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【看護師が解説】女性に多い自己免疫疾患 その特徴と症状、生活の注意点は?

kurashino

「自己免疫疾患」という病気を聞いたことがありますか? ピンとこない方でも、関節リウマチや甲状腺疾患は聞いたことがあるのではないでしょうか。

自己免疫疾患はその名のとおり、自分の免疫が自分自身を攻撃してしまう病気です。多くの場合、病気のリスクは年齢とともに上がりますが、自己免疫疾患は若い人でもかかることがあります。

今回は、自己免疫疾患の特徴や病気の症状、生活を送るうえでのコツなどを解説します。

自己免疫疾患とは? 男性よりも女性に多い

自己免疫疾患とは、免疫機能が自分自身を攻撃してしまう病気です。
免疫機能というと、ウイルスや細菌など異物に対して反応するものというイメージがあると思います。しかし、自己免疫疾患では免疫機能が自分自身に対して反応してしまいます。

正常な免疫機能ではウイルスや細菌などの異物がからだの中に侵入すると排除しようとしますが、自己免疫疾患ではこの機能が自分自身に働いてしまうことで、炎症や痛みなどの症状が起こります。

自己免疫疾患の原因は今のところ分かっていませんが、女性ホルモンが関係しているのではないかといわれています。実際に、自己免疫疾患になる患者さんは女性が多くなっています。

以下は、自己免疫疾患の性別による患者数の違いを表したものです。
男性を1とした場合、どの病気においても女性の患者数が多く、橋本病(甲状腺機能低下症)では約20倍もの差があります。

博多リウマチセミナーにようこそ資料「自己免疫疾患はなぜ女性に多いのか」の情報を基に作図

また、自己免疫疾患は30代~40代など若い世代にも起こり得るのが特徴です。なかには、国から難病に指定されているものもあります。治療も長くかかることから法律によって研究の推進と医療費の補助が定められています。

自己免疫疾患の主な病気と症状

自己免疫疾患にはたくさんの種類があります。ここでは、代表的な疾患を4つ紹介します。

1.全身性エリテマトーデス

関節や皮ふ、内臓など、全身のさまざまな場所に炎症を引き起こす病気です。炎症の場所によって皮膚炎、関節炎、臓器の障害などの症状があります。なかでも特徴的な症状が頬に出る赤い発疹(バタフライ・ラッシュ)です。両側の頬に蝶が羽を広げたような形に発疹が現れます。
全身性エリテマトーデスは、自己免疫疾患のなかでも多くみられる病気です。難病情報センター(※1)によると、平成26年度現在、6万3千人以上の人が受給証の交付を受けています。

2.関節リウマチ

手や足などの関節が腫れて痛みが出ます。指の小さい関節だけでなく、肩や股関節など大きな関節にも症状が現れます。腫れや痛みのほか、だるさや朝起きたときの関節のこわばりなどもよく聞かれる症状です。症状が悪化し関節が変形すると動きが制限され、日常生活に支障をきたしてしまいます。

3.シェーグレン症候群

分泌腺に炎症が起こる病気です。たとえば、涙腺に炎症が起こるとドライアイ、唾液腺に炎症が起こるとドライマウスになります。そのほか、関節の痛みやリンパ節の腫れなどの症状もあります。

4.甲状腺疾患

何らかの異常により、甲状腺ホルモンの量が多かったり少なかったりすることで引き起こされるさまざまな症状を指します。

5.甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺ホルモンが多く分泌され、甲状腺が腫れや動悸、息切れが起きます。

6.甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺ホルモンが少なくなり、疲れやすさやむくみなどの症状が出ます。

自己免疫疾患の治療法と完治の可能性

自己免疫疾患の治療法はありますが、病気そのものを完治させる治療はありません。そのため、症状をコントロールする治療が行われます。いわば、完治ではなく症状をコントロールしてうまく付き合っていくことが治療の目的です。

病気や症状によってさまざまですが、多くの場合で免疫抑制療法が行われます。使用する薬は、主に以下の2つです。

1.ステロイド薬

自己免疫疾患の治療で、主に使用される薬です。副腎皮質ホルモンと同様の作用をする薬で、免疫を抑えることで炎症反応も抑える効果があります。

2.免疫抑制剤

からだの中で起きている免疫反応を抑える薬です。ステロイド薬の効果が弱い場合や、ステロイド薬を減らすときに使用します。

このほか、自己免疫疾患は明確な治療薬がないことから民間療法も広まっており、「これをやれば完治する」「ステロイド薬は危険」など、科学的な根拠がない情報もあります。誤った情報を信じてしまうと病状が悪化してしまいます。気になる情報に触れたときは医師に相談しながら治療を進めましょう。

「治療法がない」と聞くと不安になってしまう方もいるかもしれませんが、予後(病気の経過)は良好で、治療の効果は年々よくなっています。

京都大学医学部附属病院によると、全身性エリテマトーデスではステロイド治療が導入される1950年代以前の3年生存率は50%以下でしたが、70年代には5年生存率が75%、80年代は90%、90年代以降は95%以上と上昇しています。(※2)

自己免疫疾患の生活のポイントと予防法

自己免疫疾患を悪化させず、穏やかに生活するためのポイントは以下のとおりです。

自己免疫疾患を理解する

症状は病気によってさまざまで、その人によっても違います。また、その日によっても違うため「昨日は体調がよかったのに、どうして今日はこんなに悪化したのだろう」と戸惑う人もいます。自己免疫疾患の特徴を家族にも理解してもらい、日常生活をサポートしてもらいましょう。

規則正しい生活を心がける

症状を悪化させないためには、規則正しい生活が基本です。バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠は、聞きなれた言葉ではありますが、ぜひとも意識したいポイントです。また、紫外線やタバコの煙も症状を悪化させる原因になるため、注意しましょう。
規則正しい生活は、自己免疫疾患の合併症予防にもつながります。合併症には、心筋梗塞や骨粗しょう症、感染症などがあります。これらの予防のためにも、できるところから取り入れていきましょう。

定期的な通院を欠かさない

病状を正しく理解し、適切な治療を行うためには、通院が欠かせません。自己免疫疾患は長く付き合っていく病気なので、ときには不安になることもあるかもしれませんが、通院で医師や看護師に相談しながら治療していきましょう。

まとめ

自己免疫疾患は、いまのところ原因も根本的な治療法も分かっていません。しかし、近年は治療の成果が上がってきています。まずは、健康の土台となる「規則正しい生活を送ること」を意識するとともに、自己免疫疾患を理解し、症状をコントロールしながら過ごすことが大切です。もしも異変を感じた場合は、早めに病院を受診しましょう。治療を受けてもなかなか治らない場合は、より専門的な医療機関への受診を検討してください。

また、予防法も分かっていないことから、現在、健康な方にも少なからず発症するリスクが潜んでいます。しかし、深刻に考えず、まずは正しい生活習慣を身につけ、いつまでも健康で過ごせるよう意識していきましょう。

※1 公益財団法人 難病医学研究財団 難病情報センター 「特定疾患医療受給者証所持者数

※2 京都大学医学部附属病院 免疫・膠原病内科 「膠原病とは

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