お金・資産 将来への備え

掛け捨て? 貯蓄型? 50代から選ぶべき保険の考え方とは

kurashino

からだの無理が利かなくなって、自分の健康に不安を感じる。50代の方のなかには、そんなふうに感じている人も多いと思います。医療費などへの備えはきちんとできているでしょうか。
とはいえ、これから保険に加入する場合、年齢が上がるほど保険料も高くなるのが通常です。リタイアが目前に見え始め、お金の使い方も慎重にしていきたい頃ですから、しっかりニーズを絞り、家計負担とのバランスを図ることも大切です。

自分のニーズを考えよう

ひとくちに保険といっても保障の内容は、死亡保障や医療保障、がん保障、介護保障、収入保障というように、さまざまなものがありますが、これらのニーズはライフサイクルによって変化していくのが通常です。
たとえば小さな子どもを育てている親のニーズは、自分たちの万が一の時でも子どもが経済的に困らないような死亡保障が必要と考えるでしょう。しかし、子どもが成人し、経済的な親の役目を果たす頃には死亡保障よりも自分たちの医療保障や介護保障が必要になってくるものです。とはいえ、結婚時期や、子どもを授かる時期が人それぞれ違うように、保険のニーズも人それぞれです。まずは自分自身にとって備えておきたいニーズは何かをきちんと考えてみましょう。

ニーズは「死亡」や「医療費」といった経済的なリスクに対する保障だけではありません。その保障がいつまで必要かといった「期間ニーズ」を考えておくことも大切です。あと何年間、定年まで、75才になるまで必要、あるいは何才頃から必要というような時期のニーズも大まかにでもイメージしておきましょう。ライフイベントとともに一覧表にすると視覚的にもイメージしやすいのでおすすめです。

下の表はニーズを把握するための一例ですが、一覧表を作成するのに決まった様式はありません。ぜひご自身で工夫して作成してみてください。

ライフイベントと保険の「期間ニーズ」を把握するための表

年齢

50

51

55

60

65

70

ライフイベント

 

長男就職

 

次男就職

 

定年/継続雇用

 

リタイア/年金受給開始

 

 

 

死亡保障

必要

減額

医療保障

必要

介護保障

 

 

 

 

 

 

 

必要

加入している保険はどんなタイプ?

50代ならすでに何かの保険に加入している人がほとんどではないでしょうか。
生命保険文化センターが平成30年に行った調査によると、50~54才では93.5%、55~59才では94.1%と保険加入率は極めて高いことがわかります(※)。
すでに加入している保険が今のニーズにマッチしているのであれば、新たに加入する必要はないでしょう。しかしライフサイクルの変化によって、加入している保険内容とこれからのニーズにミスマッチがあるようならば保険の見直しが必要になります。その際、すでに加入している保険をうまく活用しながら家計負担を抑えることができないか確認をしてみましょう。

このときに知っておきたいのが、保険には大きく分けて掛け捨て型と貯蓄型の2種があることです。
掛け捨て型と貯蓄型の違いをざっくり言うと、契約した保険から保険金(あるいは給付金)を必ず受け取ることができるかどうか。たとえば、掛け捨て型の保険として代表的なものである「定期保険」では、死亡など契約で定めた保険金の支払事由が保険契約期間中に発生すれば保険金が支払われますが、生存して保険期間満了を迎えれば保険金を受け取ることができません。このように、保険に加入し保険料を払っても、保険金を受け取ることができない可能性もあるものです。

一方で、掛け捨て型の保険は貯蓄型に比べて保険料が安いのが特徴です。そこで、大きな死亡保障と保険金とのバランスを取り、掛け捨て型と貯蓄型を組み合わせた「定期保険特約付終身保険」という保険もあります。数十年前にこの保険に加入して、そのまま継続しているという人も多いかもしれませんね。

下の図は「定期保険特約付終身保険」を契約してからの保障を表したものですが、ベース(主契約)の終身保険部分は貯蓄型、上の定期保険特約部分は掛け捨て型です。

主契約部分を解約すると保険契約全体、つまり保障がなくなりますが、特約部分は解約しても主契約部分は継続することが可能です。たとえば、子どもの独立も近く、大きな保障は必要ないがある程度の死亡保障は必要というケースでは、既加入保険の特約部分を外す、更新しない、あるいは減額することで保険料を下げることが可能です。

先述のようなニーズの一覧表をあらかじめ作っておけば、死亡保障を見直しが必要な時期にスムーズに減額手続きができるようになるでしょう。既加入保険の内容もきちんと確認しておくといいですね。

