダを安全に利用するためのリフォーム

1階の場合

多くのご家庭の現状として、庭などの地面に物干し台を設置しているケースも少なくないと思いますが、履物を替えて地面に降りることは、高齢者にとって大きな障害と手間になりかねません。
地面と1階の床高には30~50cm前後の高低差があり、まずはこの段差を解消する必要があります。

(引用)リフォーム実例 福岡県 K邸 No.200  住友林業のリフォーム

1階の床高に合わせてウッドデッキ等を設置し、物干し作業での段差を解消しましょう。この場合、テラスと床高はフラットにすることがおすすめです。わずかな段差でも、夕方や雨の日などの暗い時間帯、視力の低下が見られる高齢者にとっては危険な障害となります。
物干し場に屋根や壁が欲しい場合は、屋根付きや囲い付きのサンルーム製品もあります。製品を設置するだけなので、本格的なサンルームを増設できるメリットがあるでしょう。ただし、サンルームの設置は増築にあたるため、行政へ確認申請が必要となります。
既設のウッドデッキに設置できるサンルーム製品もありますが、サッシによる段差ができてしまうことが多く、フルフラットにはなりにくいデメリットがあります。

2階の場合

2階以上に物干し場のあるお住いのなかには、ベランダのスペースが狭いというケースも多いかもしれません。また、床には排水用の溝や勾配が付いており、足元が不安定になりやすく転倒の危険もあることでしょう。リフォームでは、これをフラットに改修し、段差を除去します。

(引用)リフォーム実例 神奈川県 A邸 No.276 住友林業のリフォーム

ベランダ用の床材を敷くことで、ベランダ床高を上げ、段差を軽減できます。
床材にはウッドやタイル等の種類があり、これを勾配に合わせて高さを調整して設置することでフラットな床にリフォームが可能です。ただ、窓自体が床から数cm高い位置に設置されている場合は、この段差も解消する必要があります。
スペースがあれば、スロープ等を設置できますが、幅の狭い廊下などに面している場合は、段差の解消が難しいため、ベランダに出なくても済むよう背の低い物干しを設置するなど、室内から手の届く場所で作業を行うほうが安全でしょう。

物干し場を見直すことで家事の効率化にもなる

2階以上にベランダがある場合は、上階での物干し自体を見直すことが必要です。
家庭内での高齢者の転倒・転落事故の割合は非常に多く、階段の使用もその原因となっています。特に洗濯作業は、重い物を手に持っての移動となるので、危険が多いうえに、より重労働に。上階に洗濯物を干すことは、高齢者にとってあまりにリスクが高すぎるのです。ゆえに、安全な洗濯作業は、2階以上のベランダでは難しいといえるでしょう。

こうしたリスクを避けるためにも、物干しは1階に設置することが最善策です。
また、なるべく洗濯室に近い場所に物干しのスペースを設けると、移動の距離も短く済むので作業の短縮にもつながります。

洗濯・家事室から直接ベランダやバルコニーに出られるような間取りとすると、移動距離が短く、重い物を運ぶ手間が最小限に抑えられます。

(引用)リフォーム事例 大阪府 S邸 No.103洗面  住友林業のリフォーム

移動距離を短くするという危険除去リフォームは、動線の短縮、そして家事の時間短縮にもつながります。家事の苦労や負担が軽減されるため、家族全員が家事を行いやすい環境づくりに役立ちます。

(引用)リフォーム実例 茨城県 S邸 No.40  住友林業のリフォーム

また、屋外に干すことを前提とするのではなく、サンルームなどの日当たりと風通しの良い洗濯室を設け、室内干しを基本とすることもおすすめです。リモコン操作の電動物干しユニットなどを設置すれば、使いやすい位置での物干し作業ができるので、無理な体勢で作業をする苦労もありません。干した後は除湿機やエアコンで乾かせば、花粉や黄砂対策にも。
こうした安全な洗濯動線は、家事の時間短縮・効率化に直結するのです。

上階のベランダは、下半身に障害や関節の痛みが出たりした場合には、いずれ使うことが難しくなることが考えられます。
敷地にどうしても余裕がない場合や、物干し場が道路等に面していて人目が気になる場合は、1階の部屋の一部を洗濯室にする等、階段を使用しない動線を確保することが重要です。

高齢者が家事を安全に行うためには、作業動線の短縮がポイントです。これは他の家族にとっても、作業の効率化に役立ち、家事の時間短縮にもつながる設計です。
高齢者自身が無理なく家事ができるだけでなく、将来介護が必要になったときに、介護者が行うであろう家事の負担を軽減することにもつながります。
サンルームの設置や電動の物干しユニット、エアコンの設置なども、天候や洗濯の時間に左右されること無く洗濯ができるため、介護者の生活を圧迫する心配も起こりません。
家事の効率化・時間短縮化が、高齢者の安全と介護の負担軽減に役立ってくれるのです。

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