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【看護師が解説】腰が痛い、足がしびれる......腰部脊柱管狭窄症の症状と注意点

kurashino

年齢とともに、腰や足に痛みとしびれを感じる人は少なくありません。原因として、多く挙げられるのが腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。

腰部脊柱管狭窄症が悪化すると、どんどん症状が強くなり、歩くのが難しくなります。そうなると、日常生活の何気ない動作もつらく、趣味も楽しめなくなってしまいます。

今回は、腰部脊柱管狭窄症の症状や治療法、症状を軽減させるための生活上の注意点などを解説します。

原因の多くは「加齢」

腰部脊柱管狭窄症とは、腰のあたりにある脊柱管が狭くなり、神経を圧迫する病気です。
脊柱管は、下記の図のように背骨に沿う形で位置しており、その中を神経が通っています。腰のあたりの神経が圧迫されると、腰痛や足のしびれなどの症状がでます。

腰部脊柱管狭窄症の原因のなかでも多いのが加齢です。加齢により、椎間板や靭帯も老化の影響を受けてしまいます。

年代別の調査によると、日本における有病割合は5.7%(40~79歳、調査対象4,400人のうち)と推定されています。年代別では、40代1.9%、50代4.8%、60代5.5%、70代10.8%となっており、年齢が上がるにつれて増加していることが分かります。特に、70代になると、グンと増えていることが下記のグラフからもお分かりいただけることでしょう。

Shoji Yabuki, et al. J Orthop Sci (2013) 18:893-900

このデータは、脊柱管狭窄症全般に関するものですが、腰部に症状を持つ場合にも同じような傾向がみられると推測できます。
日本は高齢者人口がどんどん増えているので、腰部脊柱管狭窄症の患者がさらに増えていくことが想定できます。

腰部脊柱管狭窄症の症状 悪化すると歩けなくなることも

腰部脊柱管狭窄症の症状には、以下のようなものがあります。

足のしびれや痛み

腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状です。
脊柱管が狭くなり神経が圧迫されることで、足のしびれや痛みが出ます。

腰痛

痛み自体はあまり強くなく、安静にしていると落ち着くことがほとんどです。

排尿・排便障害

腰あたりの神経が圧迫されると排泄機能にも影響を与え、尿失禁や便秘など、排泄がスムーズにできなくなってしまいます。こうした排尿・排便障害は、腰部脊柱管狭窄症の状態が悪化したときに多く見られます。

間欠性跛行(かんけつせいはこう)

腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。歩くことで神経が圧迫されて痛みやしびれを感じますが、前かがみで休むと緩和されます。そうすると再び歩けるようになりますが、歩くとまた症状が出て歩けなくなります。このように、歩く→症状が出て休む→治まってまた歩く――を繰り返すのが間欠性跛行です。休みながら歩くことになるので、長時間歩くのが難しくなります。

腰部脊柱管狭窄症が悪化すると、動いているときにだけ出ていた症状が安静時にも出てくるようになります。また、歩ける距離がどんどん短くなり、やがて日常生活が思うようにいかなくなってしまいます。

腰部脊柱管狭窄症の検査と治療法とは

腰部脊柱管狭窄症を専門とする診療科は、整形外科です。上述のような症状を感じた場合には、早めの受診をおすすめします。

腰部脊柱管狭窄症かどうかを診断するため、病院では以下のような検査を行います。

1.レントゲン

症状の有無や、その程度を把握します。

2.MRI検査

強力な磁場を使い、からだの断面図を撮影します。レントゲンよりも神経や軟骨など詳細に撮影することができるので、より詳しい診断ができます。

3.脊髄造影検査

背中から造影剤を注入し、体勢を変えながら、圧迫されている神経の状態をチェックします。なお、治療法には、「保存療法」と「手術」が主として挙げられます。

保存療法

手術以外の治療法全般をいい、「安静にする」「コルセットを着用し、正しい姿勢を保つ」「リハビリテーションで無理のない運動を行い、血流を促す」「内服薬で痛みをやわらげる」などがあります。内服薬の効果があまり感じられないときは、ブロック注射(神経のあたりに麻酔薬を注射し、痛みをやわらげる治療)を行うこともあります。

手術

保存療法の効果がない場合や、歩行障害・排尿障害など神経症状が強い場合に手術を行います。具体的には、腰から切開し、狭くなった脊柱管を広げて、神経の圧迫を取り除きます。現在では、内視鏡を使ったからだに負担の少ない手術も行われています。

日常生活での注意点

腰部脊柱管狭窄症と診断されると、手術をしない限り治らないのではないかと不安に思う方もいるかもしれません。確かに根本的な治療は手術ですが、病状を悪化させないために日常生活でできることもあります。
今回は4つのポイントを紹介しますので、普段の生活に取り入れられそうなものからぜひ取り組んでみてください。

1.適度な運動をこころがける

痛みが強い時期の運動は症状を悪化させてしまいますが、そうでない場合には適度な運動をおすすめします。運動することで、筋肉がほぐれて血流量が増えるので、しびれや痛みが緩和されます。また、筋肉がつくことで姿勢が正しくなり、腰の負担を軽減できます。
腰部脊柱管狭窄症は、前かがみの姿勢を取ることにさほど大きな負担はありません。そのため自転車での走行、手押し車での歩行などは少ない負担で済みますので、無理のない範囲でやっていきましょう。

2.適正体重を維持する

体重が増え過ぎると、骨や関節に大きな負担を与えてしまいます。腰への負担を減らすためには、自分にとってちょうどよい体重を維持することが必要です。運動とともに食事面にも気を付けて体重をコントロールしましょう。

3.腰に負担をかけない姿勢をとる

普段の生活のなかで、意識しないと姿勢が悪くなってしまうことは誰にでもあると思います。腰部脊柱管狭窄症と診断された方は、姿勢が悪いと腰に負担がかかってしまうので、いっそう気を付けるようにしましょう。以下に、負担を軽減させる姿勢の例を挙げておきます。

  • 重いものを持つときは、腰ではなく膝を曲げる
  • イスに座るときは、背筋を伸ばす
  • 自分の体型やテーブルの高さに合ったイスを選ぶ
  • 寝るときは横向き、または膝の下にクッションを入れる

4.禁煙する

たばこはさまざまな病気の原因になることで知られていますが、腰部脊柱管狭窄症も例外ではありません。たばこは血流を悪くし、軟骨や神経に悪影響を与えます。しびれや痛みを悪化させるので、喫煙習慣がある方は禁煙するようにしましょう。

まとめ

腰部脊柱管狭窄症は、年齢とともに誰にでも起こり得る病気です。腰痛がなかなか治らない、歩くと足がしびれるなど、症状を感じたら早めに病院に行くようにしましょう。

根本的な治療は手術しかありませんが、悪化させないために日常生活で工夫できるポイントもあります。できる範囲の対策をひとつひとつ地道に行い、医師と相談しながら症状を少しでも緩和していきましょう。

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