お金・資産 将来への備え

人生100年時代に備えて 今からでも始められる世代別の老後資金準備とは

kurashino

平均寿命が延びて「人生100年時代」を迎えたことで、「老後の生活資金をどう確保するか」が人生における課題のひとつになっています。老後に向けてどのような準備をすればいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

老後の生活資金に困らないようにするには、とにかく早く準備を始めることが大切です。老後を迎えるまでの期間が長いほど楽に準備できるため、できれば40代のうちに準備を始めるのが理想です。しかし、50代60代になってからでも、老後資金を準備する方法はあります。

今回は、いまからでも始められる老後資金を準備する方法を世代別に紹介します。

共働きで世帯収入を増やす

どの世代でもいますぐに始められる方法は、共働きで世帯年収を増やすことです。世帯収入を増やすことができれば、より多くのお金を貯蓄や投資に回せるようになります。

労働政策研究・研修機構の資料によれば、大学卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含まない)は、男性は約2.7億円、女性は約2.1億円です。定年まで共働きを続けた家庭は、専業主婦(夫)の家庭と比べて最大で2億円以上の経済的余裕を確保できることになります。

労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2019|P317 図21-1 生涯賃金(60 歳まで注、退職金を含めない、2017 年)」の情報を基に作図

世帯主が会社員として働いている場合、収入を大幅に増やすのは簡単なことではないでしょう。しかし、専業主婦(主夫)をやめて共働きにすれば、すぐに世帯収入を増やすことができます。また、共働きは将来もらえる年金が増える可能性もあります。平均的な収入で40年間就労した男性会社員と専業夫婦の世帯の年金は、月額約22万円(※1)です。
一方で、高齢無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上で夫婦のみ)の毎月の支出は、平均約26万円という試算が出ており、あくまでも試算結果ではありますが、年金収入だけでは毎月の生活費が約4万円不足することになります。

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)家計の概要

しかし、共働きで夫婦ともに厚生年金に加入すれば、もらえる年金が増えるため、加入状況によっては年金だけで毎月の生活費をカバーできるかもしれません。共働きは、世帯主が病気やケガなどで働けなくなったときに、収入が途絶えるリスクに備えることもできます。

「確定拠出年金」や「つみたてNISA」で資産形成に取り組む

日本は低金利が続いており、銀行預金だけで資産を増やすのは難しい状況です。銀行預金よりも有利に運用したい場合は、非課税制度の「確定拠出年金」や「つみたてNISA」を利用して、投資信託を活用した資産形成に取り組みましょう。投資信託は運用をプロに任せることができ、少額から株式や債券などに分散投資ができる金融商品です。できるだけ早く始めて長く運用するほうが、複利効果で資産が増えやすくなるため、40~50代の方に適している方法です。たとえば、毎月5万円を積み立てて、年率3%で運用できた場合の運用成果は以下の通りです。

積立年数

投資元本

運用収益

資産額

5年

300万円

23.2万円

323.2万円

10年

600万円

98.7万円

698.7万円

15年

900万円

234.9万円

1,134.9万円

20年

1,200万円

441.5万円

1,641.5万円

25年

1,500万円

730.0万円

2,230.0万円

30年

1,800万円

1,113.7万円

2,913.7万円

金融庁「資産運用シミュレーション」を基に筆者作成

投資信託は元本保証ではないため、運用状況によっては元本割れするかもしれません。しかし、資産や地域を分散した積立投資を長期間続けると、結果的に元本割れする可能性が低くなる傾向にあります。(※2)
また、投資信託の運用益は通常約20%課税されますが、確定拠出年金やつみたてNISAなら非課税で運用できるため、効率よく資産を増やせます。

