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早期治療で関節リウマチをコントロールするために重要なこと

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私たちは風邪をひくと、熱や鼻水が出てからだがだるくなります。これは風邪のウイルスに対してからだが戦っているサインです。体内に細菌やウイルスなどの病原菌、異質なものが入ってくると、私たちのからだはそれに対して戦う防御反応が起こります。この反応を「免疫」と呼び、これによって私たちは自分の身を守ることができます。

しかしながら、ときにこの「免疫」が私たち自身のからだを敵とみなして攻撃することがあり、それによってさまざまな症状が引き起こされることがあります。そういった病気を広く「自己免疫疾患」と呼び、難病として指定され、いまだ病気についてわかっていないことも多いのが現状です。

「関節リウマチ」もこの自己免疫疾患のひとつです。
今回のコラムではこの関節リウマチについて、その概要と治療方法を説明したのちに、関節リウマチをコントロールするために重要な早期発見、早期治療についてお伝えします。

関節リウマチは自分のからだが関節を破壊する病気

関節リウマチというと、手や指が曲がったおばあちゃんをイメージされる方も多いかと思います。しかしながら、それは残念ながら病気が進行し、関節が変形してしまった末期の姿。実際には35~55歳と、もう少し若い中年の女性が発症のピークとされ、いつ誰がなってもおかしくない病気なのです。

関節リウマチは関節にある「滑膜」というところに免疫が反応して攻撃する病気です。そのため「関節の痛み、こわばり(思うように動かせないこと)」が主な症状のひとつです。
以下のような症状に思い当たることはありませんか? これらはリウマチのサインかもしれません。

  • 起床時に手がむくんでいる
  • 起床から30分以上、手のこわばりが続く
  • 手がはれているように感じる
  • ちょっとした動作でも動かしにくさを感じる
  • 上記の症状が7日間以上続く

リウマチの初期では朝に症状が強く出ることが多く、夜は比較的落ち着いていることが多いとされています。したがって朝の身支度や準備で異変を感じることが多いということも、特徴として覚えておきましょう。

リウマチは初期のうちに急激に病気が進行してしまうことがわかっています。からだの節々が痛み始め、進行していくと関節の破壊や変形を起こしてしまいます。発熱やからだのだるさなどの全身症状が現れることもあります。 また、関節の破壊が起こり変形を起こしてしまうと手術が必要になってきます。
薬を飲み続けても関節の痛みが続き、やがては変形をきたして手術......誰しもできればこのような思いはしたくないですよね。そのためにはなるべく早く病気を見つけて対処する、早期発見・早期治療がとても大事になります。

関節リウマチの早期発見・治療を行うための具体的な方法

関節リウマチは、病気が進行する前に対処することがとても大事です。そのためには、まずは病気を早期に発見し、「関節リウマチ」であることを知る必要があります。私たち医師のあいだには初期の関節リウマチを診断するために以下のような基準があります。

早期関節リウマチの診断基準(日本リウマチ学会,1994)

  1. 関節以上の圧痛または他動的運動痛
  2. 関節以上の腫脹
  3. 朝のこわばり
  4. リウマトイド結節
  5. 赤沈20mm以上の高値またはCRP陽性
  6. リウマトイド因子陽性

以上6項目中、3項目以上を満たすもの

これらのうち「4.」「5.」「6.」は、病院に行かないことには、なかなかわかりません。したがって「1.」「2.」「3.」のように「朝のこわばり」「いくつかの関節の痛み」が見られたら、なるべく早く近くのリウマチを専門とする病院を受診されることをおすすめします。

関節リウマチと診断されたら、すぐに治療を開始しましょう。残念ながら関節リウマチに1度かかってしまうと完全に病気をなくすことはほぼ不可能であり、治療の目標は症状を最低限に抑える"寛解"という状態を目指すことになります。
この寛解には、次の3つの意味があります。

  • 関節の痛みや腫れをとる「臨床的寛解」
  • 関節の破壊を防ぐ「構造的寛解」
  • 生活機能を改善する「機能的寛解」

そのために必要な治療には、以下のようなものがあります。

薬物治療

関節リウマチでまず行われる治療で、痛み止めや抗リウマチ薬などがあります。痛みを抑えて病気の進行を防ぐことが目標です。

リハビリテーション

関節の動きや血流を良くしてこわばりをなくし、痛みを取る効果があります。

手術

関節の破壊が進行し、薬で痛みがとれない人や、関節の変形をきたしてしまった人は手術が必要になります。

最近では治療薬の改良と早期からの治療により、薬で症状が抑えられるケースが増えています。したがってリウマチの治療の主役を担うのは「薬物治療」、特に抗リウマチ薬であるともいえます。しかしながらこの抗リウマチ薬では注意すべき点がいくつかあります。

クスリはリスク、安全な治療継続のために大事なこと

どんな薬でも使用する際には副作用が存在します。治療のためとはいえ人体に影響を与えるわけですから副作用がまったくない薬は、治療効果のない意味のない薬とも言えます。そのようななかでも、リウマチに用いられる薬は、危険な副作用を持つ薬が多くなっています。

安全に薬を使用する際にまず大事なことは、副作用について理解することです。たとえば、抗リウマチ薬で最も用いられる「メトトレキサート」という薬の副作用には、腎臓や肺、消化管の障害、皮膚のトラブルなどがあります。また治療が難しい場合に使われる「動物学的製剤」「ステロイド」という薬では、免疫が低下するため感染症などの問題もあります。
他にも使う薬によってさまざまな副作用が存在するため、主治医の先生と相談し、よく理解しておくことが重要です。

次に定期的に病院に通い、きちんと検査をすることです。病院で働いていると、まれに症状が良くなったと自分で判断して病院に来なくなってしまう人がいます。こういった行動はとても危険です。副作用をチェックせずに使用すると命にも関わる病気に至る薬もあります。また、一時的に症状がよくなっても治療をやめてしまえば再度症状が現れるおそれもあり、その後の治療でも苦労することが多いのです。安全かつ効果的に薬と付き合っていきましょう。

関節リウマチと上手く付き合っていきましょう

今回は関節リウマチについての早期発見、早期治療の重要性について繰り返し説明してきました。

糖尿病や高血圧症などの日頃の生活習慣が病気の原因となる生活習慣病と違い、リウマチなどの自己免疫疾患は、病気が発症する要因がわかっていないことも多くなっています。また、治療によって完全になくすことも難しく、薬を長期にわたって飲み続けることも少なくありません。その点で理不尽な病気であると、辛い思いをする人も多いと感じます。しかしながら、関節リウマチはなるべく早く対処することで病気の影響を最低限に抑えることが可能です。

症状から関節リウマチを疑ったらまずは早めの病院への相談を。
今回のコラムによってリウマチで長く苦しむ方が少しでも減ることを祈っています。

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