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両親の老後の心配をなくすために今からできる4つのこと

kurashino

50代になると自分の老後への対策が気になりつつも、それに増して高齢になった両親の介護や医療の問題を現実的に感じ、心配に思うものです。両親の世話やお金、自分の仕事や家族のことなど、対応しなければいけないことはたくさんありますが、今は漠然とした不安を抱えるだけで具体的に何をどうすればいいのかわからないという人は多いようです。急に介護が必要になって慌てることのないように、今のうちから何ができるのかひとつずつ確認し、準備を進めていきましょう。

介護を要する人が増えている

世界の中でもトップクラスの長寿国である日本。介護を必要とする人は年々増えています。
厚生労働省の資料によると、2018年4月時点の要介護認定者は644万人。公的介護保険制度が創設された2000年に比べ、この18年間で約3倍に増えています。

厚生労働省「公的介護保険制度の現状と今後の役割(平成30年度)」を基に作図

介護が必要となる原因は要介護度によっても多少の違いはありますが、総体的に「認知症」や「高齢による衰弱」が上位にあります。長寿化の進行が少なからず影響していることがうかがえますね。

厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査/介護の状況」を基に作図

次に介護をする側の状況に目を向けてみましょう。公益財団法人生命保険文化センターの調べによると、過去3年間のうちに親や配偶者の親など家族の介護をしたことがある人は17.3%。3年前に行われた前回調査と比べ0.5%増えています。また、「介護経験あり」の人を年齢別に見てみると、50代に入ると介護経験者は2割に増え、60~64歳では3割近くに達しています。

公益財団生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」を基に作図

まさに、自分の子育てがそろそろ終わり、自分の老後に向けての準備がラストスパートにさしかかる頃に親の介護が始まるというケースもありそうです。
前触れなく、ある日突然親に介護が必要となる可能性は否めません。今から親子で介護について話し合い、対策も考えておきましょう。

費用、期間......介護はどのくらいかかるもの?

介護を考えるときに気になることは、大きく2つ。どのくらい「期間」がかかり、どのくらい「費用」がかかるのかということです。

これらは被介護者の状態(要介護度)や介護の原因などによっても変わってきます。前述した生命保険文化センターの調査では「4~10年未満」が最も多く、平均では54.5カ月(4年7カ月)となっています。
費用に関しては、住宅リフォームや介護用ベッドの購入などの一時的な費用と公的介護保険サービスの自己負担分など継続的な費用があります。どちらも要介護度はもちろん、施設に入るか自宅介護か、また公的介護保険のサービスを受けられるかなどによって異なりますが、過去9年間の推移を見ると、一時的な費用は低下傾向、月々の費用は微増傾向にあります。
直近の調べによると、一時的な費用の平均額は69万円、最も多い価格帯は15万円未満です。

介護費用(一時的な費用の合計・平成30年)

公益財団生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」を基に作図

また、月々かかる費用の平均額は7.8万円で、最も多い価格帯は「15万円以上」となっています。

介護費用(月々の費用の合計・平成30年)

公益財団生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」を基に作図

仮に介護期間が5年、費用が月々8万円かかるとすれば、一時的な費用を合わせ、トータルで549万円かかる計算です。
とはいえ、在宅介護と施設利用では介護の月額費用に大きな差があるのが実情です。在宅介護では平均4.6万円ですが、施設利用では平均11.8万円となっており、7.2万円の差があります。先の仮定同様に、介護期間を5年間として考えた場合、在宅介護は一時費用を合わせて345万円のところ、施設利用は777万円となる計算です。
できるだけ費用がかからないのが理想ですが、自分たちで介護をすれば時間的な拘束を受けることにもなるでしょう。また、仕事や家事と介護の両立は、介護する側にとっては大きな負担となる場合も考えられます。公的介護保険制度を利用しながら、費用負担と仕事・家庭のバランスをとれるようにしたいですね。

親が元気なうちに一緒に準備しておきたいこと4つ

介護の問題は介護される側、介護する側の両者にとって不安であまり考えたくないことかもしれません。しかし、事前に心がまえや準備をしておくことで、費用面や労力面での負担は和らぐかもしれません。親がまだ元気なうちに、どんな介護を望むか一緒に考え、ひとつひとつ準備をしていきましょう。

まずは次の4つのことから準備を進めていくと良いでしょう。

1.お金の管理について情報共有

金額の大小に関わらず介護が必要になると費用がかかります。家族の事情にもよりますが、費用負担を誰が行うかを話し合い、決めておきましょう。親自身の預貯金から拠出できると理想的です。親の資産、預貯金の状況、保険には加入しているかなど確認しておけるといいでしょう。兄弟姉妹がいる場合には、中心となって管理する人を決めておければ理想的です。お金が不足する場合の対策も含め、家族みんなで情報を共有しておきましょう。

2.介護サービス利用の流れを知っておく

一部自己負担は必要ですが、公的介護サービスを利用することで費用、労力の両面で負担が和らぐことが期待できます。しかし公的介護サービスを利用するには要介護認定を受ける必要がありますので、申請からサービス利用までの流れを確認しておきましょう。
なお、申請先は市町村の窓口になりますが、申請後には市町村等の調査員による訪問調査や医師の意見書などによる審査があり、申請から審査判定までに原則30日以内の日数を要します。認定のおおよその基準を知っておくと申請しやすくなるでしょう。

3.公的介護保険のサービスについて知っておく

要介護認定されれば要介護度に応じて介護(介護予防)サービスを利用できます。介護(介護予防)サービスには大きく分けて4つあります。介護士やヘルパーなどが訪問してくれる「訪問サービス」、いわゆるデイサービスといわれる「通所サービス」、ショートステイといわれる「短期入所サービス」そして介護老人福祉施設などに入居する「施設サービス」です。
要介護(支援)認定内容により利用できるサービスや公的介護保険からの月額利用限度が異なりますので、まずは介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)を作成してもらわなければなりません。要支援1・2の人は地域包括支援センター、要介護1~5の人はケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者が相談先です。

4.高額医療・高額介護合算療養費制度について知っておく

公的介護サービスを利用すると、収入状況により1~3割サービス料を自己負担しなければなりません。

厚生労働省「利用者負担割合の基準が変わります(周知用リーフレット)」を基に作図

利用状況によっては月額負担が高額になる場合もありますが、1カ月当たりの利用自己負担限度額があることも知っておくと安心です。これは、世帯の収入状況により1カ月当たりの自己負担上限額が決められており、申請すれば上限額を超えた分を「高額介護サービス費」として後で還付してくれるものです。

また、被介護者が医療機関にかかった場合など、月々の「高額介護サービス費」とは別に、医療費と介護費用の1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の自己負担の合算額に応じて、申請により限度額を超えた額が支給される「高額医療・高額介護合算療養費制度」という制度もあります。
当制度の限度額は収入および年齢により細かく設定されていますが、一般的な世帯では70才未満の人で年間60~67万円、70才以上の人は56万円です。なお、高額所得者に該当すれば、所得区分により年間の自己負担限度額は141万円あるいは212万円に上がります。70才未満と70才以上で所得区分が異なりますので、年金受給額が多い人やその他収入が多い人は確認しておきましょう。

金銭的な不安を少し和らげられるよう、このような予備知識もつけておきたいですね。

親の介護はある日突然、誰にでも起こり得る出来事です。その時が来ても慌てないように、ぜひ正しい知識を身に着けて、万が一に備えておきましょう。

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