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離婚すると住宅ローンはどうなる? 名義変更が原則できない理由も解説

kurashino

離婚後の人生では元の配偶者と関わりを持ちたくないと考える人もいるかもしれません。しかし、「住宅ローン」が絡んでいると、そういうわけにはいかない場合があります。婚姻関係がなくなっても契約関係は簡単に解消できないからです。
この記事では、離婚した場合の住宅ローン事情について解説をします。

離婚後の住宅ローン事情

離婚すると今までは一緒だった家計が別になるなど、経済状況が変わってきます。ここでは、離婚後の住宅ローン事情についてデータに基づきながら解説します。

名義人がそのままローンを負担することが多い

法務省の資料(※1)によると、10年以内に離婚を経験した30代から50代の男女のうち、離婚時に住宅ローンが残っていた夫婦は58.1%と約6割を占めています。住宅ローンの残債があった夫婦のうち離婚後もローンの名義人が返済を続ける割合は35.2%となっており、別れたあとも住宅ローンの名義人になっている場合は、そのままローンを負担する傾向があるといえます。

住宅ローンの名義変更は原則として認められない

基本的に住宅ローンの名義変更はできないことになっています。なぜなら、住宅ローンの名義変更は債務者が変わることを意味するため、年収や属性など審査時と条件が違ってしまうからです。
債務者を変更する場合や融資物件の持分を変更する場合は、金融機関の審査が必要です。審査の結果、認められない場合は「融資金の一部を繰り上げて返済する」「新たに債務者を追加しなければならない」など、債務者にとっては都合が悪くなる場合があることを承知しておきましょう。
なお、住宅金融支援機構の場合、無断で融資住宅を他人に譲渡すると契約違反になり、融資金の全額を返済かつ違約金を請求される場合があるので注意が必要です。(※2)

離婚するとこうなる! パターン別にご紹介

ここでは、住宅ローンにまつわる、離婚後の主なパターンをご紹介します。

自宅を売却してローンを返済

離婚時にローンの支払いが終わっていない場合は、自宅を売却してローンを一括返済し、残金を分与するケースが一般的です。住宅ローンを返済するため身軽になり、残金がある場合はきれいに財産分与も済ませられます。新しい人生のスタートを切りやすいといえるでしょう。いわゆる「アンダーローン」のケースです。
しかし、売却しても住宅ローンの残債の方が多い「オーバーローン」の場合も少なくありません。この場合は、任意売却を検討するのもよいでしょう。任意売却は抵当権が設定されている物件でも、金融機関との話し合いにより抵当権を抹消してから売却することが可能です。市場価格とそれほど変わらない金額で売却できる可能性も高いので、住宅ローンの残債を少しでも減らしたい方に向いています。残債が残った場合は金融機関とその後の返済について話し合います。

夫がローンの名義人のまま、夫が住む

ローンの名義人である夫がそのまま住み続け、妻が出ていくというパターンです。住宅ローンの借り入れには、ローンの名義人本人が住むことが要件となっているので特に問題はありません。ただし、妻がローンの連帯保証人になっている場合は、夫のローン返済が滞ると妻に支払いが請求されるので注意が必要です。自分が住んでいないにも関わらず、滞納金を支払わなければなりません。
妻が連帯保証人を外れるには、「新たな保証人を立てる」「夫が住宅ローンを借り換える」「住宅ローン相当額の不動産を担保にする」などの方法がありますが、現実的にはなかなか難しいといえるでしょう。しかし、これらいずれかの方法でなければ、金融機関は連帯保証人の解除を認めることはほぼなく、住宅ローンが完済されるまで不安の種は残り続けます。

