お金・資産 将来への備え

預金金利が低いいまの時代、老後資金はどう作り、どう守る?

kurashino

銀行の普通預金金利の平均は0.001%で、ほとんど金利がつきません。しかし、給料の振込みや公共料金の引き落とし、現金引き出しなど、銀行口座は日々の生活に必要不可欠で使用しないわけにはいかないのも事実。それでも金利のことを考えるとこのまま預けていても良いのか首をかしげてしまいます。一方で、日銀は年に2%のインフレ率を主導しようと考えており(※1)、このまま銀行預金に預けているだけでは実質資産が目減りしてしまいます。こんな低金利の時代にどう資産を形成していき、どうやって守ればよいのでしょうか。さまざまな金融商品の性質を見ながら、一緒に考えていきましょう。

金融商品の3つの性格

まずは金融商品には「安全性」「流動性」「収益性」という3つの性格があることを、あらためて確認しておきましょう。

  • 安全性:預けたお金(元本)が保証されている
  • 流動性:必要なときにいつでもすぐ引き出しができる
  • 収益性:預けたお金(元本)に対し、より高い収益が期待できる

たとえば、銀行の普通預金はお金の出し入れが自由にでき、流動性に優れています。かつ預けた元金の価値が下がることがないため、基本的に安全性も高い金融商品です。

同じく銀行の定期預金は契約で定められた期間は原則払い出しができませんから、普通預金に比べると流動性は低くなります。それでも普通預金同様に、基本的に預けた元金の価値が下がることはなく、安全性は高いと言えます。

一方で、これらはどちらも利息はほとんど付かず、収益性は低くなります。

収益性を望める金融商品と言えば、株式や投資信託などの投資性商品があります。しかし、投資性商品には元本割れするリスクがあり安全性は劣ります。もちろん、仮に値下がりしても、しばらく待てば元の値に戻ったり、それ以上に値上がったりする可能性もあります。しかし損をせずに現金化したいと思えば値上がりするまで待たなければならず、またそのタイミングがいつになるか分からないため流動性は低くなります。

代表的な金融商品の3つの性格は、以下のとおりです。

金融商品の例

安全性

流動性

収益性

普通預金

高い

高い

低い

定期預金

高い

低め

低い

投資信託

低い

低い

高い

株式

低い

低い

高い

「安全性」と「流動性」は併存できる関係ですが、「収益性」は「安全性」や「流動性」と対立関係にあります。ひとつの金融商品で3つの性格すべてを兼ね備えているものはありません。

預金金利は低くても、安全性が最も大事?!

ここで世間の皆様がどんな金融商品を保有しているのか気になる人は多いと思います。実は金融資産に関するデータを見ると、保有資産の半分近くは預貯金という状況です(※2)。

金融広報中央委員会知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」の種類別金融商品保有額(金融資産保有世帯)の情報を基に作図

お金の増減に対するリスク許容度は人それぞれに異なりますから、みんながどういう基準で選んでいるのか一概に言うことはできません。しかし上のグラフで、金融資産の最も大きな割合を占めるのが定期預金であることを見ると、収益性よりも安全性を重視している人が多いと言うことでしょう。

低金利という言葉は長年にわたって言われていますが、過去20年の預金金利推移をみても、普通預金はもちろん、定期預金もずっと小数点以下の金利が続いています。現在は普通預金が0.001%、定期預金で0.01%と過去最低水準を継続中です(※3)。

日本銀行「統計データ検索/預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」の情報を基に作図

実際に、預貯金にお金を預けてもほとんど利息が付かないことは多くの人が実感されており、利息よりも元本割れしないという理由で選んでいるのかもしれません。たしかに預けたお金が減ることだけは避けたいものです。

2%のインフレの時代が訪れる

ところで「元本割れしない」ことと「預けたお金が減らない」ことは、イコールではないことをご存じでしょうか。
預金通帳に印字されている1,000万円、2,000万円といった数字は減らずとも、実はその価値は目減りすることがあるのです。

日本銀行は中長期的な展望として2%のインフレ率を定めています。これは年に2%分物価が上がることを意味します。単純に考えると、現在100円のものが来年は102円になる計算です。

値段が上がる、つまり商品の価値が上がるということは、言い換えるとお金の価値が下がるということになるのはお分かりでしょうか。現在100円のものが来年は102円になるということは、現在の100円のお金の価値は、その分だけ目減りするということになるのです。

