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感染症予防にマスクは有効? 感染症を防ぐために個人ができる対策を解説

kurashino

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など感染症が流行すると、「咳エチケット」や「手洗い」が励行され、ときにはマスクや手指を消毒するハンドジェルなどの入手が困難になります。しかし、感染症は感染経路により有効な対策が異なります。そのため、場合によってはマスクなどを使っても十分な予防効果を得られないことがあります。

感染成立の3要因

厚生労働省「感染対策の基礎知識|1」の情報を基に作図

そこで今回は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を中心に、個人ができる感染症対策を紹介します。

ウイルスや細菌の主な感染経路

ウイルスや細菌の感染経路には「垂直感染(母子感染)」と「水平感染」があります。

垂直感染(母子感染)

細菌やウイルスが、母親から胎児・新生児に感染することを「垂直感染」といいます。母から子への感染なので、「母子感染」とも呼ばれます。
母子感染には、胎児が子宮内で感染する「胎内感染」、胎児が産道を通るときに感染する「産道感染」、母乳経由で感染する「母乳感染」の3種類があります。

母子感染の種類とリスクが高いウイルス・細菌

胎内感染

風疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、梅毒など

産道感染

B型・C型肝炎ウイルス、HIV、水痘・帯状疱疹ウイルス、クラミジア、梅毒、B群溶血性連鎖球菌(GBS)など

母乳感染

ATL(成人T細胞白血病)ウイルスなど

妊婦検診では、感染の有無を調べるために一部の病気については感染症検査が行われます。

水平感染

水平感染には「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」などがあります。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、胃腸風邪などは水平感染です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、飛沫感染と接触感染が主な感染経路と考えられています。

空気感染

咳やくしゃみをしたときに、口などから飛び出す小さな水滴を「飛沫」と呼びます。そして、ウイルスや細菌を含む飛沫から、水分が蒸発した小さな粒子を「飛沫核」と呼びます。この飛沫核を吸い込んで病気に感染することを「空気感染(飛沫核感染)」といいます。飛沫核は非常に小さく軽いので、長時間空気中に浮遊することが可能です。また、空気の流れによっては、浮遊範囲が非常に広くなります。そのため、ウイルスや細菌を保有している人がその場にいなくても、第三者に感染が広がるおそれがあります。
ただし、多くのウイルスや細菌は乾燥に弱いため、飛沫核になると感染力を失います。しかし、結核・水痘(みずぼうそう)・麻疹(はしか)などは、乾燥しても感染力が維持されます。

飛沫感染

咳やくしゃみで空気中に飛び散った「飛沫」が口や鼻などの粘膜に接触し、細菌やウイルスに感染することを「飛沫感染」といいます。飛沫は粒子が大きく重いので、1~2m程度の距離を飛んだあと落下します。そのため、飛沫が長時間空気中にとどまることはありません。

接触感染

ウイルスや細菌に触れることで感染する場合を「接触感染」といいます。感染者が使用したもの(電話やドアノブ、電気のスイッチなど)を介してウイルスや細菌が第三者に付着し、口や鼻などの粘膜から感染する場合や、ウイルスや菌に汚染された食品を摂取することで感染することもあります(経口感染)。また、感染者の糞便などを処理する際に感染することもあります。

水平感染の種類と、種類別の主な感染症

空気感染

結核・水痘(みずぼうそう)・麻疹(はしか)など

飛沫感染

インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、百日咳、マイコプラズマ、風疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)など

接触感染

感染性胃腸炎(ロタウイルス・ノロウイルス)、腸管出血性大腸菌、伝染性膿痂疹(とびひ)、咽頭結膜熱(プール熱)、インフルエンザ 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、 梅毒、淋病、破傷風など

個人でできる感染症対策

感染症を防ぐためには、感染経路に応じた対策が必要です。ただし、感染経路と感染症は1対1の関係ではなく、複数の感染経路を持つ感染症もあります。そのため、状況に応じた対応を考えなくてはなりません。
ここでは、感染力が強いとされる空気感染に対する対策と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染経路とされている「飛沫感染」「接触感染」の対策について解説します。