夫のローン名義のまま、妻が住む

ローンの名義人である夫が出ていき、妻がそのまま住むパターンも少なくありません。ただ、離婚して「家族でなくなった妻」が引き続き住む場合は、金融機関にあらかじめ相談が必要です。住宅ローンは契約者が住むことが原則なので、契約者である元夫が出て行き、元妻が住み続ける場合は契約違反になる恐れがあります。最悪の場合、金融機関からローンの残額を一括請求される場合もゼロではありません。この場合、夫のローン返済が滞ると金融機関が差し押さえして最終的には競売になってしまうリスクがあります。そうなると妻は出ていかなければなりません。
経済力のある妻の場合は、ローン債務者を夫から妻に変更するのもよいでしょう。金融機関の審査に通れば、自分の持ち家として安心して住むことができます。他の金融機関で自分の名義として新たに借り換え、夫のすべての残債を引き継げば名義変更が可能です。とはいえ、すべての女性が金融機関の審査に通るとは限りません。慰謝料などで夫が引き続きローンを返済する場合は、公正証書を作成してきちんと記録が残るようにすることをおすすめします。

共有名義でどちらかが住む

ペアローンなどで個々に住宅ローンを契約した場合が該当しますが、連帯保証人はお互いがなることが多く、一方が滞納した場合は相手の分まで払わなくてはなりません。夫婦の時はよいですが、離婚して赤の他人になるとキツい契約です。
この場合、住んでいる人の単独名義にして住宅ローンも一本化するのが良いのですが、そもそも2人の収入を合算して審査が通った場合は、単独債務となると負担が大きくなることが考えられます。ひとりでも引き受けられる額でないと、単独借り換えの審査には通りにくいでしょう。共有名義の場合、双方の同意がなければ売却できないので、住んでいない人にとっては厄介なケースといえます。

住宅ローン返済中で離婚する場合の確認事項

住宅ローンが残っている状態で離婚する場合は、ローンの名義や残債、契約内容などを確認しておくことが必要です。「知っているから大丈夫」では何かあった時に困ってしまいます。実際に公的な機関で資料を取得するなど間違いのないよう事項を確かめるようにしましょう。

住宅ローンの契約内容(名義・残債・保証人など)

ひとつ目の確認事項は、住宅ローンの契約内容です。夫主導で契約した場合、妻は詳しい内容を把握していないことがあります。「金銭消費貸借契約書」を見ると、「ローンの名義人」「借入金額」「保証人」などの詳しい情報がわかるので確認しておきましょう。
なお、夫婦の収入を合算して住宅ローンを利用する場合には、「連帯保証型」「連帯債務型」のどちらかを選択することになります。自分が連帯債務者や連帯保証人である場合は、細かい事項についても確認しておく必要があります。
連帯債務は夫婦のいずれも債務者として、返済義務を負います。連帯保証人が妻の場合、妻はあくまで夫の連帯保証人であり債務者ではありませんが、夫が返済できない場合には代わりに支払わなければなりません。どちらにしろ責任が重いので住宅ローンが完済されるまでは不安要素が多いといえます。
残債や返済状況について詳しく知りたいときは金融機関に問い合わせ、正しい情報を把握するようにしましょう。

不動産の名義・資産価値

2つ目の確認事項は「不動産の名義・資産価値」です。不動産の名義が誰なのか、現在の資産価値はどのくらいなのかを調べておくようにします。
不動産の名義は法務局で不動産の登記簿謄本を取得すればわかります。一般財団法人 民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」を利用すれば、インターネットで取得することが可能です。
不動産の資産価値を知りたいときは、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」を使って調べるとよいでしょう。実際に行われた取引で対象不動産に類似した事例を検索することにより、市場価格を調べられます。たくさんの類似例をピックアップするほど、市場価格の相場を把握できます。

まとめ

今回は離婚した場合の住宅ローンの取り扱いについて詳しく解説しました。離婚すると精神的なダメージだけでなく、金銭的にも厳しくなる場合も多いでしょう。住宅ローンの残債がまだ残っている場合は、いろいろと厄介なことが多くなります。事情により離婚を避けられない場合には、なるべく「トラブルの種」をなくしてから新しい人生のスタートを切れるようにしたいものです。

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