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高齢者は特に注意! 脱水を予防して体を守ろう

kurashino

体の中の水分が不足したときに起こる脱水症。高齢者はぜひ気をつけておきたい症状のひとつです。老化にともなって臓器の機能が低下するほか、多くの薬を服用する場合もあるため、若い頃よりも脱水になりやすいのです。本人も周囲も気が付かないまま重症化し、「熱中症」で命を落とすこともあります。

はっきりとした症状がないのに脱水状態になってしまうことを「かくれ脱水」ともいいます。この段階で気付き、症状が進行しないうちに早めに水分を補給することが大切です。

自分の体調の変化に気付くこと、常に意識して水分補給することを習慣にしましょう。そうすれば、脱水症を予防することができます。
今回は、高齢者の脱水になりやすい原因やかくれ脱水のサイン、予防法について解説します。

どうして高齢者は脱水になりやすいの?

高齢者が脱水になりやすい原因には、加齢にともなう変化(身体的背景)と、社会や環境の要因(社会的背景)の2つがあります。

身体的背景

加齢にともなうからだの変化の特徴は、次の通りです。

  • 腎臓・心肺機能が低下し、臓器の反応が悪くなる。
  • 皮膚の温度センサーが鈍くなり「暑い」と感じにくくなる。
  • 喉が渇いたと感じにくくなる。
  • 体内の水分量が低下する。

※環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」を基に作図

環境省が発行する「熱中症環境保健マニュアル 2018」によると、体液の量は老化にともなって減少していきます。これによって、体内に熱がこもりやすく逃がしにくくなります。特に女性は男性と比べて筋肉量が少なく脂肪が多いため、高齢になるにつれ体内の水分量が少なくなり、脱水になりやすいと言われています。
高齢者はからだが暑さに反応しにくくなり、からだの変化に気付きにくくなるために、知らず知らずのうちに脱水が進んでしまうのです。

社会的背景

高齢者が脱水になりやすい社会的背景として、次の要因があります。

  • 多くの薬を内服することが多く、その副作用で体内の電解質のバランスが崩れやすい
  • 「夜中にトイレのために起きたくない」「トイレが近くなるから」と水分摂取を避ける傾向がある
  • ひとり暮らしになると周りの目が行き届かず、食事の栄養バランスが偏りやすくなり、水分不足になる
  • 節電を理由に冷房をつけない。または、弱めに設定する人が多い

実際にどのくらいの人がどんな状況で脱水状態に陥り、熱中症になっているのでしょうか。
厚生労働省の資料(※1)によると、2017年夏に「日常生活」中に熱中症を発症した人は、50代以降がほとんど。男女別年齢層別のグラフを見ても、年齢を重ねるにつれ男女ともに入院する人が多いことが読み取れます。

※環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」を基に作図

※環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」を基に作図

続いて、年度別の発生状況をみてみましょう。

※消防庁「熱中症対策リーフレット」、消防庁「熱中症情報」を基に作図

消防庁(※2)の資料によると、熱中症により、毎年約4万人以上の方が救急搬送されています。平成30年の搬送者数は、なんと約9万人超。これは、平成20年の調査以来、過去最多ということです。そして、今年は8月18日時点ですでに5万1,729人(※一部速報値)が搬送されており、例年並みの水準が予測されます。
今後も地球全体の温度がどんどん上昇していくことが予想されます。毎年、注意が必要です。

水分不足のサイン! 「かくれ脱水」の症状チェック

高齢者の脱水はからだへのダメージが大きいため、脱水の一歩手前の状態である「かくれ脱水」の段階で早めに対処することが大切です。
次のようなサインがあれば、からだに水分が足りていないのかもしれません。

  • 食欲がない
  • 口の中が渇く、ねばついた感じがする
  • 指先が冷たい
  • 肌が乾燥している
  • 便秘気味

また、次のようなチェック方法もあります。
指先の爪を白くなるまでギュッと押して、離してみましょう。すぐに爪の赤みが戻らない場合は脱水状態になっている可能性があります。

