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災害から自分の身を守る行動を取るために 「ハザードマップ」活用術

kurashino

近年の日本では、地形や地質、気象などの自然的条件から、地震や台風、豪雨をはじめ、あらゆる災害が発生しやすくなっています。
これはデータからも読み取ることができます。内閣府のウェブサイト(※)によると、日本の国土面積は、世界の0.25%にもかかわらず、マグニチュード6以上の地震回数が20.8%、活火山数7.0%、死者数0.4%、災害被害額18.3%など、災害発生割合は非常に高いのが特徴です。

今回は災害が多いわが国でも、いざというときに命を守る行動の助けになる便利なツール「ハザードマップ」について詳しく解説します。
災害は突然発生するものです。日頃からご家族で「命を守るための対策」について話し合っておきましょう。

ハザードマップとは

ハザードマップとは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用するために、国土交通省によってまとめられた地図です。被災が想定される区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを示しています。

対象となる地域の土地の成り立ちや災害の素因となる地形・地盤の特徴、過去の災害履歴、避難場所・避難経路などのあらゆる防災地理に関する情報が、ポータルサイトで閲覧できます。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト

このハザードマップには、防災に役立つ災害リスクを地図や写真に自由に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」、全国の市町村が作成したハザードマップを地図や災害種別から簡単に検索できる「わがまちハザードマップ」の2種類があります。

ハザードマップは災害の種類によりさまざまな形で提供されています。代表的な8つのハザードマップは下記のとおりです。

ハザードマップの種類

内容

洪水ハザードマップ

大雨により、堤防が決壊したときの浸水範囲や浸水の深さを示した地図に、避難所や避難経路などの情報が記載されたもの

内水(ないすい)ハザードマップ

下水道の雨水排水能力を上回る降雨が生じた際に、浸水の発生が想定される区域や避難場所等の情報を図示したもの

高潮(たかしお)ハザードマップ

高潮災害に対する地域住民の避難や施設整備等の検討のために、浸水が予想される区域と浸水の程度を示した地図

津波ハザードマップ

津波災害に対する地域住民の避難や施設整備等の検討のために、浸水が予想される区域と浸水の程度を示した地図

土砂災害ハザードマップ

土石流、がけ崩れ、地すべりの危険がある箇所や避難場所・避難経路等を図示したもの

火山ハザードマップ

火山噴火によって発生する溶岩流や火砕流、融雪型火山泥流等により被害が発生するおそれのある範囲を図示したもの

宅地ハザードマップ

個々の盛土造成地の形状や土地利用状況、地下水の有無などを踏まえ、大規模盛土造成地の変動予測を表示したもの

地震危険度マップ

地震による市街地の火災延焼の危険性や、道路閉塞にともなう避難や消防活動等の困難性について、街区単位で表示したもの

国土交通省中部地方整備局「ハザードマップポータルサイト」の情報を基に作表

ハザードマップの使い方

ここでは「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」の使い方を紹介します。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」からのキャプチャ

1.「重ねるハザードマップ」の操作手順

  1. ハザードマップのポータルサイトを開き、「重ねるハザードマップ」を選択
  2. 確認したい「災害種別」を選ぶ
  3. 日本地図が表示されたら、上部の検索バーに確認したい場所を入力のうえ、検索する
    たとえば、河川名を入力すると関連する住所が一覧表示されるので、そこから選択することもできます。
  4. 左のアイコンから重ねて表示したい「災害種別」を選択する
  5. 詳細を確認したい場所をクリックする
  6. 避難場所を確認する

たとえば、新大阪駅周辺の洪水の影響を知りたいと考えたときには、災害種別として「洪水」を選択すると、洪水のおそれがあるエリアは、下記のようにマップ上に濃淡のある赤で表示されます。ここに、「土砂災害」や「高潮」を追加することで災害リスクが複合的に表示されます。また、「道路冠水想定箇所」を選択すれば、通行止めになりそうな道路に注意マークが置かれます。このように視覚的に見やすい方法で災害情報を的確に把握できるのが特徴です。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」からのキャプチャ(「新大阪駅」を表示のうえ、「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」「道路冠水想定箇所」を選択して作成)