空気感染の対策

医療機関では、空気感染対策として高性能の医療用マスクや空気の出入りが制限された特別な病室を用意しますが、一般家庭でこのような装備を用意することは困難です。

空気感染対策としては、室内をこまめに換気してウイルスや細菌の濃度を低くすることがおすすめです。換気扇をただ回すだけではなく、可能であれば複数個所の窓を開け、空気の流れを良くすると効率よく換気できます。サーキュレーターを使う場合は、空気を室内から外へ流す方向に設置します。

なお、屋外ではウイルスや細菌の濃度が非常に低くなるため、空気感染のリスクはほとんどありません。一方で屋内の場合、非感染者がマスクをしても空気感染に対する予防効果はほとんど期待できません。飛沫核は非常に小さく、一般的なマスクで侵入を防ぐのは不可能だからです。

飛沫感染の対策

飛沫感染の対策としては、飛沫の飛散を防ぐことが大切です。咳やくしゃみが出る場合はマスクをして、周りの人に飛沫がかからないようにしましょう。マスクをしていない場合はティッシュなどで鼻と口を覆いましょう。マスクもティッシュもない場合は袖や上着の内側で鼻と口を覆い、飛沫の飛散を防ぎます。

手で鼻や口を覆うと、手にウイルスや細菌が付着して接触感染の原因となります。手を使ってしまった場合、あるいは飛沫が手についた場合は、速やかに手洗いと消毒をしましょう。

マスクを使う場合は、鼻からアゴまで確実に覆います。ノーズフィッターがある場合は、鼻のまわりに隙間ができないように調節します。「飛沫を飛ばさない」ことが目的なので、マスクは布マスクでも大丈夫です。

感染者は、家庭内でもマスクの装着をしたほうが感染拡大を防ぐことができます。非感染者が感染者のケアをする場合はマスクを使ったほうがよいですが、この場合も布マスクで十分です。

なお、マスクを外す際は、マスクの表面をできるだけ触らないようにしましょう。また念のため、マスクを外したすぐあとに手洗い・消毒をして、接触感染を起こさないようにしましょう。

非感染者側の対策としては、「人込みを避ける」「咳やくしゃみをしている人に近づかない」「屋内で感染者と過ごす場合には距離を置く」等が挙げられます。飛沫感染予防としては飛沫を避けるだけで十分なので、マスクは状況に応じて使用すれば十分です。

接触感染の対策

接触感染の対策として重要なのは、手洗いです。

首相官邸「感染症対策へのご協力をお願いします」の情報を基に作図

手洗いは、帰宅時や調理の前後、食事前、トイレ後などこまめに行い、石けんを洗い流したあとは清潔なタオルなどで水分をふき取って乾かします。また、感染性胃腸炎などにかかった人の糞便や吐しゃ物などを処理する場合は、使い捨ての手袋を使用するのがおすすめです。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には、手など皮膚の消毒には消毒用アルコール(70%)、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています(※)。

幼児や高齢者など、病気に対する抵抗力が弱い人や感染症に罹患すると重症化するおそれのある人が身近にいる場合は、必要に応じて消毒を追加するとよいでしょう。

状況に応じた対応で感染拡大を予防しよう

感染症対策においては、「感染しない」ことも大切ですが、「第三者に感染を広げない」ことも大切です。抵抗力の弱い高齢者や幼い子どもが身近にいる場合は、自分に感染症の症状がなくても手洗いなどを積極的に行い、感染の機会を減らすようにしましょう。また、万が一感染症を発症した場合には、家庭内でも必要に応じてマスクを装着し、感染の拡大を防ぐようにしましょう。

外出時などに予防的にマスクを使いたい気持ちは、多くの人が持っているものでしょう。しかし、感染(とくに飛沫感染・接触感染)の拡大予防に大切なのは、感染疑いのある人や、すでに感染している人にマスクを着用してもらうことです。むやみにおそれず、適切な対策をとるようにしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

出典

※厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00004.html

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