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「浪費癖」をなんとかしたい! 老後も豊かに暮らすために知っておきたい原因と対処法

kurashino

貯金したくても思うようにできないと悩む人は、世の中に多くいます。とりわけ頭を抱える人の多いのが「浪費癖」です。単なる気持ちの問題だと思われることもありますが、場合によっては脳の問題が絡んでいることもあります。

今回は、浪費してしまう原因と対処法について、ご紹介します。

年収1000万円超でも貯金できていないケースも

老後の生活のためには、2000万円の貯蓄が必要――人生100年とも言われる時代、この「老後2000万円問題」は、多くの人に衝撃を与えました。「そんなに貯金できる人って、実際にどれだけいるの?」と疑問に感じた方も多いはずです。

以下に示すのは、年間収入額1,000万円以上の世帯が保有する金融資産額を表したグラフです。年間収入が1,000万円以上あるにもかかわらず、金融資産が300万円未満の世帯は一定数あり、高年収=貯蓄も多い、という図式が当てはまらないことが分かります。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)|金融資産保有額(金融資産保有世帯)」の統計データを基に作図

また、手取り収入が1,000万円以上あっても、貯蓄「していない」という人もまた上記と同程度いることがうかがえます。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)|年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)」の統計データを基に作図

以上から、年収が高かったとしても、まともに貯金ができていない人も多くいるという現状が浮かび上がってきます。

収入がアップすればゆとりができて、貯金に回せるお金も増えるはずだと考える人もいるでしょう。しかし、いくら収入が上がっても浪費癖を改善できなければ、貯金することが難しいのです。

ちゃんとお金を管理できるようにするには、浪費してしまう原因をハッキリさせたうえで対処していく必要があります。

浪費に走ってしまう原因は?

浪費に走ってしまう原因としてよく挙げられるのが、「ストレス」です。
仕事や人間関係でのストレスがたまってくると、やけ食い、買い物、ギャンブルといった形で派手にお金を使ってストレスを発散するというパターンです。

このほかにも、承認欲求を満たすために浪費してしまうというケースも考えられるでしょう。SNS上で「いいね」をもらいたいからと、いろんなものを買ってきては写真を撮って投稿する、いわゆる"見栄張り消費"を目的に高額なものに手を出していると、なかなかお金もたまりません。

これらはあくまで個人のメンタル的なものですが、浪費の原因はそれだけにとどまりません。たとえば、商品やサービスの売り文句である「期間限定」や「数量限定」「半額」といった言葉に弱いという人も多いでしょう。

人は得をするよりも損をしたくないという「損失回避」の感情が強いことが知られており、損失による精神的なダメージは、得をした喜びよりもはるかに大きいとされています。

「期間限定」や「数量限定」などと言われてしまうと、「このチャンスを逃したら、もう買えなくなっちゃう!」と損失回避の心理が働いてしまい、思わず買ってしまうという人が出てきます。
また、「半額」と聞くと、つい余計に買ってしまうという人も多いものです。この場合、「半額なんてチャンス、そんなにあるわけじゃないし」という損失回避の心理に加え、通常価格に比べてかなり安いというお得感もあります。

価格の比較対象となっているこの通常価格は、買うかどうかの判断に大きな影響を及ぼします。

人は、直前に見聞きした数字に影響を受けてしまうということが知られており、「係留性ヒューリスティック」と呼ばれています。最終的に支払うべき金額だけでなく、通常価格がいくらなのかを事前に見てしまうことで、お得だと感じてしまうのです。その結果、「買っとかなきゃ損だ」という判断につながりやすくなります。

このような人間心理を利用した販売手法というのは多数あり、油断しているとついつい買ってしまうということになりかねません。

浪費癖を改善するためには、個人のメンタル的なものだけでなく、このような不必要に買わせようとしてくる販売手法に対してどのように対応していくのかも大事になってきます。

