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夫に先立たれた時に役立つ給付金 「寡婦年金」「死亡一時金」とは

kurashino

人はいつか亡くなります。それがいつなのか、誰なのかによっては、人生が大きく変わることもあります。たとえば、あなたの夫が65歳を前にして亡くなってしまったら、あなたの人生にはどのような変化があるでしょうか? 子どもがまだ小さい場合は、あなただけでなく子どもの人生にも大きな変化があるでしょう。子どもが独立していたとしても、あなたの生活はいまと同じような水準を保つことができるでしょうか。「私は保険に加入しているから大丈夫!」という方なら安心かもしれませんが、そのように思えない人の助けになるのが、国からの金銭的保障です。

今回は、夫が亡くなってしまったときに受け取れる「寡婦年金」と「死亡一時金」についてお話しします。

60歳から65歳までもらえる寡婦年金

寡婦年金とは、妻に対しての年金です。ただし、60歳~65歳のみ受け取れる年金なので、あまり役立たないと思われるかもしれません。では、なぜ5年間だけの設定なのでしょうか。

自営業者である第一号被保険者の夫が亡くなった場合、妻は子どもが18歳を迎える年度末まで「遺族基礎年金」を受け取ることができます。さらに子どもの人数によって、子の加算額が遺族基礎年金に上乗せされます。18歳未満の子どもがいる場合には、最低限の保障があるわけです。しかし、遺族基礎年金や子の加算額は多くの場合、子の教育費や家族の生活費に充てられるため、妻自身のために貯金する余裕のないことがほどんどです。しかも、末子が18歳の年度末を迎えると遺族基礎年金と子の加算額の給付が一気に終了します。子どもの大学入学や独立までの生活費は、妻が自助努力でまかなうしかないのです。そこで「せめて60歳からでもお金を受け取れるように」と作られたのが寡婦年金です。
「60歳を過ぎて以前のようにバリバリ働くことができなくなるかもしれない」「退職しなくてはならず、自分の生活費をまかなうことが難しい」。そんな不安を解消できるのが寡婦年金の良いところです。

日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」「寡婦年金」を参考に筆者作成

また、「夫が老齢基礎年金を受け取る前に死亡してしまう」ということは、夫が払い続けた国民年金保険料が掛け捨てになることを意味します。寡婦年金には、このような状況を防ぐ意味もあります。

寡婦年金を受け取ることで生活に多少なりとも余裕が出るでしょう。
これまで子どものため、自分自身のために頑張ってきた妻が、ご褒美のような形で受け取ることのできる年金なのです。

寡婦年金の受給額と受給条件

寡婦年金の受給額は、第一号被保険者の夫が受け取るはずだった「老齢基礎年金の4分の3」です。
受給条件は2つあります。ひとつ目は死亡した夫に、「国民年金の第一号被保険者として保険料を納めた期間」と「国民年金の保険料免除期間」が10年以上あることです。2つ目は「夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫によって生計を維持されていた妻」であることです。ただし、平成29年7月31日以前の死亡の場合、25年以上の期間が必要なので注意が必要です。(※1)
亡くなった夫が、「老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるとき」や、「妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているとき」は支給されることはありません。(※2)

寡婦年金以外の選択肢 「死亡一時金」

寡婦年金はとてもありがたい制度ですが、万能ではありません。夫が国民年金保険料を10年以上納めていなければいけないうえ、婚姻期間も10年以上ないといけません。30代、40代の女性の場合、条件に当てはまらないことも多いのではないでしょうか。

実は、寡婦年金の受給条件に当てはまらない方でも、受け取ることができる給付金のひとつに「死亡一時金」があります。死亡一時金と寡婦年金は、どちらか一方を選ぶことができます。寡婦年金の受給要件に当てはまらない場合は、死亡一時金を選べばいいのです。

死亡一時金も、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らないまま夫が死亡してしまったときに遺族が受け取ることができるものです。
寡婦年金の対象が妻だったのに対し、死亡一時金は生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)が受け取れるので、受給条件の範囲が広くなっています。(※3)

死亡一時金は、死亡日の前日までに「国民年金の第一号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上あること」が条件です(※3)。寡婦年金は10年以上保険料を納めなければならなかったことを考えると、3年で済むのは受給条件がかなり緩やかになったといえます。ただし、死亡一時金はあくまで亡くなった方への葬儀等に充てられるよう作られているため、受給金額は決して多くありません。その額は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円となっています(付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、さらに8,500円が加算されます)(※3)。5年間にわたり夫の遺族基礎年金の4分の3を受け取ることができる寡婦年金と比較すると、かなり少額になってしまうのが実情です。

また、死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です(※3)。これを過ぎると受け取れなくなってしまうため、注意が必要です。

まとめ

今回は第一号被保険者の妻や遺族が受け取れる、「寡婦年金」「死亡一時金」についてまとめました。これらはともに、夫に先立たれてしまった時に役立つ給付金です。しかし、両方とも、あくまで補助的な役割であり、生活費や教育費をまかなうための給付金ではありません。
自営業者等が加入する第一号被保険者は、会社員が加入する第二号被保険者(厚生年金加入者)に比べ、どうしても保障が手薄になってしまいます。遺族基礎年金の受給が終わった後も子どもの大学入学金や学費、生活費などはかかり続けるため、自助努力でカバーするしかありません。それでも知識がないと損をしてしまうというのは、誰にとっても同じといえます。国からの補助を少しでも取りこぼさないようにしたいものです。

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