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糖尿病専門医に聞く!一番怖い!痛くない「がん」とは?

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がんは痛みを伴うつらい病気、というイメージと持っている方は多いのではないかと思います。実は、がんの中には、痛みが起こりにくいものもあるということ、ご存知でしょうか?実は、そんな痛みを感じにくいがんの方が怖いと言われているのです。

今回は、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生に、がんと痛みのお話や、痛み以外のがんのつらさなどについてお話を伺いました。

がん細胞は実は痛くない!?

がんは、実はがん細胞そのものが痛みを発しているわけではありません。がんが発生した内臓などで炎症が起きたり、大きくなった腫瘍がほかの臓器などを圧迫したり、神経が損傷を受けたり、といった原因で起きるものなのです。

がん細胞は、自分の組織から生まれた異端児みたいなもの。もともとは自分の細胞ですから、炎症を起こすわけでもなく、静かに増殖していきます。腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍がありますが、良性腫瘍は一定のラインで増殖を止めるため、生命を脅かすようなことはありません。それに対して、悪性腫瘍であるがんは増殖が止まらず、治療しなければ無限に増えていきます。

がん細胞は増殖するだけでなく、ほかの場所に転移します。痛みを発するような場所に転移した場合に痛みが生じます。肺に転移しても、肺そのものは痛みを感じにくい臓器なので、痛むことはほとんどありません。しかし骨に転移した場合、骨膜(骨の表面を覆っている膜)には神経が通っているため、そこに痛みが生じます。

つまり、がん細胞そのものは痛まないけれど、発生する場所によって痛みの有無や感じ方が違うのが、がんの特徴です。

がんのなかでも、特に怖いがんは何?

医療の発達によって、がんは必ずしも死に直結する病気ではなくなりました。しかし、そんな現代でも、治りにくいがんが存在します。治りにくいがんは、痛みが少ないために発見がしにくく、治療が難しいのです。その代表的な2種類のがんについてお話ししましょう。

早期発見が難しい「膵臓がん」

恐ろしいがんとして知られているひとつが、膵臓がんです。膵臓は体の奥の方に位置しているため、痛みなどの症状が生じにくく、早期発見が難しいのです。

もっとも効果が期待できる治療方法は、手術によってがんを切除することです。しかし発見されたときには腫瘍が大きくなっていて、手術が難しいという場合も少なくありません。さらに膵臓がんは、進行が早い上に転移しやすく、余命が短いがんとしても知られています。

膵臓がん自体はそれほど多くはありませんが、有効な検診はなく、早期に発見する機会は少ないです。膵臓がんを発症するリスク因子としては、喫煙や肥満のほか、慢性膵炎や糖尿病などがあげられますが、確実な予防方法はありません。

沈黙の臓器に発生する「肝臓がん」

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気になっても最初のうちは自覚症状がありません。何も症状がなかったのに、たまたま検診を受けて発見される、ということもよくあります。腫瘍が大きくなってくると、肝臓を覆う幕が引き伸ばされたり、横隔膜などにがん細胞が浸潤したりして、痛みが生じます。

肝臓がんになる原因は、肝炎ウイルスであることが多いです。B型肝炎ウイルスに関しては、ワクチンで予防ができます。B型肝炎・C型肝炎ウイルスに感染している人に対しては、抗ウイルス療法が予防になります。肝炎ウイルス以外のリスク因子としては、飲酒や喫煙、肥満や糖尿病などが知られており、近年は脂肪肝が要因として注目されています。

痛み以外にもある、がんのつらさ

食事は、生きるうえで必須のものであり、毎日の楽しみでもあります。もしも食べられなくなったら......と考えると、とてもつらいですよね。シニアの方々が「もしも」のことを話されるとき、「食べられなくなったらそれで終わりで良い」と言われることも珍しくありません。

がんの中には、そんな食事が思うようにできなくなってしまうものがあります。それが、食道がんです。腫瘍のせいで食べても食道につかえてしまって、口から食べ物をとることができなくなります。手術で腫瘍を取り除けたとしても、普通に食事をとれるようになるには、時間が必要になるでしょう。

ほかにも、大腸がんや胃がんなどでも、手術後に食事がしにくくなることがあります。これは、状態が落ち着くまでの一過性のものではありますが、その間に体重が顕著に落ちてしまいます。また、がんが脳に転移すると、嚥下機能(食べ物を咀嚼して飲み込む機能)が低下し、誤嚥性肺炎を起こしやすくなることがあります。この場合、肺炎の治療のために食事が食べられなくなる可能性もあります。

血便・血尿がでても怖がらないで

痛み以外の自覚症状の中に、血便や血尿があります。しかしこれは、出血が起きているというサインであって、必ずしもがんと直結するわけではありません。もちろん、血便が出れば大腸がんを疑う必要があります。しかし、ほかにも血便がでる疾患はあり、大腸ポリープや大腸憩室(腸管の外側に向かって飛び出した大腸の壁の一部分)、痔、潰瘍性大腸炎(大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患)などが原因である可能性もあります。

血尿の場合は、腎臓がん、尿管がん、膀胱がんなどを疑わなくてはなりません。膀胱や尿管などの結石で血尿が出ることもあります。顕微鏡でのみ確認できる血尿(顕微鏡的血尿)の場合は、健常者でも見られることがあり、心配ない場合が多いです。健康診断で血尿ありと診断された場合は、この顕微鏡的血尿である場合がほとんどなので、怖がる必要はありません。

これに対して、自分の目でもわかる肉眼的血尿に気が付いたときは要注意です。血尿が出た場合には、3年間は尿細胞診と膀胱エコー検査を受けられることをおすすめします。この間に何も見つからなければ、ほとんど心配いらないでしょう。

痛くないからといって安心ではない

がんになると、痛みをはじめとした症状が必ず出ると思われるかもしれませんが、膵臓がんのように、症状がないまま進行していくがんもあります。痛みがないから、そのほかの症状がないからといって、安心できるわけではありません。

できる限り早く発見するためにも、定期的に診察や検診を受けるようにしましょう。そして、万が一検診で何か指摘された場合は、症状がないから急がなくていいと考えてはいけません。その間に症状が進んでしまうこともありますので、早めに受診することが大事です。

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