効果的な水分の摂り方は?経口補水液も活用しよう

体の水分量をキープするためには、どのように水分を摂っていけばいいのでしょうか。

※環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」を基に作図

体重70kgの人が日常生活をする場合、1日約2.5リットルの水が体を出入りしています。汗をかいたときは、発汗量に見合う水分・塩分を補給することが必要ですが、日常生活でも、のどの渇きを感じる前に、こまめに水分摂取することが大切です。

飲み物以外にも、水分を多く含むゼリーや水ようかんなどは、夏場の食欲がないときにもおすすめです。また、スイカなどの果物を食べることで、より多く水分を摂取することができます。

もしも脱水状態になってしまった場合の対処方法も知っておきましょう。
体内の水分は電解質(ナトリウム、カリウムなどのミネラル)を含んでいるため、水だけ飲んでいると体液が薄まってしまいます。脱水症状の改善には、水分だけではなく塩分を適度に含んだ飲み物が必要です。
手軽なのは、経口補水液の活用です。これは脱水症治療のために開発された飲料で、"飲む点滴"とも呼ばれています。ご自宅に数本常備しておくとよいでしょう。

夏の蒸し暑い時期や、スポーツなどでたくさん汗をかく場合にもおすすめです。注意したいのは、一気に飲まずに少量ずつ摂取すること。少しずつ飲むことで胃腸に負担をかけることなく体内に速やかに吸収されます。糖分が多いので飲み過ぎには気を付けましょう。

脱水に気を付けていても、めまいやゆらつき、頭が痛い、唇が渇きやすいなどの症状があれば医師に相談しましょう。介護する人も普段と様子が違うと感じたら、ためらわずに医療機関の受診を促しましょう。

住居の環境も大切。室内の温度・湿度を快適に保つ

高齢者の方は「電気代がもったいない」と暑さを我慢したり、エアコンを高めに設定したりする傾向があります。しかし、消防庁の資料(※2)によると、熱中症の約40パーセントは「住居」で発症しています。

※消防庁「熱中症対策リーフレット

無理に節電せずに、室内の温度を適温に保つよう心がけましょう。エアコンの設定を「28℃」にしても、部屋の温度がその通りになるとは限りません。自分が快適に感じられるようにエアコンを上手に使って、暑い季節を乗り切りましょう。

また、夏場は「暑さ指数(WBGT)」を生活に取り入れましょう。これは気温だけでなく、湿度・日射熱も取り入れた「暑さを見える化」する指標です。
下の表のように、指数の値によって熱中症へのかかりやすさ、日常生活で注意すべきことがわかるようになっています。

※環境省「熱中症予防情報サイト」を基に作図

暑さ指数は、環境省の 「熱中症予防情報サイト」で毎日予報され現在値も掲載されています。ぜひチェックしてみてください。

毎日の運動で暑さに強くなる! 暑さに備えたからだ作りを

日頃からウォーキングなどで汗をかいていると、暑さに対するからだの抵抗力が高まります。これは、皮膚からの発汗が促され心肺機能が向上し、暑さに慣れやすくなるためです。生活習慣病の予防にもなりますので、ぜひ毎日30分以上の運動を習慣にしましょう。

ただし、暑さ指数が28℃以上の場合は、外での運動は熱中症になるリスクがあります。外出を控え、屋内で過ごすようにしましょう。

高齢者は脱水になりやすい特徴がありますが、日頃からからだの変化に気を配り、積極的に水分補給することでからだへのダメージを防ぐことができます。

エアコンをうまく活用して体温の上昇を防ぎ、睡眠不足や過度の飲酒を避けて体調を整えるようにしましょう。脱水を予防してからだを守ることは、将来の病気を予防することにもつながります。喉が渇く前に意識して水分摂取することを心がけ、毎日を元気に過ごしましょう。

出典

※1 環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」
http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf

※2 消防庁「熱中症対策リーフレット」
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/item/heatstroke003_leaflet.pdf

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