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相続手続きの方法とつまずきやすいポイント

kurashino

相続が発生すると、役所に死亡届を提出したり、お葬式の準備をしたりとやるべきことがたくさんあり、故人を偲ぶ余裕がないといいます。特に相続税の申告は複雑なこともあり、事前に詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

国税庁の発表(※1)によると、平成28年に亡くなった人の相続を受けて、相続税の課税対象になった人は、全体の約8%。しかし、たとえ相続税の納付額がゼロであっても、申告しなければ適用できない制度や特例があります。基本的な相続の知識がなければ、申告書にミスが発生するかもしれません。

そこで今回は、相続の手続き方法を中心に、つまずきやすいポイントに触れながら、個人で手続きを行うのか、専門家に依頼するのかの判断ができるよう、解説していきます。

基本的に「相続の手続きの流れ」に沿って行えばよい

相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告し、相続税が発生する場合は納付もしなければなりません。この期限までに間に合わない場合は、加算税と延滞税がかかります。

そのため、個人で相続税の手続きをする場合、相続税がかかるかどうか、期限までに準備が間に合うかどうかの判断が必要となります。その判断をするためには、相続税の手続きを含め、相続ではどのような準備をしなければならないのかを知っておく必要があるでしょう。

<相続の手続きの流れ>

相続税の手続きは非常に複雑でわかりにくい

相続の手続きは多岐にわたります。また、相続財産や相続人の数などによって複雑さが異なります。相続税の申告書だけでも第1表から第15表(※2)まであり、それぞれ必要に応じて提出する必要があります。

一方で、実際に使用する申告書は遺産の種類によるので、「相続人が複雑ではない」「財産が多くない」「財産に不動産がない」といった状況であればあるほど個人で手続きをしやすくなります。

相続が発生したときにしなければならない手続きを、さきほどの<相続の手続きの流れ>の順番にご紹介します。

相続手続きの方法 ~死亡した日から2週間~

死亡した日から2週間は、葬儀の準備に加え、社会保険の資格喪失届や名義変更届が中心となります。病院から死亡診断書を受け取り、市区町村役場に死亡届を提出することから始まります。社会保障の資格喪失届など、公的に必要な手続きは教えてもらえますので、不明な点があれば尋ねてみましょう。

<死亡した日から2週間以内の手続き>

期間・目安

手続き

備考

死亡した日から7日以内  

死亡診断書の受け取り

 

死亡届の提出

市区町村役場に提出

死亡した日から14日以内

健康保険の資格喪失届

市区町村役場に提出

介護保険の資格喪失届

市区町村役場に提出

世帯主変更届

市区町村役場に提出

年金受給権者死亡届

※国民年金以外は10日以内

年金事務所または街角の年金相談センターに提出

※日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は不要

※死亡した人の勤務先経由で提出する場合もあります。

公的な手続きは情報が入りやすい反面、個人的に利用していたサービスなどの手続きは見落としがちです。手続きが必要なサービスには次のようなものがあります。

・携帯電話  ・インターネット(プロバイダ)  ・クレジットカード
・インターネットサービス(動画やECサイトなど) ・ホームページ、SNS
・運転免許証 ・公共料金 ・NHK ・パスポートなど

サービスによっては提出期限を設けている場合もあるので、あらかじめ確認しておくと安心です。また次のステップで必要となる、遺言書の有無の確認、遺産分割協議の準備・遺産分割協議書の作成、相続人の調査などは早めに取りかかっておくと、後々楽になります。

相続手続きの方法 ~死亡した日から3カ月~

死亡した日から3カ月以内に、相続の限定承認、相続放棄の選択をしなければなりません。選択をしなければ単純承認したものとみなされます。それぞれの内容は次のとおりです。

<相続の方法>

単純
承認

プラスの財産、マイナスの財産すべてを相続する。何も選択しなければ単純承認となる。

限定
承認

プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する。マイナスの財産が多い場合に有効。限定承認は、相続人全員で行わなければならない。

相続
放棄

相続財産を放棄する。相続の放棄は相続人が単独で行うことができる。

相続の方法を選択する際に、遺言書の確認や相続財産、相続人の数などが分かっていると判断しやすくなります。単純承認をしたあとに借金が見つかると、借金だけが残ることもありますので、財産一覧を作成するなどの準備を早めにしておくと、どの相続方法が適しているか判断しやすくなります。

相続手続きの方法 ~死亡した日から10カ月~

死亡した日から10カ月以内に、相続税の申告と納付をしなければなりません。期限内に申告と納付ができなければ加算税と延滞税が課せられます。働きながら相続の手続きをしていると、10カ月は意外と短いですので、時間がとれるかどうかも専門家に依頼するうえでの判断材料となるでしょう。

相続の手続きを個人でできるかどうかの判断

ここまで「相続手続きの流れ」を3段階に区切って紹介してきましたが、中にはやらなければならないことが多いと感じた方もいるかもしれません。これまでの流れを踏まえ、個人で手続きの準備が出来るかどうかの判断方法を解説します。

相続についての相談は、目的によって異なります。相続税は税理士、遺言書の作成や遺言書の取り扱いは司法書士・行政書士・弁護士が対応にあたります。なお、遺産分割がととのわないときは弁護士に相談することになります。

一方で、相続を専門に取り扱う事務所は他の専門分野と提携し、相続に関する相談をすべて受けられる体制を整えているところが多くあります。最初は相続手続きを個人で行い、取り扱いが難しいと判断してから専門家にお願いするのもいいでしょう。
個人で手続きが難しい場合とは、次のケースが考えられます。

(1) 相続財産が多い。相続人の関係が複雑

相続財産が多くなると、相続人への分割方法や遺産ごとの評価の仕方が複雑になり、専門家に依頼した方が早く解決する可能性が高くなります。相続人が多い場合や複雑な場合は、それぞれの相続人と連絡を取ったり、戸籍謄本を集めたりしなければならず、想像以上に時間がかかることがあります。

(2) 手続きをする時間がない

所定の書類を提出するためには、届出の有無、書類を届け出る目的、書類の書き方などを理解する必要があります。そのため、十分な時間が取れないと記入漏れなどによる修正で、かえって時間がかかることもあります。

相続の相談の場合、相続財産の額に応じて報酬が決められていることが多いため、料金と手続きの手間を考えて、どちらがいいか検討するといいでしょう。また最初は無料相談などで信頼できる専門家かどうかを見極めることも大切です。出来る限り相続の経験が多い専門家を選びましょう。

相続手続きでつまずきやすいポイント

相続財産に不動産が含まれている場合、不動産の評価をしなければなりませんが、専門家でも評価額が異なることがあります。そのため、個人で不動産評価をして相続税の申告をすると納税額が増える可能性もあります。

また「配偶者の税額軽減(※3)」という制度があります。1億6000万円までは相続税がかからず、超えたとしても法定相続分相当額までは非課税となる制度ですが、この制度を適用したい場合には、相続税がゼロであっても期限までに申告しなければなりません。

ここまで紹介してきましたが、書類の多さや制度の複雑さなどから、個人で正確に申告することを難しいと感じる方もいるかもしれません。

相続税に限らず、相続の手続きをスムーズに進めるためには、なるべく早く準備に取りかかり、市区町村役場や税務署などに直接相談することが一番です。

出典

※1 平成28年分の相続税の申告状況について|国税庁
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/sozoku_shinkoku/index.htm

※2 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h30.htm

※3 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

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