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貯蓄だけでは不安......老後から始められる資産運用の考え方

kurashino

2019年、金融庁が「老後30年間で約2,000万円が不足する」という試算を公表したことを発端に「老後2000万円問題」が話題になりました。これをきっかけに老後の資産に不安を感じるようになった方も多いのではないでしょうか? こうした不安を少しでも取り除きたい思いから、資産運用に関心を示す人も多いのではないでしょうか。

この記事では老後を迎えてからの資産運用の考え方、そのために今から知っておきたいポイントを解説します。

高齢者の所得・支出状況

内閣府が満60歳以上を対象に行った2019年の調査では、経済的な暮らし向きについて「心配していない」と感じている人(「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した人)は全体で74.1%を占めています。

内閣府「令和2年版高齢社会白書(全体版)|図1-2-1-1 60歳以上の人の暮らし向き」より転載

この結果を見ると、老後の生活を不安に感じる必要は一見無さそうに感じます。しかし、65歳以上の高齢者世帯とそれ以外の世帯では、可処分所得に大きな差があるようです。

内閣府「令和2年版高齢社会白書(全体版)|表1-2-1-2 高齢者世帯の所得」より転載

その一方、支出を見ると、65歳以上では他の世帯に比べて医療費が占める比率は1.69倍です。高齢になると、健康の維持にかかる負担の高まることがうかがえます。

総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-|図13 消費支出の構成比」より転載

このように老後は収入が減る一方で医療費などの節約しにくい出費が増えてしまいます。年金などの収入で足りない分は預貯金から支出することになりますが、「老後」はいつまで続くか分かりません。そのため、老後になっても少しずつ資産を増やす方法を考えたいものです。

投資の「ハイリターン」と「ローリターン」〜高齢者に向いた投資は?

では、生活を支えるにはどのような資産運用が考えられるでしょうか。貯蓄額や運用経験によって向いている投資方法は異なりますが、老後は収入が少なくなるため、比較的ローリスクローリターン、かつ運用成果によっては銀行預金の金利を上回る可能性のある以下の3つから検討してみるのが良いでしょう。

1.個人向け国債

個人向け国債とは国が発行する債券で、1万円から購入が可能です。元本割れがなく、3年・5年・10年のなかから運用期間を選べます。銀行窓口で申し込みができるので、初めてでもチャレンジしやすい運用商品のひとつです。金利も0.05%(年率)が最低保証(※1)されているので、それだけでも銀行の定期預金金利の0.0003%と比べて10倍以上です(※2)。そのため、リスクはほぼないという特徴があります。

2.投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金を運用の専門家が株式や債券などに投資し、運用する金融商品です。銘柄によって異なりますが、一般的に1万円前後から購入が可能で、インターネットや銀行窓口、証券会社等で申し込めます。こちらは銀行預金や国債と異なり、運用がうまくいけば、より大きなリターンを得られる可能性があります。ただ、元本保証はないという点に注意が必要です。

3.積立投信(投資信託の積み立て)

積立投信とは毎月一定の額で投資信託を購入する投資手法です。積み立てによる長期的な運用を前提とするため、価格変動リスクの低減効果があります。

このように、一括ではなく積立で資産を運用できる商品もあります。使い道が決まっていない預金がある場合は一括で購入できるものを、そうでない場合は月々の収支から運用に回す金額を決めて投資を行うなど、幅広い選択肢を持ちましょう。
また、これらのなかでひとつだけに投資を行うのではなく、「リスク」と「投資期間」のバランスが良い組み合わせで保有するとよいでしょう。ここで紹介した3つの投資方法の場合、おすすめの組み合わせは以下の2つです。

  • 個人向け国債(長期間・元本保証)と投資信託(中長期・リターンが見込める)
  • 積立投信(長期・リターンが見込める)と投資信託(中長期・リターンが見込める)

このように各商品の特徴を知り、組み合わせることでリスクとリターンのバランスをとることが大切です。

金融商品以外の資産はどうする?

預貯金ではなく、土地や家屋などの資産をうまく活用したい方には、「リースバック」と「リバースモーゲージ」という制度があります。

1.リースバック

自宅を売却しても住み続けられる制度です。売却代金を一括で受け取り、自宅は賃貸として家賃を払いながら住むことができます。

2.リバースモーゲージ

自宅を担保にして、老後資金を借りる制度です。契約者の死後は自宅を売却し、一括返済を行う点が特徴です。

この2つの大きな違いは契約者の死後、自宅が相続されるか、されないかという点です。
たとえばリースバックした家に夫婦二人で生活していて、賃貸契約者の夫が亡くなった場合、その賃貸契約も相続対象になります。相続手続きを行えば妻が家賃を払って住み続けることができます。
リバースモーゲージの場合は契約者が死亡すると自宅を売却し、借入額の相殺を行うため、相続人は自宅を相続できない場合があります。金融機関によって異なるので事前にしっかり確認しましょう。
リースバックやリバースモーゲージで老後資金をまかなうのなら、自宅の相続をどのように考えるかを軸に検討してみるとよいでしょう。

本当の意味で老後に備えましょう

ここまで老後の資産運用や土地・家屋の活用方法をお伝えしましたが、本来、「老後に備える」とは、自分で資産の管理ができなくなった場合や、死後の相続人の生活までを考えて、資産形成と整理をすることです。実際、銀行窓口には生活費のために、毎月、定期預金を解約したり、何度となく印鑑や預金通帳を無くしたりする高齢者が多く訪れます。また、相続手続きのために名前も知らないような親戚数十人から必要書類を集めなければならない遺族の方など、元気なうちに準備をしてこなかったしわ寄せを受ける人は多いものです。
「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないよう、幅広く選択肢を持ち、今からできる資産運用・資産整理を行いましょう。

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