50代から気をつける病気。予防・対策 健康 病気

感染症からからだを守るために免疫力を高めよう 健康維持に役立つ生活習慣とは

kurashino

「年齢とともに風邪をひきやすくなった」「以前に比べて病気が治りにくくなった気がする」。このような症状は、もしかすると免疫が低下しているからかもしれません。
加齢によって、徐々に免疫が低下するのは自然なことですが、できるだけ長く元気に過ごしたいと願うのは誰しも同じです。

そこで今回は、免疫をテーマに、その仕組みや高齢になると免疫が低下する理由、免疫が低下するとどうなるのかをはじめ、年齢以外に免疫が低下する原因や免疫を高めるために心がけたい生活習慣についてまとめました。

加齢は避けられませんが、生活習慣を変えることはできます。本記事を参考に、ご自分の生活習慣を振り返るきっかけになれば幸いです。

免疫とは? 免疫細胞と免疫の仕組みについて

免疫は、ウイルスや細菌などの異物を見分け、健康を保つシステムです。免疫はプラスに働くだけでなく、自己免疫疾患といって自分自身を攻撃してしまう病気も引き起こします。関節リウマチや全身性エリテマトーデスが代表的ですが、この記事では感染症に対する免疫を取り上げます。

免疫で主に活躍するのは、血液中の白血球に含まれる免疫細胞です。血液やリンパの流れにのって全身をまわり、私たちの健康を守ってくれています。

免疫の仕組みには、以下の2種類があります。

自然免疫

異物が身体のなかに浸入してきたとき、初めに反応する免疫です。マクロファージや好中球などの免疫細胞が異物を攻撃します。

獲得免疫

自然免疫の反応を経て、特定の異物を排除するように働く免疫です。一度感染すると異物の情報を記憶できるため、発症を防いだり軽症で済んだりします。
予防接種で抗体ができるのは、獲得免疫の仕組みを利用しているためです。

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 「平成29年3月8日プレスリリース 細菌感染時の白血球の分化を制御する仕組みを発見―造血幹細胞から自然免疫系の細胞を優先して作る機構―」の情報を基に作図

なぜ高齢になると免疫が低下するのか

「高齢になると免疫が低下しやすい」という話はよく聞きます。その理由は、免疫細胞を作る骨髄や胸腺の機能が加齢とともに低下するためです。新しく作られる免疫細胞の機能も低下するので、免疫も低下しやすくなります。

また、自然免疫よりも獲得免疫のほうが、加齢によって著しく低下することが分かってきました。獲得免疫の能力は20代頃がピークで、40代では半分に低下するといわれています。(※)
そのため、高齢者は「予防接種をすれば安心」というわけではありません。同時に生活習慣を整え、感染症を予防する必要があります。

免疫が低下すると具体的にどうなるのか

免疫の低下によって起こりうることは、3つあります。

感染症にかかりやすくなる

免疫が低下すると、異物を排除できなくなるため感染症にかかりやすくなります。

重症化しやすくなる

免疫が十分にあれば軽症で済むものでも、そうでない場合は重症化するおそれがあります。
下のグラフは、年齢別にみたインフルエンザ致死率の違いです。インフルエンザで死亡する人は、50歳を過ぎると徐々に増え、70歳以上になると全年齢平均を大きく上回ることが分かっています。
加齢による免疫の低下は、若いころであれば治る病気であっても重症化を引き起こし、亡くなるケースも多いことを示唆しています。

政府統計の総合窓口「平成30年人口動態統計|上巻 死亡 第5.16表 死因(死因簡単分類)別にみた性・年齢(5歳階級)別死亡率(人口10万対)」の情報を基に作図

回復に時間がかかる

感染症にかかったとしても、免疫が機能していれば異物は減少し、着実に回復していきます。しかし、そうでない場合はなかなか治りにくく、回復に時間がかかってしまいます。

年齢以外に免疫が低下する原因とは?

