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高齢者は特に要注意! 庭仕事などでかかるマダニ媒介感染症の怖さとは?

kurashino

気温が高くなる季節は、庭の草むしりや畑仕事、レジャーなど、野外に出る機会が多くなります。そんなときに気をつけたいのが「マダニ」です。
マダニに咬まれて感染症を発症するケースは1年を通して報告されていますが、マダニの繁殖期にあたる春から秋にかけては特に活動が盛んになり、被害も多くなる傾向にあるといいます。

この記事では、マダニの生態やマダニを媒介とした感染症の実態、野外におけるマダニ被害の予防・対処法について解説します。

シニア世代は特に重症化しやすいことがわかっています。十分な備えをこころがけましょう。

さまざまな感染症の媒介となる「マダニ」とは?

マダニは、草むらや畑、山林などに生息し、動物や人の血液を吸って成長します。室内で見られる一般的なダニとは異なり、鋭い口器で皮膚に咬みつき、数日間にわたって吸血し続けるのが特徴です。見た目も一般のダニに比べしっかりしており、吸血前のサイズは3〜8mm程度ですが、吸血後は10〜20mmにもなります。(※1)

マダニは一年を通して活動していますが、気温の高くなる春から秋にかけてもっとも活動的になり、それにともないマダニ被害の報告も多くなります。

国立感染症研究所ウェブサイト「重症熱性血小板減少症候群|図1.2013年3月4日以降に届け出られたSFTS症例の発症時期」の情報を基に作図

万が一、病原体(ウイルスや細菌)を保有するマダニに咬まれた場合、これがもととなって感染症を発症し、ときに重症化することもあり大変危険です。

これまでマダニを媒介とする重度感染症で亡くなった人の多くは50歳以上のシニア世代であり、高齢になるほど重症化しやすいことがわかっています。(※2)

マダニを媒介してかかる感染症の種類

マダニの媒介による感染症にはいくつか種類があり、「日本紅斑熱」「つつが虫病」「ダニ媒介脳炎」「重症熱性血小板減少症候群」が代表的です。これらの感染症は、"病原体を保有するマダニ"に咬まれることで感染・発症します。

▼マダニを媒介してかかる感染症

感染症名

主な症状・特徴など

日本紅斑熱

主な症状として、頭痛・発熱・発疹・全身のだるさがある。

潜伏期間は2~8日(※3)

つつが虫病

全身のだるさ、食欲不振、40℃にも達する発熱が特徴。重症化すると肺炎や脳炎症状をきたすこともある。

潜伏期間は5~14日(※4)

ダニ媒介脳炎

日本で確認されているのは「極東亜型ウイルス」と呼ばれるタイプ。(※5)

感染した場合は重篤な経過をたどりやすく、致死率は20~40%とも言われている。幸い一命をとりとめても、高確率で神経的な後遺症が残る。感染すると非常に危険な感染症のひとつ。(※6)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

主な症状は発熱・消化器症状(食欲低下・吐き気・嘔吐・下痢など)。感染者のほとんどは60歳以上、致死率は約20%とも言われる危険な感染症である。(※7)

2011年に中国で新型感染症として発見され、日本国内では2013年に初めて感染者が確認された。これまで西日本を中心に感染者が報告されている。(※8)

マダニに咬まれたすべての人が感染症を発症するわけではありませんが、マダニ媒介脳炎やSFTSについては現在のところ有効な治療薬がなく、万が一発症した場合は症状への対症療法しか手立てがありません。予防接種のワクチンもないため、マダニによる感染被害を受けないためには、「咬まれないこと」が唯一の予防となります。

マダニの予防と咬まれたときの対処法

マダニの予防は、マダニが多く生息している場所に近づかないことが一番ですが、草むらや山林だけでなく、民家の裏庭や畑など生活圏内で被害に遭うこともあります。
気温の高い季節に草木の多い野外に近づく際は、なるべく肌を露出しないようにし、マダニに有効な虫除けスプレーを使用するなど予防策を講じましょう。

国立感染症研究所「マダニ対策、今できること|2.マダニから見を守る服装」の情報を基に作図

虫除けスプレーの使用はあくまでも補助的な予防法です。草むらにはなるべく近寄らず、肌の露出を最小限にして、マダニに近づかない、寄せ付けないことが大切です。

野外活動後は、必ずシャワーを浴びてマダニが付着していないか全身をチェックしましょう。
万が一、マダニに咬まれているのを発見しても、無理に取り除こうとしてはいけません。
咬まれた直後であれば取り除けることもありますが、咬まれてから時間が経過している場合は、すでにマダニが鋭い口器を肌に突き刺しています。無理に取り除こうとするとマダニの口器が皮膚内に残ってしまい、傷になったり化膿したりすることもあり非常に危険です。マダニに咬まれているのを発見したら、必ず皮膚科を受診し、処置を受けましょう。

さらに、マダニに咬まれた後の数週間は体調の変化に注意し、発熱・発疹・消化器症状などを認めた場合は速やかに医療機関を受診しましょう。(※9)

マダニ媒介感染症は予防が第一!

マダニ媒介感染症の怖さは、ワクチンでの予防ができず、一部のタイプでは有効な治療薬もなく重症化するケースがあることです。

もっとも優先すべきは「マダニに咬まれないようにすること」であり、マダニについての基礎知識があるのとないのとでは対応に大きな差が出てきます。
野外活動時の服装や活動範囲、万が一咬まれた際の対処法を理解し、しっかりと対策をとることが大切です。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

【出典元】

※1 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A 問8 厚生労働省 
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

※2 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A 問17 厚生労働省 
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

※3 日本紅斑熱について 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522_00001.html

※4 つつが虫病について 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000173061.html

※5 ダニ媒介脳炎に関するQ&A 問1 厚生労働省 
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/mite_encephalitis.html

※6 ダニ媒介脳炎に関するQ&A 問3 厚生労働省 
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/mite_encephalitis.html

※7 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A 問18 厚生労働省 
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

※8 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html

※9 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A 問12,問14 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

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