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実家や自宅を貸し出して"大家さん"に 募集から契約までの流れを解説

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空き家となっている実家、転勤で長期不在にする自宅。誰も住まないままにしておくのはもったいないですよね。実際、第三者に賃貸したいと考える人は少なくありません。しかし、そのためには、リフォーム工事をはじめ、借主との賃貸借契約の締結、確定申告など、やらなければならないことも多々あります。

今回は、投資用不動産のオーナー業務を行っている筆者が、賃貸の実務を解説します。

家を貸すには心配な点も多い

空き家のオーナーが、第三者に家を貸し出すにあたり、もっとも心配に思っていることは何だと思いますか?
国土交通省の調査によると、その1位は、「貸し出すには相応のリフォームが必要なのではないか」(47.4%)というもの。それなりにきれいな状態でないと借り手がつかないのでは、と考えていることがその理由です。
「一度貸し出すと、返してもらうのが大変なのではないか」(45.1%)というのも同じくらいの割合で存在していますが、こちらは契約内容をきちんと取り決めしていれば問題はありません。その次の心配ごとは、「入居者のマナーや家賃滞納の対応が大変なのではないか」(43.4%)。確かに近隣トラブルを起こしたり、家賃滞納をしたりする困った入居者もいないとは限りません。
以上、3つは4割以上の人が心配に思っていることですが、どうぞ安心してください。事前にトラブル防止策を講じることによってその種は摘むことができます。

株式会社価値総合研究所「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート 結果概要|P6 1.空き家所有者アンケート(本調査結果④)」の情報を基に作図

リフォームやクリーニングをしてから家を貸し出す

家を貸し出すことが決まったら、入居者が決まりやすくなるようにリフォームやクリーニングをしましょう。物件の設備が古すぎたり、汚れや傷みが目立ったりすると、入居者がなかなか決まらないからです。

リフォームにはそれなりの費用がかかるので、予算と照らし合わせながら必要な箇所を修繕しましょう。築10年ほどの家であれば、壁紙や床の張り替えをするだけでも、じゅうぶん明るい雰囲気になります。
築30年以上の戸建てに多い在来浴室(壁がタイル貼りなど)は、ユニットバスと交換するなど時代に合わせたリフォームをするのもおすすめです。まだ新しくてきれいな場合でも、ハウスクリーニングをしておくと清潔な印象を与えられます。

自宅や実家を貸し出すための方法

持ち家を第三者に貸し出すには、「不動産会社に仲介依頼する」「自分で募集する」の2種類があります。ここでは、それぞれの方法について解説します。

1.不動産会社に仲介依頼をする

手間をかけずに入居者を募集するには、不動産会社に仲介を依頼するのがおすすめです。仲介手数料がかかりますが、入居者審査から家賃保証会社への加入、契約手続きなどをすべて代行してくれます。
なお、仲介手数料は、大家と借主の両方から受け取る場合でも「家賃の1カ月分+消費税」が上限です。内訳は大家と借主で0.5カ月ずつ、あるいは借主が1カ月、大家が1カ月と、割合は自由に決められます。物件の状態が古いなど借り手が見つかりにくい場合は、大家が負担する場合も少なくありません。

仲介を依頼する場合は、賃貸に強い不動産会社を選びましょう。入居者を早く見つけてくれます。1社ではなく複数の不動産会社にお願いするとよいでしょう。信頼できそうな不動産会社であれば、契約後はそのまま物件管理を委託することもできます。
管理会社に支払う管理費用の相場は、1カ月の家賃総額の5~10%前後が一般的な金額です。不動産会社により違いがありますので、委託管理を行う場合は管理費用をまず確認しましょう。

2.自らポータルサイトなどで募集する

オーナー自らが入居者を募集する場合もあります。昔ながらの方法である「入居者募集」の貼り紙を物件に貼ったり、個人も利用できる不動産ポータルサイトに掲載登録したりする方法があります。
自分で入居者を見つけた場合は仲介手数料がかかりません。しかし、契約書の作成や家賃保証会社への加入、入居者用火災保険の加入などすべての事務を自らが行うことになります。

契約書の作成には専門的な知識を要するため、しっかりと調べてからの作成が必要です。たとえば、契約書に「次回の更新時には更新料を支払うこと」と記載されていない場合は、更新時に更新料を借主に請求できません。

家賃の徴収や物件の清掃、入居者に関するトラブルやクレーム管理もしなければなりません。これらの手間と工数がかかることを大変に感じる場合には、不動産管理会社に管理を委託するほうがよいでしょう。

