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甥や姪に奨学金の保証人を頼まれた――注意したいポイントと対処法

kurashino

昨今、日本学生支援機構の奨学金を返還している人が自己破産してしまうニュースを、たびたび耳にするようになりました。

日本学生支援機構の調査(※)によると、平成24年度から平成28年度において、自己破産によって奨学金の債務が免責になった、あるいは保証債務が免責となった件数は1万5,000件を超えています。

▼平成24年度から平成28年度に新たに破産となった件数

  • 返還者本人:8,108件(うち保証機関分が475件)
  • 連帯保証人:5,499件
  • 保証人:1,731件

返還者本人が返済できなくなった8,108件の大多数は、保証人を立てて奨学金を受ける「人的保証」を利用していたことが分かっています。つまり、借りた本人が返せなくなったことにより、連帯保証人や保証人が代わりに返すことになりますが、こうした義務を被る人もまた返還者本人と同等数破産している事実にも目を向けておきたいところです。

今回は、奨学金の保証人について詳しく解説します。親戚から奨学金の保証人を依頼される可能性のある方は、応諾するか否かの判断材料のひとつとして活用ください。

奨学金の保証は2種類

奨学金を借りる際には、保証人を付ける必要があります。保証人制度には、「人的保証制度」と「機関保証制度」の2種類があります。

1.人的保証制度

「人的保証制度」は文字どおり、「人」が保証人となります。ポイントは以下の4点です。

  • 保証人には、「連帯保証人」と「保証人」の2種類があり、責任の重さが異なる
  • 奨学生本人が、日本学生支援機構が定める条件を満たす人に連帯保証人(保証人)を依頼し、引き受けてもらう制度である
  • 連帯保証人と保証人は、所定の書類を機構に提出する必要がある
  • 届け出た連帯保証人、保証人ともに原則変更できない

連帯保証人と保証人の違いですが、前者は奨学生本人と連帯して返還の責任を負う人であり、原則として「父母」がなります。このとき、「債務整理中ではない」「貸与終了時に奨学生が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満である」といった条件があります。

後者は、奨学生と連帯保証人が返還できなくなったときに、奨学生に代わって返還する人です。4親等以内の親族(おじ・おば・兄弟姉妹等)であることが条件です。なお、奨学生や連帯保証人とは別生計でないと認められません。

2.機関保証制度

機関保証制度は、公益財団法人 日本国際教育支援協会の「機関保証センター」を保証人とする制度です。ポイントは以下の3点です。

  • 申し込みは学校(高校)を通して行う ※「人的保障」も同じ
  • 当センターに一定の保証料を支払うと奨学金の申込みができる
  • 機関保証制度に加入すると連帯保証人と保証人は不要になる
  • 奨学生本人が返還を延滞した場合、日本学生支援機構に対し奨学生に代わって残額を一括返済。その後、奨学生に返済分を請求する

機関保証では、万が一奨学生が返済を滞らせても、父母やおじ等近親者が返済責任を負うことはないのがメリットです。

保証人になることで起こりうるトラブル

日頃から慕ってくれる親戚の子の保証人になることで、少しでも役に立ちたいと思われる方もいることでしょう。しかし、万が一にも奨学生が奨学金の返済を滞納してしまった場合には、金銭トラブルへと発展してしまうおそれがあります。ここでは、保証人になることで起こりうるトラブルを見ていきましょう。

1.奨学生が返済できないときは代わりに返済義務を負う

連帯保証人は通常、奨学生の父母であることが条件ですが、父母がいない場合は奨学生の兄弟姉妹・おじ・おば等の4親等以内の親族がなることもありえます。この場合は奨学生本人と同等の返還義務を負うため、延滞事故が発生すれば即座に請求が回ってきます。

保証人も、奨学生や連帯保証人が返済できないときには、代わりに返済をしなければなりません。どちらにせよ、金銭的な保証負担を背負うことになります。

独立行政法人日本学生支援機構「2020年度機関保証制度リーフレット」の情報を基に作図

2.債権回収会社による督促を受ける

奨学生が返還金を滞らせると、保証人も文書や電話などで返済の督促を受けることになります。延滞が長期化すると債権回収会社が回収に動き出し、場合によっては自宅を訪問され、「取り立て」を受けるような事態も起こりうります。こうしたリスクについても考えておくとよいでしょう。

3.長期間延滞が続くと法的措置を執られる

あまりにも長期間の延滞が続くと、最終的には下記のような法的措置を執られ、裁判へと発展することもあります。

保証人トラブルに巻き込まれないためには

普段から仲良く付き合っている甥や姪から、「迷惑をかけないから奨学金の保証人になってほしい」と頼まれると確かに断りづらいかもしれません。しかし、奨学金はある意味、学生が金融機関の審査なしに受けられる教育ローンのようなものであり、通常の金銭貸借契約と同じです。給付金型ではなく、貸与型の場合は卒業後に返済し続けなくてはなりません。借りたお金の金額次第では20年にわたって返済することも珍しくありません。
ここでは保証人トラブルに巻き込まれない方法をご紹介します。

機関保証を勧める

保証人リスクを避けるには、そもそも保証人にならないことです。「人的保証」を必要としない「機関保証」の利用を促してみましょう。

事情を説明してはっきりと断る

「奨学金」といえど保証人になることは、自分が作った借金ではないものの返済義務を負う立場となります。長い年月の間には会社を退職し、セカンドキャリアが始まる方もいるでしょう。年金だけで生活する人も多く、現役時代のように余裕があるとは限りません。
自分の生活に支障をきたすようなことはなるべく避けたいものです。心苦しいかもしれませんが、安易に引き受けられない事情を説明してはっきりと断りましょう。

まとめ~奨学金の保証人は慎重に

奨学金は、経済的に困難な状況にある学生が高等教育を受ける機会を得られる素晴らしい制度です。しかし、あくまでも奨学生の「借金」であるため、保証人となった場合は代わりに返済する義務を有します。

奨学金の保証人は原則、4親等以内の親戚が要件となっており、親戚のお子さんから頼みこまれる方もいるかもしれません。しかし、近年では「機関保証制度」という大変便利な保証制度があります。身内間での金銭トラブルの発生を不安に思う場合は「機関保証」の利用を勧めることもひとつです。自分の未来を自分の力で切り開くことを、前途ある子どもに伝える良い機会にもなるとも考えられます。双方にとってよい選択ができるよう慎重な対応を行いたいものです。

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