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更年期以降の女性は要注意!? 女性ホルモンと生活習慣病の関係とは

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女性ホルモンは、一生を通じて女性のからだにさまざまな影響を与えるものです。そして、その分泌量は、女性のライフステージによって大きく変動します。特に更年期以降は急激に減少するため、今までにないからだの変化が起こります。そのひとつが、生活習慣病に対するリスクです。

女性ホルモンには、女性のからだを守るさまざまな働きがあります。そのため、分泌量が激減する更年期ごろになると、脂質異常症をはじめとした生活習慣病にかかりやすくなるのです。

厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査報告 p148,p153,p155-156」の情報を基に筆者作成

閉経の平均年齢は50歳ごろといわれていますが、日本人女性の平均寿命は今や80歳を超えています(※)。そのため、閉経期以降の30年あまりを健康に過ごすためには、生活習慣病予防を意識した生活を考えなくてはなりません。

今回は、女性ホルモンの働きと生活習慣病との関係に焦点を当て、閉経期以降に気をつけたい日常生活の注意点について解説します。

ライフステージに応じて変化する女性ホルモンの分泌量

女性のライフステージは、小児期を除くと「思春期」「性成熟期」「更年期」「老年期」の4つに分けられます。
それぞれの時期で生じやすい症状・病気が異なります。あらかじめ知っておくと健康を維持するための対策を立てやすくなります。

春期

10代は女性ホルモンの分泌量が増加する時期です。ホルモンバランスが整わず、からだも未成熟なため、月経不順が起きることもあります。また、月経時に子宮が強く収縮することで、生理痛が生じることもあり、ひどい場合には治療が必要です。

性成熟期

女性ホルモンが盛んに分泌される時期で、18~40歳半ばを指します。
月経サイクルは規則正しくなりますが、身体的・心理的ストレスで乱れることもあります。また、子宮内膜症や子宮筋腫などが増加する時期でもあります。
月経不順や経血量の増加、ひどい生理痛などはからだからのSOSサインかもしれません。放置せず、適切なケアを行いましょう。

更年期

女性ホルモンの分泌量が急激に減少する時期で、閉経の前後5年間(45~55歳ごろ)をいいます。このころになると子宮のトラブルは徐々に減ってきますが、のぼせやイライラといった更年期障害があらわれる人もいます。症状が重く日常生活に支障が生じる場合は、婦人科を受診して治療を受けましょう。
また、次の項で詳しく説明しますが、女性ホルモンの分泌量が激減するため、生活習慣病への積極的な取り組みが必要となってきます。

老年期

閉経から5年以上が経つと、女性ホルモンの分泌量が乏しくなる老年期になります。更年期と比較して体調は安定しますが、生活習慣病のリスクはいっそう高くなるので注意しましょう。
また、女性ホルモンの減少にともない、膣の粘膜が薄くなって分泌液も少なくなります。そのため、出血したり細菌による炎症が起きたりすることもあります。気になる症状がある場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

▼女性のライフステージと病気の関係

ライフステージ
(年齢の目安)

起きやすい症状・病気

思春期
(10~18歳ごろ)

月経不順(ホルモンの分泌量が不安定なことによる)、月経前症候群、月経困難症など

性成熟期
(18~45歳ごろ)

月経不順(心身のストレスや病気による)、月経前症候群、月経困難症、子宮筋腫、子宮内膜症など

更年期
(45~55歳ごろ)

月経不順(ホルモンの分泌量が減少することによる)、月経前症候群、月経困難症、更年期障害など

老年期
(55歳ごろ~)

生活習慣病、骨粗しょう症、老人性膣炎など

女性ホルモンの減少にともない、注意したい病気

女性ホルモンの1つ「エストロゲン」には、血清脂質の状態を良好に保つ働きや血管を守る働きがあります。更年期にさしかかり、エストロゲンの分泌量が減ると生活習慣病のリスクが増大します。

脂質異常症

エストロゲンには、総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールをおさえてHDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあります。そのため、更年期ごろから脂質異常症になる人が増えてきます。
脂質異常症になると、動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞など命にかかわる病気を発症するリスクが高くなるため、注意が必要です。

高血圧

エストロゲンには、血管拡張作用を持つ物質の産生を増加させる働きがあります。また、血管の内側を保護して、動脈硬化の進行をおさえる効果もあります。
更年期に差しかかると、このような血管を守る働きも弱くなってくるため、血圧が高くなりがちになり、動脈硬化が進行しやすくなります。

肥満

エストロゲンには、皮下脂肪を増やして内臓脂肪を減らす働きがあります。そのため、分泌量が減って内臓脂肪がついてくると、お腹まわりがふっくらしてきます。肥満を放置すると生活習慣病が悪化しやすくなるので、気をつけなくてはなりません。

骨粗しょう症

骨粗しょう症は、骨の新陳代謝のバランスが崩れて骨がもろく弱くなってしまう病気です。
エストロゲンは骨の新陳代謝にも深くかかわっており、エストロゲンの量が減る更年期以降では骨粗しょう症になる人が急増します。
骨粗しょう症になると、ちょっとしたことで骨折しやすくなり、場合によっては寝たきりになることもあります。

更年期以降に気をつけたい生活習慣

女性ホルモンの分泌が乏しくなる更年期以降に、生活習慣病や骨粗しょう症などのリスクを減らすためには、食事や運動に注意することが大切です。急激なダイエットや負荷の強い運動といった無理を避け、長期的な視点で生活習慣の改善を目指しましょう。

食生活を改善する場合は、食物繊維の多い野菜の摂取量を増やすようにしましょう。ただし、野菜だけでは筋肉の元となるタンパク質を摂取することが難しくなります。肉だけではなく、魚や大豆などからも良質なタンパク質を摂取し、工夫のもとバランスの良いメニューを考えるようにしましょう。また、骨の健康を維持するために、カルシウムやビタミンDを含む食品をとることも大切です。

コンビニエンスストアなどを利用する場合は、お弁当ではなく単品メニューを利用すると栄養バランスが整いやすくなります。また、食べすぎを防ぐために、野菜類から食べることをおすすめします。
醤油やソースは「かける」のではなく、小皿などに注いで「つける」ようにすると、塩分のとり過ぎを防ぐことができます。

閉経以降に蓄積しやすい内臓脂肪は、運動で消費されやすいものです。無理のない範囲でからだを動かしましょう。だからといって、ジムなどに通うことは必ずしも絶対ではありません。掃除や洗濯をする際に積極的にからだを動かすのも立派な「運動」です。
なお、運動には適正体重を保つ作用だけではなく、骨を丈夫にする作用も期待できます。健康維持のために、こまめにからだを動かすようにしましょう。

女性のからだはライフステージごとに大きく変わりますが、目に見えない変化を自覚するのは難しいものです。今まで病気の経験がない方も、更年期になったら定期的に健康診断を受けて、早めに生活習慣病対策を始めましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

参考文献・参考サイト

※ 厚生労働省「平成30年簡易生命表の概況>平成30年簡易生命表(女)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-07.pdf

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