免疫が低下する原因は、年齢だけではありません。病気の治療に使われる薬や喫煙も、免疫を低下させます。それぞれ詳しくみていきましょう。

病気

免疫が低下しやすい病気として、がんやエイズがあります。
がん細胞は正常な細胞よりも細胞分裂のスピードが早く、多くのエネルギーを消耗します。そうすると栄養不足になり、免疫細胞の機能を低下させてしまいます。
またエイズは、エイズの原因となるHIVが免疫細胞を破壊してしまうため、免疫低下につながります。
意外に思うかもしれませんが、糖尿病も免疫が低下しやすい病気です。血糖値が上がることで免疫細胞の働きが弱くなります。

病気の治療に使われる薬

抗がん剤には、免疫を低下させる作用があることで知られています。抗がん剤は、がん細胞のみならず、全身にわたり作用します。なかでも、細胞分裂が活発な部位に作用しやすく、骨髄はそのひとつです。骨髄の機能が低下することで免疫細胞も減少するため、免疫の低下が起こります。

また、比較的身近な薬である抗生物質やステロイドも、免疫を抑制する作用があります。
細菌を抑える抗生物質は、私たちの身体にある悪さをしない常在菌までも減少させ、細菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。ステロイドは免疫を抑制する作用を利用して治療を行う薬ですが、結果として感染症にも気をつける必要があります。

ただし、これらの薬による免疫低下は、必ずしも感染症の原因になるわけではありません。薬の量や服用期間など、さまざまな要因が関係します。医師と相談しながら治療を進めましょう。

喫煙

ニコチンは、肺機能だけでなく免疫機能も低下させます。喫煙本数が増えるごとに、症状も重症化もしやすくなります。
喫煙は、百害あって一利なし。そして、自分のみならず、大事な家族の健康を損なう恐れもあります。喫煙習慣のある方は、からだの免疫力を高め、病気から身を守るために、禁煙に向けた取り組みを始めましょう。

厚生労働省 「たばこ・アルコール対策担当者講習会 12P」の情報を基に作図

過度の飲酒

少量の飲酒は、血行促進や血糖値の減少など、プラスの効果があるといわれています。しかし、過度の飲酒はさまざまな病気の原因になります。そのなかのひとつが免疫低下です。アルコールにより栄養の吸収が阻害されることで栄養不足となり、免疫低下につながります。

免疫を高めたい! 自分で改善できる生活習慣4つ

免疫は、さまざまな要因で低下することが分かりました。そのなかで、自分自身で変えられるのが生活習慣です。ここでは、4つのポイントにまとめて紹介します。

食事

バランスのよい食事を心がけましょう。食事は健康に過ごすための基本です。なかでも、細胞のもととなるタンパク質や機能維持に欠かせないビタミンは、積極的にとりたい栄養素です。また、腸内環境を整えると免疫力がアップするといわれています。食物繊維や発酵食品であるヨーグルト、納豆などは腸内環境の改善に役立ちます。

運動

適度な運動は、免疫細胞を増加させます。激しい運動は必要ありません。身体の状態やその日の調子に合わせて調整しましょう。ウォーキングやラジオ体操など、無理せず続けられるものがおすすめです。
運動量の目安を知りたいという方は、厚生労働省が勧める国民健康づくり運動「健康日本21」を参考にしてはいかがでしょうか。「健康日本21」では、高齢者の平均歩数目標値を男性6,700歩、女性5,900歩としています。一日当たりの平均歩数で1,300歩、歩行時間15分の増加に相当します。(※)普段の運動量にプラスするよう、意識してみてください。

睡眠

十分な睡眠時間を確保することで、免疫細胞が活性化します。日中は身体を動かし、夜はしっかり休んで、規則正しい生活リズムで過ごすことが大切です。

笑顔で過ごす

過度のストレスは、免疫にとって大敵です。ストレスを自覚し、自分なりのストレス解消法で発散していきましょう。近年は、笑いと免疫の関係が注目されており、笑うことで免疫細胞のひとつであるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活性化することが分かってきました。
日常生活に、笑顔になれる習慣を取り入れましょう。

まとめ

免疫を高めるためには、規則正しい生活習慣が大切です。これまでの生活習慣を振り返り、改善できそうなところから少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。手洗いやうがいで、異物を身体のなかに入れないこともポイントです。

また、高齢者が気をつけたい感染症のひとつに肺炎がありますが、原因となるインフルエンザウイルスや肺炎球菌は予防接種があります。接種時期や間隔を確認し、忘れず接種するようにしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

【参照サイト】

※ 厚生労働省 「健康日本21 身体活動・運動」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html

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