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お口のネバネバの原因「バイオフィルム」とは? 除去・防止方法を薬剤師が解説

kurashino

「バイオフィルム」という言葉をご存じでしょうか。ニュースなどでもときおり話題になるため、聞いたことがある方も少なくないでしょう。

「バイオフィルム」とは、簡単にいえば微生物の集合体のこと。身近な例としては、キッチンやバスルームの排水口などにできる"ぬめりのある膜"が挙げられます。

バイオフィルムは特別なものではなく、水のある場所にはたいてい存在します。つまり、ヒトの口腔内にも存在し、口のねばつきや口臭、歯周炎や歯石などさまざまな口腔内トラブルの原因となっています。

なぜバイオフィルムはできるのでしょうか。どのようにすれば取り除けるのでしょうか。
この記事では腔内のバイオフィルムの特徴に迫り、健康に与える影響と除去方法を解説します。

バイオフィルムができる理由と口腔内のバイオフィルムの特徴

前述のとおり、バイオフィルムは微生物の集合体です。水のある場所にできますが、水中に浮遊するのではなく、固形物や生物のからだの表面などに付着して形成されます。多くの場合、微生物が産生する物質により覆われています。

バイオフィルムは、微生物が薬剤や生体の免疫反応、外部の環境変化といった外的要因から身を守るために形成されます。そのため、以下のような特徴があります。

  • 細菌がかたまりバリアを形成しているため、消毒薬や抗生物質が効きにくい
  • 白血球など生体の防御システムに抵抗する
  • バイオフィルムの内部でつくられた物質が局所に滞留し、疾患を誘発することがある
  • 対象物に強く付着しているため、超音波や器具を使用しないと剝がしにくい

この特徴を口腔内のバイオフィルムに当てはめると、「薬が効きにくい」「生体に備わった防御システムでは取り除けない」「虫歯や歯周病をまねきやすい」「ブラッシングだけで完全に取り除くのは困難」ということになります。

米田雅裕. 歯周病の予防と治療. e-ヘルスネット. 厚生労働省. (2020)より、転載

バイオフィルムが健康に与える影響

プラーク(歯垢)は、バイオフィルムの典型例です。そして、プラークは歯周病の原因となるものです。

米田雅裕. 歯周病の予防と治療. e-ヘルスネット. 厚生労働省. (2020)より、転載

厚生労働省「歯科疾患実態調査(平成28年)」によると、日本人の95%は毎日歯みがきを行っており、さらに77%が「毎日2回以上」磨いているとされています(※1)。しかしながら、全年代の41%が、「歯が痛い、しみる」「歯ぐきが痛い、はれている、出血がある」「口臭がある」などの自覚のあることもまた明らかになっています(※2)。
この結果からも推察されるとおり、口腔内のバイオフィルム(プラーク)を取り除き健康を保つためには、歯みがきだけでは不十分なのです。
もちろん、毎日の歯みがきはバイオフィルム(プラーク)の蓄積を防ぐために有効です。これに加え、歯科医師や歯科衛生士による徹底した歯石除去・歯面清掃を受けることで、口腔内の健康は維持できるようになります。

バイオフィルムを除去するには

バイオフィルムを除去するためには、毎日の正しい歯みがきと歯科医院での歯石の除去がポイントになります。

毎日の歯みがきのポイント

歯は、1カ所を20回以上、歯並びに合わせて磨くのが基本です。以下の点を意識すると、プラークを落としやすくなります。

毛先を歯と歯ぐきの境目・歯と歯の間にきちんと当てる
歯ブラシは、毛先が広がらない程度の軽い力で動かす
歯ブラシを小刻みに動かし、1~2本ずつ磨く

特にプラークが残りやすいのは、「歯と歯のすき間」「奥歯のかみ合わせ」「「歯と歯ぐきの境目」「歯並びがそろっていないところ」です。子どもの場合は、生えかけている歯にも注意しなければなりません。これらの場所は特に注意して、毎日ていねいに磨くようにしましょう。

歯科医院での歯石の除去

日々ていねいな歯みがきを心がけていても、歯石の除去や歯面の清掃は難しいものです。これらのケアは、歯科医師や歯科衛生士にお任せし、定期的に行うことが大切です。
歯石除去ではスケーラーと呼ばれる器具を使い、歯面清掃では歯の表面に付着したプラークや着色汚れを回転式の器具とペーストを使って除去します。ペーストは、知覚過敏や虫歯の予防のためにフッ素が配合されることが多くなっています。

バイオフィルムの除去は全身の健康にも貢献

バイオフィルムの一種であるプラークが原因で生じる歯周病は、糖尿病や動脈硬化などメタボリックシンドロームと関係が深い病気と互いに影響しあっていることが明らかになっています。

すでにメタボリックシンドロームと診断されている方はもちろんのこと、気になる病気や症状がない方も、健康を維持するために口腔内のバイオフィルム(プラーク)対策に積極的に取り組みましょう。

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