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年金減額に備えよう。現在50代の私たちは、いつから、いくら受け取れる?

kurashino

少子高齢化と超低金利が続く日本では、これから年金が減額されることが想定できます。今の50代にとって、老後の生活設計を立てるうえで年金がいつからどれくらい受け取れるのかは、とても興味があることでしょう。
この記事では、年金制度が今後どのように推移すると考えられるのかを解説します。

年金はいつから受け取れるようになるのか?

現在の日本の年金制度では、65才から老齢基礎年金・老齢厚生年金(以下、「年金」)を受け取ることができます。しかし、すべての現役世代が65才から年金を受け取れるわけではありません。

年金制度の導入当初、年金の受給開始年齢は55才でした。しかし、長寿化が進むにつれて受給開始年齢は引き上げられ、現在では65才からとなっています。
これは、年金制度の目的が社会保障であるためです。一生涯安心して生活できるようにするため、「若いときほど働けなくなって、充分な収入を得られなくなるとき」に年金を受給できるようにしています。そのため、医療技術の進歩等で元気でいられる期間が長くなれば、年金の受給開始年齢は必然的に引き上げられます。

現在50代の人たちが65才になる頃には、年金制度の法改正で、受給開始年齢は70才からになっているかもしれません。
そうなると、定年が65才まで引き上げられたとしても、70才までの5年間の生活費をどうするか心配しなければなりません。

70才からに引き上げられたとしても、今の50代への影響は少ないはず

しかし、受給開始年齢が70才に引き上げられたとしても、今の50代はそれほど心配しなくても良いのではないかと思います。65才から70才に引き上げるのは、20年ほどの時間をかけて段階的に進めていくと考えられるためです。

実際に、受給開始年齢が才65才に引き上げたときにも、段階的な引き上げが行われています。
引き上げは2001年4月2日から実施されましたが、以降に60才を迎えたすべての人が年金を5年間受け取れなくなったわけではありません。世代間の不公平をできるだけ小さくするため、下図のように「特別支給」の年金という形で、少しずつ受給開始年齢を引き上げていっています。

日本年金機構の資料を基に作図

65才への引き上げは、現在もまだ続いています。すべての人が65才からの受給になるのは、男性で2026年、女性で2031年です。よほどのことがない限り、65才から70才への引き上げは、そのあとになってからでしょう。
年金財政がひっ迫しているため、段階的に引き上げるペースが今回よりも早まる可能性はあります。とはいえ、今の50代が65才を迎える2030年前後は、受給開始年齢引き上げの前半と思われます。70才にならないと年金が受け取れないという可能性は低いのではないでしょうか。

受給開始年齢よりも心配すべきは「年金の目減り」

前述のように、年金受給開始年齢はそこまでの心配は必要ありませんが、年金の受給額には気をつけておかなければなりません。将来、年金が目減りしていく可能性が高いためです。

少子高齢化にともない、現役世代の年金保険料が際限なく上昇してしまうのを防止するため、2004年に「マクロ経済スライド」という制度が導入されました。
基本的に年金受給額は、物価や賃金に連動させるようにしていましたが、そこにマクロ経済スライドが導入されたことで、年金受給額の上昇率を物価や賃金の上昇率よりも小さくすることになったのです。
その結果、物価や賃金水準の上昇と比較して年金受給額が増えなくなり、「受け取る年金額」は減っていませんが、「受け取った年金額で買えるものの量」が減ってしまう「目減り」が進んでしまいます。

厚生労働省ウェブサイト「マクロ経済スライドってなに? | いっしょに検証! 公的年金 」の情報を基に作図

2004年に導入されたマクロ経済スライドが初めて発動したのが2015年です。従来の基準であれば2.3%上昇させるところを、0.9%の上昇に抑制されました。2016年から2018年は年金額の引き上げが行われなかったため、マクロ経済スライドは発動していませんでしたが、2019年は4年ぶりに発動しました。従来の基準であれば0.6%の上昇になるところを、スライド調整率としてマイナス0.2%、2018年に年金減額とならないようにするために繰り越していたマイナス0.3%を差し引き、0.1%だけの上昇に抑えられました。

この目減りした分は、年金を受け取っている間、ずっと続きます。80才、90才と年を重ねていくにつれて、年金の目減りが進み、年金でまかなえる生活費が減っていくことになるのです。

将来の年金は、どのくらい目減りしていくのか?

厚生労働省は、将来の年金がどの程度の目減りになるのかをシミュレーションした結果を公表しています。ただ、一般の人には分かりにくい資料のため、ここで簡単にまとめます。

この資料では「所得代替率がどれくらいになるか」という視点で書かれています。
所得代替率とは「現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率」であり、「所得代替率がどれくらい変化しているか」が年金の目減り分に近いものだと考えられるでしょう。

6つのケースでの経済状況と所得代替率は次のようになります。

 

物価上昇率

所得代替率

2040年

2060年

ケースⅠ

2.0%

54.3%

51.9%

ケースⅡ

1.6%

54.0%

51.6%

ケースⅢ

1.2%

53.6%

50.8%

ケースⅣ

1.1%

51.7%

46.5%(※)

ケースⅤ

0.8%

51.3%

44.5%(※)

ケースⅥ

0.5%

51.3%

37%程度(※)

厚生労働省「2019年財政検証結果」を基に作表
※所得代替率が50%を下回ることが予測される場合は、制度の再検討を行う趣旨の記述があるが、機械的に年金が目減りした場合の数値を記入している

 

2019年時点の年金の所得代替率は61.7%なので、これを基準にして、各ケースでの年金目減り率を計算してみました。

 

年金目減り率

2040年

2060年

ケースⅠ

-12.0%

-15.9%

ケースⅡ

-12.5%

-16.4%

ケースⅢ

-13.1%

-24.3%

ケースⅣ

-16.2%

-24.6%

ケースⅤ

-16.9%

-27.9%

ケースⅥ

-16.9%

-40.0%

厚生労働省「2019年財政検証結果」を基に作表

ケースⅠは、現在、日本銀行と政府が目標としているインフレ率2%を達成できたとした場合の水準のため、かなり高いハードルではないかと考えられます。そう考えると、ケースⅡ~Ⅵの範囲で年金が目減りしていく可能性が高いでしょう。
70代になる2040年ごろには15%程度の目減り、90代になる2060年ごろには30%程度の目減りは覚悟しておかなければならないでしょう。

年金の目減りを含めて考える老後の生活設計は余裕を持ったプランで

少子高齢化と低金利が続く今の日本では、年金が目減りしていくことは避けられません。そして、一度目減りすると、将来にわたって受け取る年金にも影響があります。だからこそ、老後の生活費は充分に余裕があるようにしておくことが大切です。

80才、90才になってから、このままでは生活費が不足してしまうと気づいても、どうすることもできません。今のうちから、「年金の目減りが大きく、かつ、平均寿命よりもかなり長生きした場合」でも、資産が底をつくことのない生活設計をしましょう。

また、老後の出費を抑えるだけでなく、現役世代の間にどれだけ貯蓄を増やして老後の準備をしておくことができるかも重要です。資産額に不安があるのであれば、働けるうちは働いてお金を稼ぎ、年金の受給繰り下げを行って年金受給額を引き上げるといった対策も取れるようにしておきましょう。

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