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要介護に至る原因にも......サルコペニアを予防しましょう

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歳を重ねていく中で、「体力が落ちたな......」と実感することはありませんか? 加齢による体力の衰えはある程度仕方がないものです。しかし、あまりに急に衰えてしまうと、健康や日常生活にさまざまな影響を及ぼします。

「40歳を過ぎたら、サルコペニアの予防が大事です」と話すのは、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生。今回は、サルコペニアとは何なのか、予防に必要なことなどについて伺いました。

サルコペニアとは?

サルコペニアとは、加齢などによって筋肉量が減ってしまい、全身の筋力低下や運動機能の低下などが起きている状態のことを指す言葉です。ギリシャ語で筋肉という意味の「sarx、sarco(サルコ)」と喪失を意味する「penia(ペニア)」が、その名前の由来となっています。

サルコペニアは原因によって2種類に分けられ、加齢以外に原因が認められないものを「一次性サルコペニア」、寝たきりなどの活動性の低下や病気、栄養状態などが原因で起こるものを「二次性サルコペニア」と言います。

人の体は40歳を境に徐々に筋肉が衰えていき、60歳くらいに差し掛かるとそのスピードは加速します。加齢によって筋肉量が減ってしまうのは、みんな同じでは? と思われる方もいるかもしれません。たしかに、加齢に伴って起こる現象のひとつとして筋肉量の低下はあげられますが、サルコペニアの場合は、年齢相応の減少量ではなく、極端に減ってしまっています。

サルコペニアと言われる状態になると、ふらつきが強くなって転倒したり、寝たきりや嚥下障害を起こす原因になったりするとされています。

サルコペニアを予防する方法

サルコペニアと言われる状態になると、生活の質がぐんと落ちてしまいます。そうならないために、今からできることはあるのでしょうか?

サルコペニアの予防や治療には、運動と栄養が重要だと言われています。どんな運動や食事が効果的なのか、それぞれ確認していきましょう。

サルコペニア予防に効果的な「レジスタンス運動」

サルコペニアの予防や治療には、レジスタンス運動が効果的だと言われています。レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかけて行う運動のことで、いわゆる筋力トレーニングのことです。

筋力トレーニングなんてやったことがない、という方もいるかもしれませんが、きつい運動を毎日やらなくても大丈夫なので安心してくださいね。

スキマ時間でも簡単にできる運動をいくつかご紹介しましょう。

①もも上げ

椅子に座ったままでできる運動です。椅子にしっかりと腰掛けたら、膝を伸ばして足を上げます。太ももが椅子から少し浮くくらいまで、がんばってあげましょう。
5秒キープしたら、足を降ろします。これを10回繰り返し、左側も同じようにやってみましょう。

②上体起こし

仰向けに寝た状態で、両膝を立てます。両手は頭に添えて、おへそをのぞき込むような形で頭を上げましょう。この状態を10秒キープして、頭を降ろします。これを10回繰り返します。

上半身と下半身、両方バランスよくできれば理想的です。余裕があれば、ジムなどに行くのも良いでしょう。最近は高齢者向けのトレーニングジムなども多くなっていますので、興味があれば見学してみてはいかがでしょうか。

サルコペニア予防の食事はタンパク質がポイント

サルコペニアを予防するためには、バランスの良い食事をとることも大切です。特に気をつけたいのが、タンパク質です。タンパク質は筋肉をつくるもとになる栄養素なので、これが不足していると、せっかく運動をしても効果が出なくなってしまいます。

タンパク質の多い食材といえば、肉類や魚類、卵、乳製品、豆腐など。高齢の方の中には、胃もたれするから肉や魚は苦手、という方も増えてきます。食べやすい食材を選んで、積極的に食事に取り入れましょう。

運動をするためのエネルギー源として、米やパンなどの炭水化物も大切です。もちろん、健康維持のためにはビタミンやミネラル類も大事なので、食事全体のバランスが整うよう心がけましょう。

ステーキは一枚すべて食べても良い?

サルコペニア予防にタンパク質が重要という話をしましたが、高齢になると肉はあまり向かないのでは? と思われている方もいらっしゃいます。歳をとると、胃に負担の少ない粗食が良いという話も聞かれますね。

けれど、先ほどお話ししたように、筋肉量の低下を予防するためには、タンパク質をとることが非常に重要です。ある調査によると、長生きをしている高齢者は、肉や魚といった動物性タンパク質を多く食べているというデータもあります。

また、肉類のタンパク質の方が、他の食材のタンパク質と比べて、ヒトの体のタンパク質の構成と近いとも言われています。つまり、肉類の方が吸収されやすいと考えられているのです。

厚生労働省では、1日のタンパク質摂取量の目安を、体重1kgあたり1g以上が望ましいとしています。含まれるタンパク質の量を考えると、ステーキ肉1枚(200g程度)であれば、特に多すぎることはありません。

肉類に含まれる脂肪が体に悪いのでは、という声も多いです。取りすぎはたしかに良くありませんが、脂肪も体に必要な栄養素です。あまり神経質にならず、いろいろなタンパク質を摂取するうちのひとつとして取り入れると良いのではないでしょうか。

心臓も筋肉でできています

ここまでお話ししてきたとおり、サルコペニアは筋肉量が低下してしまった状態を言います。筋肉量が減少してしまうのは、腕や足など体を動かす筋肉だけではありません。筋肉でできている臓器、つまり心臓も影響を受けるのです。

心臓が弱くなれば、息切れなどで苦しくなって動くことがつらくなり、余計に活動量が低下します。すると、サルコペニアはどんどん進行してしまい、さらに全身の筋肉は衰えてしまうのです。

サルコペニアと心臓の状態は、互いに影響しあいます。早いうちから予防のための運動や食事に気をつけた方が良いでしょう。

健康管理は元気な老後生活の支え

体力が衰えてしまうのは、歳だから仕方がないと思って諦めてしまう方も中に入るかもしれません。しかし何もしないと、自分でも予想しないスピードで体の機能が低下していってしまいます。

いつまでも元気な生活を送るためにも、健康管理を意識することは大切です。こまめに運動をしたり、タンパク質を積極的に取り入れたりして、サルコペニアを予防していきましょう。

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