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痛みがないから大丈夫? 本当は怖い高尿酸血症

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高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高い状態をいいます。高尿酸血症は、痛風や尿路結石の原因になる病気で、男性に多いことが知られています。

厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況| 第11表  性・年齢階級・傷病(複数回答)別にみた通院者率(人口千対)」の情報を基に作図

高尿酸血症と診断されるのは、血液中の尿酸濃度が7.0mg/dlを超える場合(※1)ですが、この段階では痛みなどの自覚症状はほとんどありません。そのため、健康診断などで異常を指摘されても、積極的に受診せず放置してしまいがちです。しかし、高尿酸血症のある人は、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を合併することが多く、腎臓の病気の合併率も高くなります。

そこで今回は、生活習慣と高尿酸血症の関係だけではなく、高尿酸血症が引き起こすさまざまな病気、そして治療を受ける際の注意について解説します。

日常生活にひそむ高尿酸血症の原因

尿酸値に影響を与える要素としては、「遺伝的な要素」と「環境的な要素」があります。

1.遺伝的な要素

高尿酸血症に関係する遺伝子変異はいくつか明らかになっていますが、その多くは尿酸値に与える影響がそれほど大きくないことが分かっています。しかし、それぞれの変異は発生頻度が高く、積み重なることで高尿酸血症を起こしやすくなることが分かっています。

このような遺伝的な要素は、取り除くことが難しいものです。そのため、家族や親戚に高尿酸血症の人がいる場合は、生活習慣などを見直して高尿酸血症の発症リスクを下げること、そして、高尿酸血症を指摘された場合には速やかに医療機関を受診することで、重症化を防ぐことができます。

2.環境的な要素

尿酸値に影響を与える環境的な要素としては、「食事」「飲酒」「運動やストレス」「ほかの病気」「薬剤」などがあります。

食事

尿酸のもととなる「プリン体」と呼ばれる物質は体内でもつくられますが、食事からも摂取されるので注意が必要です。
プリン体は、レバーなど動物の内臓、魚の干物などに多く含まれます。さらに、清涼飲料水や果物、菓子類などに多く含まれるショ糖や果糖も、体内で尿酸を作り出します。

プリン体を多く含む食品

食品

プリン体含有量(mg/100ℊ)

干しシイタケ

379.5

牛レバー

284.8

鶏レバー

312.2

カツオ

211.4

マイワシ

210.4

大正エビ

273.2

オキアミ

225.7

マイワシ(干物)

305.7

マアジ(干物)

245.8

サンマ(干物)

208.8

カツオ節

493.3

煮干し

746.1

イサキ白子

305.5

アンコウ肝(酒蒸し)

399.2

公益財団法人 痛風・尿酸財団「痛風と尿酸について知りたい方へ>食品・飲料中のプリン体>食品・飲料中のプリン体含有量」の資料を基に作表

飲酒

ビールには、プリン体が多く含まれています。プリン体の入っていないビールも発売されていますが、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあります。そのため、ウイスキーやブランデー、焼酎などプリン体をあまり含まない蒸留酒であっても、飲みすぎると尿酸値を上昇させる可能性があります。

運動やストレス

100mダッシュやベンチプレスなど、短時間に激しく筋肉を使う運動は、尿酸値を上昇させます。また、運動などで脱水状態になると、尿酸値が上昇します。さらに、ストレスや過剰な知的作業など脳に負担を与える活動も、尿酸値を上昇させるといわれています。

ほかの病気の影響

腎臓の病気、血液の病気、悪性腫瘍などが原因で尿酸値が上昇することがあります。

薬剤

尿酸値を上昇させる可能性のある薬剤として、利尿作用のある薬(サイアザイド系・ループ系に分類されるもの)、喘息の薬(キサンチン系に分類されるもの)、結核の薬(抗菌薬の一種)などがあります。

高尿酸血症と関連するさまざまな病気

尿酸値の高い状態が続くと、尿酸が結晶化してさまざまな病気を引き起こします。
尿酸の結晶が関節に沈着すると、激しい痛みをともなう痛風発作を引き起こします。また、皮膚の下や関節などに沈着すると、「痛風結節」と呼ばれるコブのようなものができます。そして、尿酸の結晶が尿の通り道にできると、尿管結石・膀胱結石・尿道結石など、いわゆる「石ができた」という状態になります。さらに、尿酸の結晶が腎臓に沈着すると腎臓の機能が低下し(痛風腎)、悪化すると透析が必要になることもあります。

高尿酸血症によって引き起こされる病気は、尿酸の結晶が関係するものだけではありません。高尿酸血症の人は、糖尿病をはじめとした生活習慣病や慢性腎臓病、メタボリックシンドロームを合併している場合が多く、そのほか、高尿酸血症自体が、脳血管障害や心臓疾患の原因になっている可能性も指摘されています。

高尿酸血症も、生活習慣病も、健康診断などで異常を指摘されても自覚症状が乏しいため放置しがちです。しかし、いずれも症状が進行すると、命にかかわる病気を引き起こす可能性があります。
健康寿命を延ばすために、目立つ症状のないうちから積極的に治療するようにしましょう。

高尿酸血症の治療は長期戦

高尿酸血症の治療の基本は、生活習慣の改善です。薬物治療が始まっても、生活習慣の改善は継続する必要があります。

高尿酸血症の治療開始前に痛風発作が起きた場合は、まず痛みや腫れに対する治療を行い、症状が落ち着いてから尿酸値を下げる治療を行います。一方、痛風発作が起きていない場合は、尿酸値や合併症の有無などを考慮し、医師の判断で治療を開始します。いずれの場合も、薬物治療の目標値は6.0mg/dl以下(※2)とされます。

薬物治療を開始すると、尿酸値が低下する過程で痛風発作が起きることがあります。治療開始から6カ月目くらいまでは痛風発作が起きやすいので、医師の指示通り薬を服用し、穏やかに尿酸値を下げるようにします。

なお、尿酸値が低下したからといって薬物治療をやめると、尿酸値が急上昇して痛風発作があらわれることがあります。そのため、高尿酸血症の薬物治療は長期間に及ぶことが多くなります。ただし、長期にわたり尿酸値を6.0mg/dl以下に維持し、その後も尿酸値を適切に管理できると医師が判断した場合は、薬の減量や中止が検討されることもあります。しかし、実際に薬が中止できる人はごく少なく、若いうちに罹患すると治療が数十年に及ぶことも珍しくありません。とはいえ、尿酸値が8.0mg/dl未満で過去に痛風発作の経験がなければ、薬物療法の開始を避けられる場合もあります(※2)。高尿酸血症を指摘されたら早めに受診し、医師から生活指導を受けるようにしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

参考文献・参考サイト

※1 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「情報提供>生活習慣病予防>主な生活習慣病>高尿酸血症」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-007.html

※2 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会「主な生活習慣病>高尿酸血症/痛風」
http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/hyperuricemia.php

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