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前立腺がんの症状と治癒可能性は? 原因と予防法を看護師が解説

kurashino

男性特有のがんである「前立腺がん」。
年齢とともにリスクが上がることもあり、シニア世代にとっては気になるがんのひとつです。

前立腺がんは、他のがんほど耳にする機会は多くないかもしれません。ですが、高齢化の進む日本では患者数が増えています。自覚症状がないため、早期発見と予防が重要な病気のひとつです。

今回は、前立腺がんの特徴や治療法、早期発見のためのコツについてお伝えします。

前立腺がんとは? 意外と多い罹患数

「前立腺がん」とは、前立腺の細胞ががん化し、異常な増え方をする病気です。
前立腺とは、男性にのみある器官です。膀胱の下側にあり、尿道を囲むように位置しています。

国立がん研究センターによると、2018年の男性のがん罹患のなかで最多で、男女合わせても5番目に多いという結果でした。リスクが高いがんのひとつと言えるでしょう。

国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」の情報を基に作図

前立腺がんは年齢が高くなるにつれて罹患率が高くなります。国立がん研究センターによると、50歳辺りから少しずつ罹患率が上昇し、75歳以降で特に高くなっていることが分かっています。

国立がん研究センター がん情報サービス「全国がん罹患データ(2016年~2018年)」を基に作図

前立腺がんの原因ははっきりとは分かっていませんが、このデータから加齢が関係していることが分かります。「加齢にともなう男性ホルモンの変化が関係している」と考える研究者もいます。

前立腺がんは、前立腺肥大症からがん化する?

前立腺の病気で、よく耳にするのが前立腺肥大症です。この病気は、前立腺が大きくなることで尿道を圧迫するもので、頻尿や残尿感などの症状がでます。
前立腺がんと同じような病気に思うかもしれませんが、前立腺肥大症ががん化することはありません。ただし、前立腺がんと合併することがあります。

前立腺がんと前立腺肥大症が似たような病気と感じられる原因は、「加齢とともにリスクが高くなる」「症状に排尿障害(頻尿や残尿感など)がある」といった共通点があることも関係しています。

排尿に関する悩みは病気の有無に関係なく、加齢によって誰にでも起こります。そのため、仕方がないと諦めてしまう人もいますが、その症状の原因が病気かどうかは医師の診断を受けないと分かりません。気になる症状があるときは、泌尿器科を受診するようにしましょう。

前立腺がんの症状と治療法。治る確率は?

ここでは、前立腺がんの症状と治療法、気になる予後について説明します。

1.症状

初期の段階では自覚症状がないことがほとんどです。病状が進行すると、排尿障害が出現することもあります。前立腺がんは、比較的ゆっくり進行していきます。

2.治療法

がんの進行度や患者の年齢などを考慮しつつ、医師と相談しながら選びます。

監視療法

手術や薬などの治療をせず、経過観察を行う方法です。経過観察では、血液検査(PSA値)や前立腺生検(前立腺の組織を採取し検査する)で、がんの進行具合を定期的にチェックします。
監視療法は、がんの悪性度が低く治療をしなくても余命に影響がない場合に行いますが、途中で治療が必要だと判断した場合は、他の治療に切り替えます。

手術

前立腺の摘出手術を行います。開腹手術だけでなく、腹腔鏡手術もあります。

薬物療法

男性ホルモンの働きを抑える薬を使い、がんの進行を抑えます。

化学療法(抗がん剤)

点滴や内服薬で抗がん剤を体に投与し、がん細胞を小さくします。

放射線療法

X線でがん細胞を壊し、治療を行います。

3.予後(前立腺がんの経過、治癒する可能性)

前立腺がんは、がんのなかでは予後がいい部類に入ります。
以下のグラフは、5年相対生存率を表しています。これによると、生存率は限局(がんが前立腺にとどまっている)の場合100%、領域(リンパ節転移や近くの臓器に転移している)で99.2%、遠隔(前立腺から離れたところにある臓器やリンパ節に転移している)で53.4%という結果でした。
がんの進行が進めば進むほど予後が悪くなりますが、初期であれば治る可能性が高いことが分かります。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別統計情報 前立腺」の情報を基に作図

早期発見が大切! 日常生活で気を付けたいこと

前立腺がんは自覚症状がないことが多く、自分ではなかなか気づきにくいがんです。しかし、初期に発見できれば治る可能性の高いがんでもあります。そのため、検診を受けて早い段階で治療を受けることが大切です。

前立腺がん検診は、胃がんや子宮頸がんのように厚生労働省の指針に基づいた自治体主体の検診に含まれていません。そのため、検診を受ける際には自己負担となりますが、一部の自治体では独自に前立腺がん検診を推進し、費用の一部を負担しているところもあります。前立腺がん検診を受けたいと考えている方は、ご自身の住む自治体の対応をチェックしてみるとよいでしょう。

ちなみに前立腺がん検診では、血液検査を行いPSAの値を見ます。PSAとは「前立腺特異抗原」のことで、前立腺から分泌されるタンパク質を指します。前立腺がんに罹患している場合、PSAの値が高くなるため、症状がなくても気づくことができます。PSA値に異常があった場合は、確定診断をするために生検や超音波検査なども行います。

排尿障害は、前立腺肥大症や加齢で表れやすい症状です。「気のせいだろう」「それほど困っていないから様子をみよう」と放置せず、病院を受診するようにしましょう。

なお、前立腺がんは現時点では確実な予防法は分かっていません。そのため、一般的ながんの予防法にしたがい、生活習慣を見直すことが、いまできる予防法です。

国立がん研究センター(※)によると、がんを予防するためのポイントは「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」の6つです。「感染」以外の5つは生活習慣に関連するものです。

禁煙

喫煙習慣がある方は、ぜひ禁煙に取り組みましょう。自分自身が吸わなくても副流煙によってたばこの影響を受けてしまいます。家族が吸っている場合は、どうしたら禁煙できるか一緒に考え、対策をしてみてください。「禁煙外来」を利用するのも、ひとつの方法です。

節酒

少量の飲酒は血行をよくする作用もありますが、習慣的に多量の飲酒をするとがんのリスク要因になってしまいます。飲酒するときは、少量でとどめるようにしましょう。

食生活

植物性食品(野菜や豆類、果物など)を多くとるように意識しましょう。また、塩分のとりすぎはがんだけでなく、高血圧や動脈硬化などの要因になるので、注意が必要です。

身体活動

適度な運動は、がんのリスクを下げることが分かっています。仕事や家事で忙しく、なかなか運動できない人も多いかもしれませんが、生活のなかで少しでも多く動くよう意識してみてください。

適正体重の維持

肥満は、がんや高血圧など生活習慣病のリスクになります。腹八分目の食事と適度な運動で、自分にとって適正な体重を維持するようにしましょう。

 

予防法についてさまざま紹介しましたが、すべて完璧にするのは難しいものです。できるものから取り組み、少しでもリスクを下げるように心がけましょう。

まとめ

前立腺がんは、治癒する可能性が高いがんです。初期の段階で見つかるほど治癒率は高くなるので、いかに早い段階で発見できるかがポイントになります。シニア世代の人は、検診や早めの受診で早期発見に努めましょう。

同時に普段の生活習慣を見直すことも大切です。健康的な生活を意識し、前立腺がんの予防につなげましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※ 国立がん研究センター がん情報サービス 「科学的根拠に基づくがん予防

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