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孤立、こころの不調も...... "コロハラ"は迷わず相談

kurashino

新型コロナウイルスは、依然として全国で猛威を振るっています。誰が感染してもおかしくない状況のなか、感染によってこころの不調に陥ったり、職場に戻った後に孤立したりする人もいます。

今回はその事例を紹介し、対策について考えたいと思います。

「娘の居場所がなくなるかも」悩んでいた女性、自死か

ことし1月22日、東京新聞のニュースサイトに「新型コロナウイルスに感染し、無症状で自宅療養していた女性が昨年8月に亡くなっていた」という記事が掲載されました。
女性の子どもも陽性が判明し、亡くなる前には「学校でコロナを広めてしまった可能性がある。娘の居場所がなくなるかも」と夫に打ち明けていたほか、自死をほのめかす内容のメモが見つかっていると報じられています。

新型コロナウイルスについては、看護師の子どもが差別的な扱いを受けていることも問題になりました。ニュースで見かけた人も多いのではないでしょうか。

感染そのものが大きな精神的負担となるだけでなく、感染していなくても疑いの目を向けられることで苦痛を受けている人がいるという状況です。

「日頃の行動を細部まで怪しまれるように」

さて、最近になって筆者の知人のなかにも新型コロナウイルスに感染した人が出てきました。
そのうちのひとり、50代の女性は息苦しさと嗅覚の異変をきっかけにPCR検査を受け、陽性が判明。家族にも陽性反応が出たため、ホテル療養となりました。感染経路は不明だということです。

療養を終えて職場復帰しましたが、嗅覚・味覚がまったくないうえ、酸素飽和度が低く疲れやすい状態が続いていました。
それでもなんとか仕事はこなしていたものの、職場ではことあるごとに「遊びに行ってたんでしょ?」と繰り返し言われ、こんなことをしていたのではないか、あんなことをしていたのではないか、と疑いの目を向けられるようになったそうです。
客先で「担当を他の人に変えてほしい」と言われたこともあるといいます。

また、身体の不調が残るなかでも長時間労働となる日も多く、やがて女性は不眠を訴えるようになりました。休日の前夜は比較的眠れるものの、そうでない日は毎晩3時間ほどで目が覚め、眠れぬまま出勤するという状況が続きました。

「美容室にも行きにくい」

睡眠不足で日中にもぼうっとしたり頭痛がひどい日も多くなったり、限界を感じた女性は、周囲の勧めで心療内科を受診しました。
うつ病にまでは至っていなかったものの睡眠薬を処方され、不慣れな薬のせいで副作用の眠気が残るなかで仕事をしているといいます。

気分転換に美容室に行きたいと思ってはいるものの、美容室に行ったことは見た目で分かってしまいます。それをまた「不要不急の外出をした」と咎められることを恐れ、いまは控えているということでした。

体調の不良も訴えにくく、職場で孤立するようになり、離職も考えるようにもなりました。
そんな最中、ある客先で「ホテルに缶詰めだったんでしょ?」と突然聞かれたというのです。「感染については一切口外しないように」と上司から指示されており、女性もそれを守っていたのですが、関係者の誰かが漏らしてしまっていたのです。
幸いそのお客さんは女性を咎めたり、来ないようにと言い出したりすることはありませんでしたが、女性はショックを受け、職場への不信を募らせています。

自分を守る方法を考えましょう

これらのコロナウイルスハラスメントに対し、厚生労働省は、以下のように説明しています。

例えば、過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由として、人格を否定するような言動を行うこと、一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし職場で孤立させること等は、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合があります。

引用:「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」厚生労働省

また、パワーハラスメントについては、次の3つの要素をすべて満たすもの、と定義しています。

厚生労働省リーフレット「2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」より転載

ただ、上司や同僚のひとつひとつの言動がこれに該当するかの判断や線引きは、自分では難しいものです。とはいえ、ハラスメント防止措置は2020年6月1日から事業主に義務づけ(中小事業者は2022年1月から)されています。
措置義務として、厚生労働省はリーフレットのなかで下記のようにアナウンスしています。

「相談窓口の担当者等が相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び行為者の双方から丁寧に事実確認等を行うことも重要」

いざ自分が被害を受けていると感じる当事者になってしまうと、社内や連携機関に窓口があったとしても、相談しにくいと感じてしまうこともあるでしょう。しかし、療養を経た後でも、この女性のように身体に後遺症が残る場合もあり、身体の疲れと職場での気がかりが重なるとメンタルに不調をきたすおそれは大きくなることに注意しなければなりません。
また、身体への影響は、経験者でないと伝わりにくい部分もあるようです。まず、抱え込まないようにすることが大切です。

社内に関連する相談窓口は気が引ける場合には、都道府県の労働局や労働基準監督所内に相談コーナーがあります。

日頃から話題の共有を

新型コロナウイルスに関しては、多くの人が生活に不便をしいられ、ストレスを受け続けています。長引く不安から感染者に対して攻撃的、差別的になってしまう人も少なくないでしょう。

ただ、「マスク」「手洗い」「うがい」といくら気をつけていてもいまや、感染する人がいる、というのが筆者の周辺で起きていることです。
予防をよほど怠っていたというなら、事情が変わることもあるでしょう。しかし、症状に苦しみ、その後も体力の低下などが続く状況では、一番苦しむのは罹患者本人であることは言うまでもありません。その後の環境が原因で精神疾患に至った場合、さらに長い療養を必要とします。

こうした"コロハラ"の当事者を生み出さないためにも、日頃から職場で問題を共有し、話し合っておくことが大切です。また、療養後・退院後も体力の低下などはしばらく続く前提で、仕事量の調整にも協力するよう配慮することが、コロナ罹患者のこころを支え、スムーズな職場復帰を支援する手立てになるのではないでしょうか。

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