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ほぐしてもいい? 湿布の効果は? 「寝違え」の原因と治し方を薬剤師が解説

kurashino

起床時に、首が痛くて回せなかったり動かせなかったりする「寝違え」。だれもが1度や2度は経験していることでしょう。
寝違えは、さまざまな検査や画像診断を行っても特別な異常が見つかることはほとんどなく、「ケガ」というより、むしろ「軽い病気」といえます。

今回は、寝違えが起きてしまった場合の対処方法やくり返さないための予防方法、そして医療機関への受診が必要な注意すべき症状について解説します。

寝違えの起こる原因は

首に痛みが生じる原因は明らかになっていませんが、筋肉の血行不良や疲労、首の骨のうしろ側の関節を包み込んでいる結合組織(関節包)の炎症などが関与していると考えられています。

具体的には、下記の生活背景に寝違えのリスクが隠れています。

▼寝違えのリスクとされる生活背景

リスク

生活背景の例

腕の酷使

・重いものを持つ

・普段とは違う運動をする

長時間同じ姿勢を続けている

・寝返りが少ない

例:飲酒後の睡眠、疲労が蓄積した状態での睡眠、乳幼児の添い寝

・長時間におよぶデスクワーク

・スマートフォンの長時間使用

就寝時の環境

・枕が高すぎる

・敷布団がやわらかすぎる

・首や肩にエアコンの冷気が当たる

寝違えてしまったときの対処方法

朝起きたときの何となくの違和感や鈍い痛みから、寝違えに気づく人は多いことでしょう。この場合、下記のように対処してみましょう。

無理に動かさない、揉まない

強い痛みがある時期に無理に首を動かすと、痛みがより強くなってしまいます。揉みほぐすなど強い刺激を与えるのもNGです。無理に動かさず、マッサージなども避けてください。
痛みがある程度治まってきたら、少しずつ無理のない範囲で動かしても大丈夫です。できれば入浴後など、筋肉が軽く温まった状態で動かすようにしましょう。

痛みがひどい場合は冷やす

寝違えた直後であれば、タオルでくるんだ氷のうや保冷材で痛みのある部分を冷やすのもおすすめです。ただし、長時間冷やすと血行が悪くなってしまいます。痛みがある程度やわらいだら冷やすのをやめ、安静を保ちましょう。

鎮痛薬を使う

痛みが続く場合は、市販の鎮痛薬を使うのも方法のひとつです。ただし、痛いからといって短時間に何回も飲んだり、薬の量を自己判断で増やしたりするのは危険です。用量用法を守って使用するようにしましょう。併用薬がある場合はかかりつけ医を受診し、併用できる痛み止めを処方してもらってください。
なお、痛み止めの服用で痛みが弱くなっても、首を無理に動かしてはいけません。痛み止めはあくまで対処療法です。寝違えの原因自体を治すものではないことを理解したうえで、正しく使用してください。

枕は痛みを感じない高さで

横になるときは、枕を使うようにしましょう。枕は、痛みを感じない楽な高さにするのがポイントです。できれば、頭だけではなく首や肩まで支えられる枕を使い、首や肩の筋肉に負担がかからないようにしてください。
ちょうど良い高さや大きさの枕がない場合は、座布団やバスタオルなどで高さを調節すると良いでしょう。首の骨のカーブに沿って枕を軽く変形させると、無理な姿勢を避けられます。

▼寝違えの対処方法

やって良いこと

やってはいけないこと

寝違え直後の痛みが強い時期

・冷やす(短時間)

・痛み止めを飲む

・湿布を貼る

・動かす

・揉む(マッサージ)

・痛みをともなうストレッチ

・からだに合わない寝具を使う

痛みがある程度落ち着いたら

・無理のない範囲で動かす

・軽く温める

・痛みのある部分を冷やす

・からだに合わない寝具を使う

寝違えの予防方法

寝違えは、普段から肩こりに悩まされている人や、頭を支える筋肉が細い人(おもに女性)が起こしやすい症状です。日頃から予防を心がけましょう。

まず、肩こりのある人は筋肉をほぐして血行を良くすることをおすすめします。肩こりの原因となる眼精疲労や、血行不良をまねく冷えを解消することでも寝違え予防に役立ちます。また、重い荷物を持たない、同じ姿勢を長時間続けない、疲労をためない、寝酒をやめるといったことも大切です。

さらには、枕や敷布団など寝具の硬さにも気を付けてみましょう。
枕は、首の骨のカーブを支えられるものを選んでください。枕は高すぎても低すぎても首の骨に負担がかかります。やわらかすぎる敷布団も、からだが沈みこみ首の骨に無理な力がかかるので避けたほうが良いでしょう。寝ているあいだにエアコンなどを使っている場合は、冷気が肩や首に直接当たらないように風向きを工夫することも必要です。

なお、スマートフォンなどの利用が多くて肩や首のコリがひどい人の場合、首の骨の湾曲がなくなる「ストレートネック」が原因で寝違えを起こしていることが考えられます。
ストレートネックは、パソコンやスマートフォンなどの使用でうつむいた姿勢(頭が前に傾いた状態)が長時間続くと引き起こされやすいとされています。ストレートネックになると、頭の重みが分散されなくなるため首や肩のコリがひどくなり、負担の蓄積が「寝違え」としてあらわれることもあります。

症状が長引く場合は医療機関に相談を

寝違えの痛みは、通常は数時間から数日間程度で治まります。しかし、痛みが長く続く場合や手足にしびれが生じる場合は、早めに整形外科などを受診してくわしく調べてもらいましょう。症状が長引く場合は、頚椎椎間板ヘルニアや脊髄腫瘍、関節リウマチなどの病気も否定できません。実際、寝違えの痛みだと思い放置していたら、大腸がんが首の骨に転移していたという事例もあります。

寝違えはだれにでも起こりうるものです。だからといって放置するのは危険です。異常を感じたら早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

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