健康 病気

胃潰瘍や胃がんの原因!? ピロリ菌は除菌すべき?

kurashino

胃がんのリスク因子として知られている、ピロリ菌。病院などでその名前を目にしたことがある、という方もいるのではないでしょうか。感染すると胃がんになるなんて聞くと、ちょっと怖く感じてしまいますよね。

糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生は、「ピロリ菌がいても、必ずしも胃がんになるわけではありません」と話します。では、ピロリ菌は検査して除菌した方が良いのでしょうか? ピロリ菌とは何か、検査や除菌の方法などについて伺いました。

ピロリ菌って何?

ピロリ菌は、正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ菌」と言い、胃粘膜に生息している菌です。名前の「ヘリコ」は「らせん・回旋」を意味し、ピロリ菌がヒゲのような部分を回転させて移動することから来ています。「バクター」は「バクテリア(細菌)」、「ピロリ」は胃から十二指腸へ繋がる部分である「幽門(ピロルス)」に由来しており、「胃の幽門部で見つかった、回転する細菌」であることから名付けられたようです。

ピロリ菌はもとから胃にいる最近ではありません。食べ物や飲み物をとることで感染すると言われています。免疫機能が未熟な幼少時に感染することが多く、成人になってから感染することは少ないと考えられています。

ピロリ菌に感染しても、必ず病気を発症するわけではありません。しかし、感染した人の多くに胃炎が起き、中には胃潰瘍や胃がんを発症する人もいます。そのため、ピロリ菌の感染が認められたら、除菌することが推奨されているのです。

ピロリ菌は高齢者だけの病気!?

ピロリ菌は、なぜか日本においては高齢者が感染していることが多く、50歳以下の人では感染率が低くなっています。けれど、若い人ならまったく感染していないというわけではなく、40歳以下でも感染している人は1割ほどいます。

なぜ、ピロリ菌の感染率は高齢者が高く、若い人が低いかについては諸説あるものの、一定のエビデンスがあるわけではありません。ピロリ菌が見つかった頃にはすでにピロリ菌は減少傾向にあり、ピロリ菌が多かった時代に水道などのインフラに問題があった可能性が指摘されています。

ピロリ菌の検査と除菌

胃炎や胃・十二指腸潰瘍などの経験がある方や、胃がんの早期において内視鏡的治療を受けた方などは、ピロリ菌の検査と除菌を保険適応で行うことができます。

症状がない場合は、検診や人間ドックなどで、自費で検査を受けることになります。しかし、ピロリ菌の感染や慢性胃炎や胃潰瘍を伴うことが多いため、内視鏡検査などのときに一緒に検査をして、感染が判明することが多いです。

ピロリ菌はどうやって検査するの?

ピロリ菌の検査には、2つに大きく分けられます。内視鏡を使う検査と使わない検査です。

内視鏡を使う検査は、胃の粘膜などの細胞を一部摂取するものです。それを培養したり顕微鏡で見たりして、ピロリ菌の有無を判断します。

内視鏡を使わない検査は、主に3種類です。

  • 尿素呼気試験法...呼気を利用して行う検査
  • 抗体測定...採血や尿検査でピロリ菌の抗体の有無を調べる検査
  • 糞便中抗原測定...糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる検査

尿素呼気試験法がもっとも手軽に行えることから、ピロリ菌の検査方法としては主流になっています。

ピロリ菌は1回の治療で除菌できる?

ピロリ菌の感染がわかったら、薬を使用して除菌をします。治療は通常、抗生物質を含む3種類の薬を1週間服用し、終了後から4週間たったら再び検査を行います。ここで陰性と診断されれば、除菌は成功です。

1回目の治療で除菌が成功する確率は8割ほどと言われており、最初の除菌でうまくいかなければ、もう一度治療を行います。しかしながら、まれにこの段階で除菌成功と判定されても、数年後にピロリ菌が残っていることがわかり、二次除菌をしなくてはいけない場合があります。その場合は内視鏡検査を行ってピロリ菌を採取し、抗生物質に対する感受性検査を行って、耐性がない抗生物質を組み合わせて二次除菌を行います。

除菌が終わったら、それで安心というわけではありません。長くピロリ菌に感染していた人は、胃にダメージを受けていた時間も長く、元に戻るのに時間がかかります。除菌に成功したからといって油断せず、定期的に検診を受けることが必要です。

夏目漱石とピロリ菌

夏目漱石は、胃痛持ちで有名な作家です。しかし、夏目漱石が生きていた頃はピロリ菌の存在がまだ知られていなかったため、原因不明の病気とされていました。

この時代は、胃潰瘍は手術で胃を切除する代表的な疾患でした。胃潰瘍が悪化すると胃の潰瘍粘膜から出血を起こし、吐血したりすることも珍しくなかったのです。出血が止められず、胃を切除することもよくありました。

現在は、ピロリ菌が除菌できるようになり、胃酸の分泌を抑える薬(ガスターなど)が開発され、胃潰瘍で胃を切除することはごくまれです。夏目漱石が今の時代に生きていたなら、胃痛に悩まされることもなかったのかもしれません。

50歳以上はピロリ菌検査をする価値あり

ピロリ菌は、50歳以上の方に感染していることが多いです。もし胃に不調を感じているなら、それはピロリ菌の感染が原因かもしれません。胃の不調を抱えていると、食欲不振や食事量の低下などの影響も出てきてしまいます。

ピロリ菌の検査は、呼気を使った検査なら気軽にできます。かかりつけ医に相談したり、検診の機会などを利用したりして、検査をしてみても良いのではないかと思います。

HOT

-健康, 病気