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快適な住まいづくりに大事な「湿度管理」 健康のために気をつけたいポイントを看護師が解説

kurashino

ジメジメした梅雨やカサカサが気になる冬は、他の季節に比べて不快な感覚がするものです。それだけでなく、湿度が高すぎたり低すぎたりすると、健康にも影響が出てしまいます。

新型コロナウイルスの流行で感染症予防を意識する日々ですが、他にもカビの発生や熱中症など、私たちの健康はさまざまなことに脅かされています。
湿度は気温に比べてあまり意識しないことかもしれませんが、適切なコントロールは健康維持に欠かせません。

今回は、湿度が与える健康への影響や、快適な湿度を保つポイントについて解説します。

湿度とは? 気温や天候との関係性について

湿度とは、空気中にどのくらい水分が含まれているのかを割合で表したものです。
湿度には、「相対湿度(%)」と「絶対湿度(g/㎥)」があります。相対湿度とは、飽和水蒸気量(1㎥の空気に含むことができる水蒸気をgで表したもの)に対してどのくらい水蒸気が含まれているのかを表したものです。飽和水蒸気量は気温によって変化し、気温が高くなるほど多くなります。普段は、この相対湿度を湿度としています。

一方、絶対湿度とは、1㎥の空気に含まれる水蒸気の重さのことです。相対湿度とは異なり、水蒸気そのものの重さを表します。私たちは普段、空気中に水分が含まれていることをあまり意識しません。それもそのはず、水蒸気は目に見えるものではないからです。ただし、寒い日に部屋を暖めると窓ガラスに結露ができたり、冷たい飲み物の周りに水滴が付着したりします。これらは窓ガラスや飲み物の近くにある空気が冷やされて、空気中の水蒸気が水滴になるためです。

日々さまざまな要因によって変化する湿度ですが、目安があります。厚生労働省の「建築物環境衛生管理基準」によると、「空調設備がある居室では相対湿度を40%以上70%以下におおむね適合するように努めなければならない」としています。(※)

では、湿度を左右する要因についてみていきましょう。

気温

先ほども触れましたが、飽和水蒸気量が変化するため、湿度には気温が大きく関わっています。暖房をつけて気温が高くなると乾燥するのはこのためです。

季節

夏は湿度が高く、冬は乾燥を感じるとおり、季節によって湿度が変わります。以下のグラフは、東京都における2021年の湿度の変化をグラフで表したものです。グラフのとおり、冬にあたる12月から3月あたりで特に湿度が低くなっています。

気象庁ウェブサイト「過去の気象データ検索」の情報を基に作図

天候

雨だと湿度が高く、晴れだと乾燥しやすくなります。

住環境

家の気密性が低いと外気の影響を受けやすくなるため、湿度をコントロールしようとしても難しくなってしまいます。また、家の場所によっても湿度が異なります。浴室や洗面所などの水まわりは、湿度が高くなりがちです。

温度だけではない! 快適な暮らしには湿度の調整が必要

日本の夏は、高温多湿で知られています。海外には気温が高くても湿度が低い国もあり、それほど不快感はありません。このように快適な暮らしをつくるためには、温度だけでなく湿度をコントロールする必要があります。

極端な湿度は、健康に悪影響を及ぼします。下記は、東京消防庁が公表している救急要請時の気温と湿度を表したグラフです(令和元年6月~9月)。気温は26~35℃、湿度は60%~90%の範囲で、救急搬送人員が多く分布していることが分かります。反対に、気温が25℃前後とそれほど高くなくても、湿度が高ければ救急要請が多くなっています。
健康に暮らすためには、気温だけでなく湿度のコントロールも必要です。

東京消防庁 「夏本番前から熱中症予防対策を!!(令和元年の熱中症による救急搬送状況の概要)」より転載

高い湿度と低い湿度が引き起こす問題点

先述のとおり、気温がそれほど高くなくても湿度が高いと熱中症のリスクが高まります。
その他にも、湿度が適切に保たれていないと、下記のようなさまざまな問題につながります。