人生最後の貯めどきである50代で貯蓄を確保する

子育てが一段落した50代は、人生最後の貯めどきです。国税庁の資料によると、多くの人は60歳以降に収入(給与)が減少する傾向にあります。

国税庁「平成30年分 民間給与実態統計調査結果 P138」の情報を基に筆者作成

60代以降も働いたとしても、給与が下がれば貯蓄ペースは今より下がるかもしれません。しかし、家計に余裕が出ても浪費せず、50代のうちに貯蓄に取り組んでおけば、十分な老後資金を確保できます。また、子育てが終了したタイミングでやっておきたいのが「保険の見直し」です。子どもが自立すれば大きな保障は必要なくなりますし、高額療養費制度を利用すれば医療費の自己負担は抑えられます。不要な保険があれば解約して、保険料を節約しましょう。

年金の受け取り方法を考えておく

50代のうちに、年金の受け取り方法を考えておくことも大切です。企業年金や確定拠出年金は「一時金」として一括で受け取るか、「年金」として分割して受け取るかを選択でき、併用も可能です。一括で受け取る場合は退職所得控除が適用され、一定額までは非課税で受け取れます。退職所得控除額は、以下の算式で計算します。

勤続年数(A)

退職所得控除額

20年以下

40万円×A

(80万円に満たない場合は80万円)

20年超

800万円+70万円×(A-20年)

国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」の情報を基に筆者作成

たとえば、勤続年数が30年の場合、退職所得控除額は1,500万円(800万円+70万円×(30年-20年))です。一方、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用され、こちらも一定額までは非課税になります。
公的年金等控除額は、以下のように計算します。

年金を受け取る人の年齢

公的年金等の収入金額

公的年金等控除額

65歳未満

130万円未満

70万円

130万円以上 410万円未満

収入金額×25%+37.5万円

410万円以上 770万円未満

収入金額×15%+78.5万円

770万円以上

収入金額×5%+155.5万円

65歳以上

330万円未満

120万円

330万円以上 410万円未満

収入金額×25%+37.5万円

410万円以上 770万円未満

収入金額×15%+78.5万円

770万円以上

収入金額×5%+155.5万円

国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」の情報を基に筆者作成

年金をどのように受け取るのが有利なのかは、状況によって異なります。ご自身で判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

できるだけ長く働いて収入を確保する

60代の方は、老後の準備期間はそれほど残されていません。家計を見直して少しでも支出を抑えることは有効ですが、節約できる金額には限界があります。できるだけ長く働いて収入を確保すれば、公的年金だけでは足りない毎月の生活費を補うことができます。
内閣府の資料によると、高齢者の就業率は増加傾向にあり、60~64歳で68.8%、65~69歳で46.6%です。

内閣府「令和元年版高齢社会白書|第1章 高齢化の状況 第2節 高齢期の暮らしの状況」の情報を基に作図

生活費を補うことが目的であれば、必ずしもフルタイムで働く必要はありません。「週に3日だけ働く」など、ご自身のペースで働くことを検討してみてはいかがでしょうか。

公的年金の繰下げを検討する

65歳以降も働いて一定の収入がある場合は、公的年金の繰下げを検討しましょう。公的年金の繰下げとは、国民年金や厚生年金の受給開始を遅らせることです。65歳になってすぐに公的年金をもらわずに繰下げをすれば、将来もらえる年金を増やすことができます。
公的年金の増額率は以下の通りです。

請求時の年齢

増額率

66歳0カ月~66歳11カ月

8.4%~16.1%

67歳0カ月~67歳11カ月

16.8%~24.5%

68歳0カ月~68歳11カ月

25.2%~32.9%

69歳0カ月~69歳11カ月

33.6%~41.3%

70歳0カ月~

42.0%

日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」の情報を基に筆者作成

繰下げによる年金の増額率は「繰下げ月数×0.7%」です。70歳まで遅らせると42%増やすことができ、生涯にわたって増額された年金を受給できます。

まとめ

ここまで紹介したように、現在の年齢によっていまからでも始められる老後準備の方法は異なります。少しでも早く始めるのが理想ですが、60代以降の方でもやれることはあります。大切なのは老後準備を先送りせず、すぐに取りかかることです。老後の生活資金に不安を感じるのであれば、今すぐに準備を始めましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 厚生労働省「令和2年度の年金額改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00006.html

※2 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html

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