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若いときに太っていたら痩せにくいって本当?

kurashino

50才をすぎると、健康状態を気にする方は増えてきます。ずっと太ったままだったけれど、病気にならないためにも思い切ってダイエットしてみたい......! と考えている方もいるかもしれません。

しかし、運動をしてみたり、食事に気をつけてみたりしても、なかなかすぐには痩せないものです。何をしても痩せにくいのは、若い頃に太っていたせいなのでしょうか?今回は、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生に、体質と肥満の関係や、50代以降の人が痩せにくい理由などについて伺いました。

太りやすい体質、太りにくい体質ってあるの?

「そんなに食べているつもりはないのに、なぜかすぐに太ってしまう」「あの人はたくさん食べても細いのはなぜ?」と疑問に思ったことはありませんか? 同じ食事をとっているのに、パートナーは太らなくて自分だけ太ってしまう.......なんて経験がある方もいるのではないかと思います。そのような傾向になる理由は、体質にあるのでしょうか?

少ししか食べていないのに太る理由

食べている量は少ないはずなのに太ってしまう理由は、ひとつは体質にあります。少量のエネルギー摂取で体を維持できる体質なので、必要以上の食事をとると、余った分のエネルギーが脂肪として蓄えられて太ってしまうのです。

また、栄養の吸収率には差がないのに、余った分のエネルギーを脂肪細胞にとり込む率が高い体質の人も、太りやすい傾向にあります。

体質以外に考えられる理由としては、消費エネルギーを上回る量を食べていることです。自分では食事が少ないと思っていても、食事内容を振り返ってみると、意外に多くのエネルギーをとっていたということは珍しくありません。

たとえば、昼食代わりにケーキとジュースを食べたとします。量としては少ないですが、野菜中心の食事と比べると、エネルギーは高いかもしれません。本人の「食事が少ない」という認識と、「摂取エネルギーが少ない」という認識に差があるために、「少ししか食べていないのにすぐ太る」という印象を持ってしまうのだと考えられます。

これらの体質や傾向は、絶対に変えられないものではありません。生活習慣や食事、運動に工夫をすることで、変えられることもあります。

食べても太らない理由

食べても太らない人、つまり「痩せの大食い」とよく言われる人は、食べ物の吸収率が違うことが考えられます。この体質の人は内臓下垂の人が多く、食べ物の消化吸収に時間がかかります。さらに、 脂肪を分解するためには膵液や胆汁などの消化液が必要ですが、これらを送るための管が細長くて分泌しにくいともいわれています。

食事をしてもなかなか消化できないので、胃腸のもたれが起こりがちです。そのため、1回の食事が多くても、そのあとすぐには食べることができません。1日全体の食事量で見ると、それほど多くの量は食べていないことが多いのです。

また、 摂取したエネルギーが熱に変わりやすい体質であるということも考えられます。

子どもの頃に太っていると痩せにくいのは本当?

太っている人の小さい頃の写真を見てみると、その頃からぽっちゃりしていることが多い気がしませんか? 実はそれにも理由があるのです。

脂肪組織は、たくさんの脂肪細胞からできています。この脂肪細胞は、一生のうちに増える時期が3回あると言われています。その3回とは、①胎児期(妊娠末期)、胎児(妊娠中、母親が必要以上に太ると、胎児の脂肪細胞が増えてしまうのです)。②生後1年間、③思春期です。

脂肪細胞は一度増えると、その数が減ることはありません。そのため、乳幼児のころや若い頃に太っていた人は比較的脂肪細胞が多く、その後も痩せにくい傾向にあるのです。このタイプを、細胞増殖型肥満といいます。

逆に、青年期以降に太った人は、脂肪細胞が増えているのではなく、脂肪細胞そのものが大きくなるタイプです。このタイプを細胞肥大型肥満といい、こちらは努力次第で比較的容易に痩せることができます。

一度太ると痩せないのはホルモンのせい!?

食欲に関わるホルモンはいくつかありますが、その中のひとつである「レプチン」には、食欲を抑える作用があります。このレプチンは脂肪細胞でつくられるホルモンで、脳の視床下部にある満腹中枢に働きかけて、食欲を抑制するという仕組みです。

脂肪が少なくなると、レプチンの分泌量も少なくなります。すると食欲が出てきて、食事をしっかりとることで脂肪を増やそうとします。逆に、脂肪が増えてくると、レプチンの量が増えて食欲を抑え、脂肪がこれ以上増えないようにするのです。

このようにして、レプチンは適正な体重を維持するのに役立っています。だったら、太っている人は脂肪が多くてレプチンも多いから、食欲が抑制され続けているはずですよね。しかし現実には、太っていて食欲旺盛な人は多いです。これはどうしてなのでしょうか?

実際に、太っている人のレプチン分泌量は、適正体重の人に比べて増えています。しかし、ずっとレプチンの量が多い状態が続くと、その効果があらわれにくくなってしまうのです。これを、レプチン抵抗性といいます。このため、一度太ると食欲のコントロールがしにくい状態になり、痩せにくくなると考えられています。

50代以降になると余計に痩せにくくなる

ここまでお話しした体質などのほかにも、痩せにくくなる要因があります。それが、加齢による基礎代謝量の減少です。基礎代謝量は、30〜40代をピークに増えますが、それを過ぎると徐々に減っていきます。そのため、50代以降の方は若い頃と比べて痩せにくい状態です。

また、加齢に伴って筋肉量も落ちて体脂肪率が上がるため、体重が同じであったとしても、見た目は太ったように感じられることがあります。

太ったままで50代を迎えてしまうと、体質などにこうした要素がプラスされるため、さらに痩せにくくなるのです。

痩せるためにはどうしたらいい?

50代以降の方が痩せようとする場合、食事を極端に減らすことはおすすめしません。あまりに食事を減らしたり、内容が偏っていたりすると、筋肉量のさらなる減少や栄養不足につながってしまいます。量ではなく内容に気をつけて、バランスのとれた食事を心がけましょう。

運動も、あまり負荷が大きなものは、かえって体の負担になってしまいます。ウォーキングなどの軽い有酸素運動や、軽い筋力トレーニング、ストレッチなど、無理なく続けられるものが良いでしょう。

太り過ぎはさまざまな病気のリスクになりますが、50代以降の方にとっては痩せすぎも危険です。体調に気をつけながら、健康な体を維持していきましょう。

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