1.湿度が高いと、カビやダニの発生が増える

カビやダニにとって、高い湿度は居心地がよく、発生量や頻度が多くなります。カビが増えると家の中に汚れのようになって現れるため見た目が悪くなりますが、それだけならまだしもアレルギーの原因になります。ダニも同様にアレルギーの原因になりますし、刺されて炎症を起こすこともあります。

2.湿度が低いと、肌や粘膜が乾燥しやすく、感染症にかかりやすくなる

もともと肌や粘膜には、必要な水分量を保つ機能があります。しかし、常に空気に触れているため、湿度が低くなると肌や粘膜の水分が奪われてしまい、突っ張ったような感覚になります。その結果、肌や粘膜が本来持っているバリア機能が低下し、ウイルスや細菌による感染症にかかりやすくなります。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」には、相対湿度と微生物等との相関関係の図が掲載されています。これによると、カビやダニ、ウイルスなどは、湿度が40~60%のときに発生が少なく、それ以外だと発生しやすいことが分かります。

独立行政法人中小企業基盤整備機構運営 中小企業ビジネス支援サイトJ-Net21「建物の高断熱化と室内湿度制御について」の情報を基に作図

3.湿度が低いと、静電気が発生しやすくなる

セーターを着るときやドアノブに手をかけたとき、バチっと痛みを感じる静電気はできるだけ避けたいものです。これまで挙げたものに比べて健康への影響は少ないものの、髪をセットするのに苦労したりスカートが足にまとわりついたりと、おしゃれが楽しめなくなってしまいます。

快適に暮らすために 適切な湿度を保つ方法

ここまで湿度が健康や生活に与える影響について解説しました。では、実際に適切な湿度を保つためには日常生活でどのようなことを意識するとよいのでしょうか? ここでは主な4つをご紹介します。ご自分の生活に合わせて、ぜひ取り入れてみてください。

1.湿度計でこまめにチェックする

体感でも湿度の変化を感じることはできますが、数値で把握するとより安心です。まずは、湿度計を利用してその日の湿度を計り、家の中がどのような環境にあるのか把握しましょう。

2.換気をする

換気扇を作動させないまま入浴すると湯気がこもってしまうように、換気をしないと空気が動かず、快適な湿度が維持しにくくなります。季節や天候にもよりますが、換気をするだけで快適な湿度に調整できる場合もあります。

3.生活の中で工夫する

洗濯物を室内で干す、入浴後に浴室のドアを開放するなど、生活の中で少し意識することで湿度をコントロールできます。

4.アイテムを活用する

湿度を調整するためのアイテムを活用するのも、適切な湿度を保つためにおすすめです。たとえば、除湿器にはコンプレッサー式やゼオライト式、加湿器にはハイブリッド式やスチーム式など、さまざまなタイプがあります。それぞれのメリットやデメリットを把握したうえで、使用したい部屋に合わせて選ぶようにしましょう。対応できる部屋の広さも違うため、適切なものを選ぶことも大切です。ただし、乾燥しやすい時期だからといって加湿器を使用したままにするのは注意が必要です。たとえば、夜に暖房を切ったあとも加湿器を使うと、室温が下がることで湿度が上がり、結露の原因になります。そうするとカビが発生しやすくなるので、室温の変化にも気を付けながら使用しましょう。
なお、すでにエアコンが設置されている部屋では、エアコンの除湿モードを活用するのもよいでしょう。最初に冷房モードで室温を下げると、より効果的に湿度を下げることができます。
このほか、珪藻土やエコカラットは、湿度を適切に調整してくれる素材として人気です。引っ越しやリフォームを考えている方は、このような便利な素材もあるので検討してみるとよいでしょう。

まとめ

湿度のコントロールは、快適な暮らしを実現するために欠かせないポイントです。湿度が高すぎても低すぎても、よくない影響があります。生活の中で工夫したり便利なアイテムを上手に取り入れたりしながら、ご自分の環境にあった方法を取り入れていきましょう。

※ 厚生労働省 「建築物環境衛生管理基準について

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