脳の問題が考えられるケースも

ちょっとした無駄遣いの経験は、誰にでもあることでしょう。これに気が付いたとき、「次からちゃんと気をつけよう!」と、お金の使い方を自分でコントロールできる人もいますが、一方で「がんばっているけど、全然やめられない......」と悩む人もいます。ひどくなってくると、多額の借金を背負いこんでしまうというケースも出てきます。

あまりにも浪費の度合いがひどい場合に疑われるのが、「発達障害」です。
発達障害の人の脳は、思考や意思決定を担う前頭葉の働きが弱いとされています。映像や音声といった外部からの刺激に対して影響を受けやすく、過剰に反応してしまうことも多くなります。その結果、情報の取捨選択や整理がうまくできなくなり、長期的な視点にたって物事を考えることが苦手になります。

発達障害の人は、このような脳の問題を抱えているため、気持ちをコントロールしてなんとかしようとしても、なかなかうまくいきません。

発達障害において浪費癖と関係があるものとしては、「不注意」と「衝動性」があります。不注意では集中力が飛びやすいため、計画から外れてしまったり、余計なものに反応してしまったりがしやすくなります。また、衝動性においては、欲しいと思ったものをガマンできなかったり、後先のことを考えずに即決してしまったりといったことが多くなります。

不注意

・全体を考えることが苦手なため、余計なものを買ってしまう

・計画的に考えることも苦手である

・たまたま目に入ったものに反応してしまい衝動買いしてしまう

衝動性

・欲しくなるとやめられなくなる

・待つことができない

・本当に必要かどうかを考えずに即決してしまう

参考:司馬理英子「大人の発達障害[ASD・ADHD]シーン別解決ブック」(主婦の友社,2020.)P147

このように、脳の一部の働きが弱いことによって生じる不注意や、衝動性によって引き起こされる浪費癖は脳の問題であるため、単に気をつけるという程度では対処するのが難しいものです。

お金を貯められるようにするための対策は?

仕事や人間関係で何かトラブルがあった時に、派手にお金を使ってしまう。
そのようなストレスが原因と考えられるケースでは、いかにストレスに対処できるようにするのかが重要になってきます。ストレスの発散が目的であるならば、運動するなどお金のかからない方法を考えてみましょう。

また、「いいね」をもらいたいからと必要でもないものをたくさん買ってしまうという場合には、承認欲求をいかに手放すのかというのが重要です。自分の自信の無さを他人からの賞賛によって穴埋めしようとしても、結局、自分自身が「自分は、これでいい」と受け入れられなければ、ひたすら他人からの賞賛を求めてしまうということになりかねません。
他人の前で見栄を張ってしまうという場合も同様です。自分と他人を比較し過ぎてしまうのをやめるというのが、浪費をおさえるためにも大事になってきます。

衝動的に買ってしまうという場合には、しばらく時間を置いてから買うかどうかを決めるという方法や、欲しいものからいったん離れるといった方法もあります。
このように時間や空間の間隔を取ることで冷静さを取り戻し、無駄な買い物をおさえることができます。

私たちの普段の生活では、スマホやテレビ、動画共有サービスなど、さまざまなメディアを通して広告が流れてきます。
購買意欲を刺激するように作られた広告を、意志をコントロールする力が弱い発達障害の傾向のある人が見続けてしまうと、欲しいという感情をどうしても押さえ切れなくなります。
これを防ぐために"IT断捨離"するのもひとつの方法です。これらのメディアから距離を取るようにするのです。

まとめ

浪費を防ぐためには、毎月の収入と支出を把握し、毎月いくら貯金するのかを決めておくというのが重要です。とりわけ発達障害でお金の管理が苦手だという人は、いつ、どんな収入や支出があるのかをリスト化しておくと管理しやすくなるとされています。
そうはいっても、このリスト化の作業自体が苦手だという人もいるでしょう。その場合には、自分で無理してやろうとせずに、管理が得意、かつ信用できる人に任せるのもよいでしょう。

思わず浪費してしまう原因は、自分の知らないところに隠れている場合があります。自分はどのような傾向にあるのかを正しく知り、貯金ができるよう対策に講じることが大切です。

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