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子ども世帯の家計を応援、贈与税「非課税の特例」を親子で利用しよう

kurashino

贈与税の「非課税の特例」は、子ども世帯の家計支援をするにあたって知っておきたい制度です。
40代あたりになると、住宅の購入、子育てや学費と何かとお金が必要になってきます。このような子どもの家計を、シニアの親が援助するとき、贈与税がかからない方法がいくつかあります。

この記事では、どのような場合に非課税になるのかを紹介します。

40代の家計の事情

総務省が2018年に発表した「家計調査報告」によると、世帯主の年齢別に見た貯蓄・負債の状況は以下のようになっています。

総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-」の情報を基に作図

40代の負債保有率は65.4%で他の年代よりも高く、これは住宅や自動車のローンであると考えられます。
貯蓄よりも負債額が上回っているなか、子どもの学費などの教育費は負債として反映されにくい部分がありますので、実際の家計はさらにきゅうくつなものになっていると考えられます。

ここで、幼稚園から高校までにかかる子育て費用は見ておきましょう。

文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」の情報を基に作図

子どもを公立に通わせるのか、私立に通わせるのかによって大きく異なりますが、学費や教科書代、制服代に加え、学校外での塾や習い事などの総額が、この「学習費総額」です。

さらには、小学校・中学校の9年間のあいだは、学校教育費以外の「学校外活動費」の割合が高くなっていることもわかっています。「学校外活動費」とは、主に塾や習い事と捉えて良いでしょう。

文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」の情報を基に作図

自分の子どもが、孫の教育費のかかる世代の場合、「せめて学費だけでも」と金銭面での援助を希望するシニアは少なくありません。孫が希望するのであれば、可能な限りの勉強や活動をさせてあげたいと考える人も多いでしょう。

そこで気になるのは、贈与税ではないでしょうか。実は贈与税には、「非課税の特例」がいくつも存在します。
次の章からは、どのような場合に非課税となるのかを具体例を紹介していきます。

贈与税非課税の特例

贈与税は、贈与する財産の性質や贈与の目的によって「非課税」となる場合があり、これを「非課税の特例」と言います。このなかで、子ども世帯の家計支援をしたいという場合、非課税となる特例の中でも、以下の3つに注目したいところです。
以下、国税庁のウェブサイトからの引用です。

  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
  • 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
  • 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

引用:「贈与税がかからない場合」国税庁ウェブサイトより

ここでまず、「直系尊属」とは何かを知っておきましょう。

「直系尊属」とは、祖父母、親、子、孫というように、「縦のつながり」にある親族で、かつ自分の上の世代の場合のみが「尊属」にあたります。親から子が贈与を受ける場合はこの「直系尊属」に当たります。逆は当てはまりません。なお、兄弟関係で「横に」枝分かれした場合は「直系」ではありませんので、兄弟間の贈与はこの特例の適用にはなりません。

では、どのような場合、非課税になるのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。

最初に、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」です。現在のところ、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの贈与について「非課税の特例」となる条件が示されています。

まず、住宅購入等資金を贈与する場合は、非課税限度額があります。「住宅購入等資金」とは、住宅の購や増改築などに充てるお金のことです。

国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の情報を基に作図

まず、住宅の購入などにあたって支払った消費税が「10%かどうか」で限度額が違っています。今は消費税率が10%なのでそれ以外はないように思えますが、知人など個人間で中古住宅を購入する場合は消費税がかかりません。そうでない限りは、上の表の「ロ」を想定すると良いでしょう。

ただ、親族から購入した住宅や、贈与を受ける人の年収が2,000万円を超える場合などには特例が適用されず、いくつかの条件がありますので確認する必要があります。また、贈与を受けた翌年の3月15日までに入居しなければならない、といった決まりもあります。

最大の注意点としては、「非課税の特例を適用して贈与税がゼロになっても、贈与税の申告はしなければならない」点です。これを忘れると、非課税の特例が受けられなくなってしまいます。

次に、教育資金の一括贈与についてです。1,500万円までが非課税になります。
「祖父母から孫へ」という形が多いと思いますが、前提条件としては、受取人(孫)が30歳未満であることです。

手続きとしては、まず金融機関との「一定の契約」が必要とされていて、基本的には孫の名義の「教育資金口座」を開設し、そこに資金を入金します。そして、その口座から学費などの支払いをした場合は、「教育費に使った」ということを証明するために領収書などの提出が必要です。

また、教育資金口座など教育資金の贈与に使う口座は、贈与を受ける子どもひとりにつき、ひとつしか開設できません。

現在のところ、令和3年3月31日までの措置となっていますが、制度が延長されることも考えられます。

国税庁「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A」の情報を基に作図

最後に、「結婚・子育て資金」の贈与です。
「結婚・子育て資金」とは、まず「結婚」に関しては支払う挙式や披露宴などの費用、家賃・敷金などの新居費用、転居費用がこれにあたります。「結婚」に関する費用として非課税で贈与できるのは300万円までです。
「子育て」については、妊娠、出産および育児に必要なお金で、不妊治療の費用も含まれます。

手続きは先ほどの教育資金と似ています。金融機関などで「結婚・子育て資金口座」などを開設し、そこに親が入金をします。基本的には一括贈与の形で、結婚と子育て合わせて1,000万円までが非課税となります。

また、教育費用と同じように、口座からお金の払い出しをした場合には、領収書などの提出が必要です。こちらも現在のところ、令和3年3月31日までの制度となっています。

事前に必ず詳細の確認を

何かと出費の重なる世代の子どもに対する支援は、可能な限り計画的に考えた方が良いでしょう。
上では高校生までの学費について紹介しましたが、この後には大学への進学が控えています。下宿となると月々の出費も大きくなりますし、教育費は長い期間にわたってかかり続けるものです。ただ、逆に言えばどのくらいかかるのかをある程度、予測することも可能です。支援をしたいと考える場合、このような非課税特例について知っておくことは大切です。

また、一括贈与の場合、支援してもらった側としては大きな安心感が生まれます。学費としてある程度まとまったお金を持っていれば、何かあった時でも支払いを続けることが可能だからです。一方で、これらの制度には細かな要件が設定されていますので、自分の家族の場合はどの贈与についてどんな特例が適用されるのか、税務署や金融機関などに問い合わせておきましょう。

制度がいつまで続き、その先延長されるのか、条件が変わるのか、といったことも意識しておく必要があります。

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