2.「わがまちハザードマップ」の確認方法

住民の安全のために、全国の各自治体が主体となってまとめたハザードマップが、「わがまちハザードマップ」です。トップページをクリックすると日本地図が表示されますので、そこから調べたい地域の選択、「災害種別」の選択と進んでいくと、自治体の該当するウェブページに遷移し、そこから必要な情報を得られるようになっています。

ハザードマップの活用方法

ここでは、ハザードマップの上手な活用方法について解説します。

1.災害リスクを知る

ハザードマップの活用によって、自宅近くで起こりうるさまざまな災害の危険性を知ることができます。たとえば自宅から遠くない場所に河川がある場合、河川の氾らんによる洪水(浸水)被害が気になるものです。こうした場合は「重ねるハザードマップ」の画面上で「洪水浸水想定区域」と「治水地形分類図」を重ね合わせてみると、水害や液状化の危険性が高い地域かどうかが一目で分かります。

下図の①は「洪水浸水想定区域」を、②は「治水地形分類図」をそれぞれ表示させたものです。この二つを重ね合わせて表示したものが③です。真ん中の下部分の赤い部分が濃くなっていることがお分かりいただけるでしょうか。ハザードマップをこのようにして使うことで、災害のリスクがある土地なのかどうかを知る手立てになります。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」からのキャプチャ(治水地形分類図から「東京首都H27」を表示のうえ、「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」を選択して作成)

2.避難方法や経路、避難場所を検討する

ハザードマップでは「見たい災害種別」から道路防災情報のデータが閲覧できます。大雨で冠水が予想される箇所など通行止めになるおそれがある道路がわかるので、避難時の経路を確認できます。また、避難場所も画面上で表示されるので、万が一、被災した時にはどこの避難場所に向かえばいいのか確認できます。

3.浸水や地震への対策を検討する

ハザードマップを利用して、日頃から浸水や地震への対策を家族で検討しておきましょう。確認しておきたい事項は下記のとおりです。

  1. 災害危険性の確認
  2. 避難先、避難ルート
  3. 避難方法の検討
  4. 地形と災害の関係を知る
  5. 浸水対策の検討(土のうの備蓄等)
  6. 地震対策の検討(耐震化、家具転倒防止等)
  7. 水・食料等の備蓄の検討

あらかじめ自宅付近で予想される災害の危険性を確認してから、避難先や避難ルートなどを検討しておきます。車で移動中に犠牲者が発生したり、避難時の渋滞なども考えられたりするため、避難方法についても話し合っておきましょう。

水害が予想される地域でも特に「早期立ち退き避難区域」に住んでいる方は、災害が発生した段階で行動を起こすことが大切になります。

災害による被害をなるべく最小限に抑えるための準備も欠かせません。水害が予想される区域では家屋の浸水対策として玄関先などに設置する土のうを用意しておきます。場所を選ばずに突然発生する地震に関しては、家屋の耐震化や家具の転倒防止策をしておくなどの対策が必要です。

また、水や食料品の備蓄もしておきましょう。過去の事例によると、災害発生からライフライン復旧まで1週間以上かかったことがありました。災害支援物資が3日以上到着しないことや、物流機能が停止し、小売店に行っても食品が手に入らないことが想定されます。
これら備えとして、首相官邸ウェブサイト(※)では、1週間分の備蓄が望ましいとアナウンスしています。なお、備蓄として保管するのではなく、食べては買い足す「ローリングストック」を取り入れると、いざというときに消費期限切れで食べられなかったという事態を起こすことや食品ロスを出すことがなくなります。

首相官邸ウェブサイト「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」の情報を基に作図

まとめ

今回は、私たちを自然災害から事前に守ってくれる「ハザードマップ」について詳しく解説しました。

新居を建てるために土地の購入を予定している方は、ハザードマップであらかじめリサーチしてから購入されるとよいでしょう。災害の心配が多い土地かどうかがわかります。一方、すでに購入された方や先祖伝来の土地に長く住み続けている方は、自分が住んでいる地域にどのような災害リスクが起こりうるのかをハザードマップであらかじめ調べておけば、万が一のときの安心材料になります。

災害は突然発生するものですが、「備えあれば憂いなし」。自分や家族の命を守るために、ハザードマップを活用して災害対策を万全にしておきましょう。

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