自宅や実家を貸し出すメリット・デメリット

自宅や実家を貸し出すことのメリットは、下記の3つです。

1.家賃収入が得られる

第三者に自宅を貸し出すことにより家賃収入を得られます。たとえば住宅ローンを返済中の場合、家賃を返済に充てることが可能です。誰も住んでいない実家を貸す場合は、そのまま利益となります。

2.家の劣化を防げる

家の劣化を防げるのも大きなメリットです。住宅は誰も住まない期間が長く続くと、老朽化が早まります。人が住んでいると通気性が良くなり、庭の手入れもされるため、家の内外が荒れる心配がありません。

3.再び住める

売却するわけではないので再び住めるのも良い点です。単身赴任から戻った場合には、もう一度住むことができます。

一方、デメリットですが、下記の3つが考えられます。

1.必要経費がかかる

自宅や実家を貸し出す=賃貸業を営むことになりますから、さまざまな経費がかかります。まず、不動産の所有者は毎年、固定資産税や都市計画税、火災保険料などを支払わなければなりません。不動産会社に仲介を委託する場合は仲介手数料、管理業務を管理会社に委託する場合は管理委託料もかかります。さらには、入居者の退去後に発生する清掃費用や原状回復費用、建物の修繕費用なども必要経費の一部です。

株式会社価値総合研究所「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート 結果概要|P6 1.空き家所有者アンケート(本調査結果④)|P4 賃貸住宅の経営シミュレーション②」の情報を基に作図

2.入居者や賃貸住宅の管理をしなければならない

家賃収支の管理や入居者からのクレーム対応を自分で行う必要があります。仕事を別に持っている場合は、必要なタイミングですぐに対応することが難しいことも考えられます。煩雑なこと、突発的なことも多いため、負担に感じることが多いかもしれません。

3.確定申告の義務が発生する

土地や建物を貸して20万円以上の所得金額となったときは、居住地を管轄している税務署に不動産所得として申告することが必要です。

家を貸し出す際の注意点

自宅や実家を第三者に貸し出す際にはさまざまな注意が必要です。ここでは、特に契約や金銭に関する注意点を紹介します。

1.数年間だけ家を貸す場合は「定期借家契約」にする

賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。両者には大きな違いがあり、「普通借家契約」は契約期間が満了しても正当な事由がない限り、貸主側から更新を拒絶することはできません。
「正当な事由」とは、入居者が家賃を何カ月も支払わないなど、貸主との信頼関係が大きく損なわれたときです。入居者の権利が強いため、オーナーが自宅に戻りたくても揉めてしまい難しくなる場合があります。
一方、「定期借家契約」は契約期間の満了によって賃貸借関係が確定的に終了する借家契約です。こちらは普通借家契約のように借主を保護する契約とはなっていません。数年間だけ家を貸すなど、期間限定の場合は「定期借家契約」にすることをおすすめします。

2.原状回復や修繕に関する取り決めをする

入居者とオーナーとのあいだのいざこざとして多いのは、退去する際の原状回復費用や入居中に発生する修繕費などです。
一般的に、入居者の過失による損害は入居者負担ですが、契約書の特約事項などで原状回復や修繕に関する取り決めをしておいたほうが、話し合いはスムーズです。なお、特約事項に記載されている内容は、優先されるべき事項として取り扱われます。
国土交通省では、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をまとめており、経年劣化と通常損耗によって発生する原状回復費用の負担は、原則、オーナーです。しかし、「窓の結露を放置していたため、壁のクロスにカビが発生した」「ドライヤーの落下で洗面器のシンクを破損させた」など、入居者の不注意により発生したものは入居者が負担するものとされています。

3.家賃保証会社に加入する

家賃保証会社には必ず加入しましょう。近年の不動産仲介では連帯保証人の代わりに家賃保証会社への加入を条件とするオーナーが増えています。加入すれば、万が一のとき保証会社が家賃を立て替えてくれるので、家賃滞納が発生しません。自主管理オーナーでも契約できる保証会社もあるので、ぜひ加入することをおすすめします。
管理会社に依頼している場合でも、実際に家賃滞納が発生すると回収は非常に困難です。筆者も何度か所有物件の家賃滞納事故の対応をしましたが、連帯保証人に何度も催促したり内容証明郵便で督促状を出したりと大変な手間や労力、時間がかかりました。当然、あまり気持ちの良い仕事ではありません。その点、家賃保証会社はすべての事務処理を代行してくれるので、無駄なストレスもなくキャッシュフローも安定します。

まとめ

今回は、自宅や実家を貸し出す方法や注意点などについて詳しく解説しました。
個人で第三者に不動産を貸し出すことは、プロの不動産事業者同様、家のオーナーとしての責任や義務を課せられることになります。

自宅や実家を貸し出す際には、契約面に特に注意し、キャッシュフローも考えながら経営するようにしましょう。

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