老後資金として活用できる場合もある?! 貯蓄タイプの既加入保険

一方で、終身保険部分は、保険料払込期間終了後に解約するとまとまった一時金(解約返戻金)の受け取りや、死亡保障に替えて年金受給できる場合があるのはご存じでしょうか。
上の図の青い部分は責任準備金の貯まり具合を表しています。責任準備金とは、ざっくり言うと保険金の支払いや解約返戻金の支払いに備えて保険会社が積み立てていく部分のことです。
実際の貯まり方や責任準備金の大小は各保険会社が設定している予定利率や予定死亡率などによっても異なりますが、図にあるように払込満了時期を過ぎても責任準備金は次第に増していくのが一般的です。

この責任準備金の大小に影響する予定利率ですが、加入した時期や保険会社にもよるものの、現在50代の人が20代、30代の頃に加入し継続している貯蓄型の保険のなかには4~5%程度という高利なものもあるかもしれません。
予定利率とは保険会社が想定している運用利回りのことで、契約者に払い込んでもらう保険料を計算するにあたって、資産運用による運用収益を見込み、この分をあらかじめ保険料から割り引いています。この一定の利率が「予定利率」です。時期が同じでも保険会社によって予定利率が異なる場合がありますが、標準的な予定利率の推移は次の図のとおりです。

予定利率が高いものであれば、払込満了となるまで保険料を払込み、その後に老後資金として効率的に活用できる可能性もあります。まずは加入している保険の保障内容、保険期間、保険料払込期間、加入時期などをきちんと確認してみましょう。

これから加入する保険はどう選ぶ?

これからのニーズとすでに備わっている保障を確認したら、これから備える保険を選びたいものです。掛け捨てか否かの損得を考えたくなるものですが、上の図を見てもわかるように、現在の金利環境下では予定利率を引き下げる保険会社が多く、貯蓄型の保険でも短期で解約すると元本割れする場合がほとんどです。これから加入する保険では、貯蓄ではなく保障と割り切り、掛け捨て型を選択するのもいいでしょう。
また、老後に向けて保険を選ぶときに多くの人が悩むのが、「定期タイプ」と「終身払込みタイプ」の選択ではないでしょうか。

下の表にそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。老後資金準備の状況に合わせながら、ご自身に適するタイプを選ぶことをおすすめします。

 

定期タイプ

終身払込みタイプ

保険期間

10年、15年など一定期間

終身

メリット

・保障が必要な期間だけ契約可能

・契約時の保険料がずっと変わらない

デメリット

・更新時には保険料が再計算され、上がる可能性がある
・健康状態によっては更新できない可能性がある
・更新できる年齢に制限がある場合がある

・将来的に年金収入だけの生活になっても保険料を払い続けなければならない

高齢者への公的医療保険制度を知っておく

過度な保険料負担を防ぐためには保障額を必要最小限に抑えることも必要でしょう。そもそも日本の公的医療保険制度では、原則、年齢によって自己負担の割合が変わり、年齢が高くなるほど自己負担割合が少なくなります。

70才になるまでは現役世代と同じ3割負担ですが、70~74才は2割負担、75才以降は1割負担に下がります。終身タイプの医療保険に加入する際には、公的医療保険制度の自己負担分も考慮しながら保障額を検討するのもひとつの方法です。

 

69才以下

70~74才

75才以降

自己負担割合

3割

2割
(現役並み所得者は3割)

1割
(現役並み所得者は3割)

仮に入院や手術などで医療費が100万円かかることになっても69才以下の人は自己負担割合が3割のため30万円、70才の人は20万円の負担で済みます。
さらには、「高額療養費制度」もあります。これは、1カ月当たりの医療費自己負担金額に上限額が設けられていて、上限額からオーバーした分は、公的医療保険が支払いを肩代わりし、還付される制度です。医療費上限額は年齢および所得額によって異なりますが、たとえば69才以下で年収約370~770万円の人であれば、上限額は次のように計算されます。

1カ月当たりの医療費自己負担限度額=8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%

仮に医療費が100万円かかる場合であれば、87,430円(80,100円+(100万円-26万7,000円)×1%)が自己負担上限となり、窓口で払った30万円との差額の21万2,570円が還付される仕組みです。このことを知っておけば、加入する保険も過度に考える必要はなくなるでしょう。
とはいえ、入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療費、時間外診療、保険適用外の治療費や手術代など、公的医療保険適用外のものについては全額自己負担となります。また高額療養費制度の対象にもなりません。
そう考えると、多くの入院給付金が出るような医療保険は必要ないものの、公的医療保険の対象にならない先進医療保障などについては民間の医療保険や特約でしっかり備えておくのが良いでしょう。将来的に自分が病気をするか、それはどんな病気で、先進医療が必要になるかなどは予測しにくいことですが、自分の健康状態や生活習慣なども見直しながら上手な加入を目指しましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※ 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf

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