これを銀行等に保有している預貯金の価値で考えてみましょう。先に見たとおり、現在の預金金利は定期預金でも0.01%ですから、仮にインフレ率が1%としても付与される利息よりも目減りする価値のほうが大きいことになります。仮にインフレ率が1%または2%で継続するものとして、今ある1,000万円の価値がどう目減りしていくかイメージしたのが次のグラフです。

著者作成

これではお金を取り崩さなくても、ただ預貯金に預けておくだけでお金が減っていくことになり、元本割れせず安全性の高いはずの預貯金も、決して安全資産とは言えないことになってしまいます。そう考えると冒頭で見た金融商品の3つの性格のうち、安全性の高い金融商品は無くなりつつあると言ってよいのかもしれません。

老後資金は流動性と収益性を考えながら運用を取り入れる

2%のインフレはあくまで展望ですから、昨年改定された消費税率のように日を改めると突然2%上がるというものではありません。それでも昨年の今頃に比べると商品は同じなのに価格(税抜)が上がったと、普段スーパーなどで買い物をしながら感じられている人は多いと思います。

目減り分をリカバリするために現役時代ならさらに働いて収入アップを図ることもできそうですが、リタイア生活に入ってから収入増を図るのは簡単なことではありません。これまで老後のために定期預金などにコツコツと積み立てをしていた人は多いと思いますが、インフレ分をリカバリするためにはインフレ率を上回るような収益性のある金融商品でお金を運用することも必要になってくるでしょう。

投資商品は値動きするリスクがありますが、リスク=損をするというものではありません。
資産運用におけるリスクとは、「価格が変動することによる損益の不確実性」を意味します。簡単に言うと、預貯金のように1年後にいくら利息がつくかあらかじめ決まっていないということです。必ずしも損をしてしまうのではないと分かれば、これから老後に向けた資産形成に投資を取り入れてみるのも、ひとつの考え方と言えるでしょう。

それでもやはり大事な老後生活資金ですから、「値下がり(損失)の確率を薄める」ことには気を配らなければなりません。一般的にこのことを「リスクを分散する」と言いますが、その方法のひとつとして分散投資の考え方があります。

「卵はひとつのかごに盛るな」という格言をご存じでしょうか。これは投資の世界で良く言われている格言で、卵をひとつのカゴに盛ると、もしそのカゴを落としたら全部割れてしまうかもしれない。でも、複数のカゴに分けて盛っておけば、そのうちいくつかのカゴを落としてその中の卵が割れても、他のカゴの卵は無事であることを表しています。

投資も何かひとつの運用商品だけに投資をするのではなく、複数の商品に分けておけばリスクを分散させることができます。自分でいくつかの金融商品を選んで分散するのもいいですが、たとえば投資信託を1~2本購入してみるのも良いでしょう。投資信託は運用の専門家が国内外の経済情勢などを見ながら、株や債券などに分散投資して運用してくれる金融商品です。あらかじめ多くの運用商品に分散投資されているため、数ある投資商品の中でも比較的リスクが少ないといわれています。それでも利回り2%を超える物が多々ありますからインフレから老後資金目減りにも対抗できるのではないでしょうか。

だからといってすべてのお金を投資信託に回せば良いというわけではありません。冒頭で見た金融商品の3つの性格を考えなから自分自身でも保有する資産の分散をしておきましょう。インフレにより安全性は低下してきているとはいえ、近い将来の生活費として必要になる分は流動性の高い預貯金で確保しておかなければなりません。しかし20年後、30年後の生活費となる分は、まだ流動性は考えなくても大丈夫ですから、収益性を期待しながら今からじっくり時間をかけて運用していくのがいいでしょう。

リタイア生活が進むにつれ、必要となる流動性と収益性の割合は変動していくはずです。金融商品それぞれが持つ性格をしっかり理解し、これからもご自身の資産状況を組み替えていってください。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

(※1) 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2019年10月)」
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1910b.pdf

(※2)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査・二人以上世帯調査(2019年)/種類別金融商品保有額(金融資産保有世帯)」
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/

(※3)日本銀行「主要時系列統計データ集/預金金利」
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/ir02_w1_1.html

HOT

-お金・資産, 将来への備え
-