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抗酸化作用はアンチエイジングに効果的って、ホントなの?

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「抗酸化作用のあるものは、美容やアンチエイジング、健康に良い」と耳にしたことはありませんか? 野菜や果物など、抗酸化作用のある栄養素を多く含んだ食材をとったり、サプリメントを摂取していたりする人もいるのではないでしょうか。

栄養バランスに気をつけることは大切ですが、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生は、「抗酸化作用のある物質は、必ずしも体に良いというわけではない」と話します。今回は鈴木先生に、抗酸化作用のウソとホントについて聞きました。

抗酸化作用とは?

抗酸化作用とは、体の中の活性酸素を取り除いて、酸化を防ぐ作用のこと。この作用を持つ物質のことを、「抗酸化物質」と言います。

私たちが生きていく上で、酸素は絶対になくてはならないもの。取り込んだ酸素の一部は、体内で活性酸素へと変化します。この活性酸素が過剰に発生すると、動脈硬化やがん、老化、免疫機能の低下など、体に悪影響を及ぼすと言われています。

そのため、活性酸素を除去する抗酸化物質が注目されているのです。

抗酸化作用のウソ・ホント

抗酸化作用が謳われている食品が流通していますが、すべて鵜呑みにすべきではないと鈴木先生は警鐘を鳴らします。活性酸素や抗酸化作用にまつわるウソ・ホントを教えていただきました。

活性酸素が体に悪いってホント?

過剰に発生すると、動脈硬化やがん、老化、免疫機能の低下など、体に悪いイメージの強い活性酸素ですが、微量であれば体に良い働きをしてくれる物質です。体の中に、外部から細菌などの異物が入ってきたときに、体を守るために活性酸素を発生させているのです。そのため、活性酸素をすべて除去することが、体に良いというわけではありません。

かつて、活性酸素は感染症の治療のために必要な物質とされていました。ところが現代では、ワクチンや抗生物質などが発達し、感染症などに罹患する機会は極度に減りました。以前ほど活性酸素の必要性がなくなった今、必要以上に増えている状態は、あまり望ましくありません。活性酸素があること自体は悪いことではないけれど、過剰になると体に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

過剰な活性酸素が酸化ストレスをもたらす?

人が呼吸して体に取り込んだ酸素の数パーセントは活性酸素になります。細菌やウイルスを攻撃する活性酸素ですが、通常私たちの体に害をもたらさないのは、人の体が自らを活性酸素から守る抗酸化機能が備わっているためです。
しかし、活性酸素の発生が過剰になると、抗酸化機能とのバランスが崩れてしまいます。この状態が「酸化ストレス」で、老化など「体の錆びつき」の原因のひとつとされています。

酸化ストレスを引き起こす原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 紫外線や放射線
  • 大気汚染
  • 喫煙
  • 過度な運動
  • ストレス

意外かもしれませんが、運動のし過ぎも体には良くないのです。酸化ストレスを起こさないためには、運動は適度に、紫外線などは可能な範囲で避けて、酸化ストレスを軽減することが大切になります。

抗酸化作用のある栄養素をとると健康になれるってホント?

抗酸化作用は、私たちの体にもともと備わっています。それ以外では、食べ物の栄養素に抗酸化作用があるものがあります。

  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • カロテノイド類(βカロテン、リコピン、アスタキサンチンなど)
  • ポリフェノール類(アントシアニン、イソフラボン、サポニン、セサミノール、ルチン、カテキンなど)

βカロテンは緑黄色野菜、リコピンはトマト、ポリフェノールはワインなど、聞いたことがある栄養素も多いのではないでしょうか。これらの栄養素が抗酸化作用を持つことから、サプリメントに使われたり、美容や健康に良い食材として取り上げられたりしているのです。

しかし、野菜や果物の摂取は健康に良いことがわかっていますが、抗酸化物質の量が影響しているのかどうかははっきりしていません。他の成分が健康に影響していたり、生活様式など食事以外の要素が関係したりしている可能性もあります。

現時点では、抗酸化作用のある栄養素をとったからといって、必ず健康に良い影響があるとは言い切れないのです。

βカロテンが売れなくなった理由

かつて、βカロテンが抗酸化作用を持つ代表的な物質として注目され、βカロテン入りのガムやサプリメントなどが売れていた時代がありました。

βカロテンを含んだ食材を大量に摂取すれば、がんの抑制(特に肺がん)につながるのではないかと考えた海外の研究者が、その真偽を確かめようとしました。肺がんになるリスクが高い人(重度の喫煙者やアスベストの被曝者)と肺がんになるリスクが低い人とで、βカロテンの効果を比較する研究を行ったのです。

しかし、結果は意外なものでした。βカロテンの摂取によってハイリスクの人のがんが予防されるどころか、むしろ発症が高まるという事実が明らかになったのです。抗酸化作用のあるβカロテンは、がん細胞が死滅するために必要な活性酸素も除去してしまい、結果的にがん細胞が長生きしているという状況でした。そして、ローリスクの人は、ローリスクのまま。つまりβカロテンは、がんの発生予防にはならないということがわかったのです。

βカロテンは抗酸化作用をもつ代表的な物質と考えられてきたため、その研究結果は抗酸化作用に関わる多くの学者を失望させました。それ以来、βカロテンなどの抗酸化物質を含んだ食材は、必ずしも体に良いわけではないと考えられるようになりました。そのために、βカロテンを含んだ商品は売れなくなったのです。

ビタミンCは健康に効果があるってホント?

抗酸化作用を持つビタミンCは、体に良いというイメージを持つ方が多くいます。風邪予防に飲むと良いとか、大量に摂取するとがんの予防や治療になる、という話を見かけることもあります。果たしてこれは本当なのでしょうか?

ビタミンCの効果に関する研究は、これまで多く行われています。しかし、多くの研究で、ビタミンCをサプリメントで摂取しても、がんや心臓・血管の病気などの予防効果はなかったという結果が出ています。

一方で、健康的な食事をとっている人は、がんなどの病気にもかかりにくい傾向がある、という研究結果もあります。食事だけの効果ではなく、食物に含まれる他の成分や、運動などの生活習慣などが影響している可能性もあります。

つまり、「ビタミンCを摂取することによって、健康でいられる」とは言い切れないのです。

ビタミンEは長寿に役立つってホント?

同じく抗酸化作用を持つビタミンE。油類やナッツ類、ブロッコリーやほうれん草などに多く含まれています。一般的に老化を防ぐ作用があるとして知られており、さまざまなサプリメントも販売されている栄養素です。

このビタミンEに関しても、さまざまな研究が行われていますが、がんや心臓病などの予防効果は残念ながら認められていません。ビタミンEサプリメントの摂取が増えると、むしろ有害である可能性も指摘されています。

老化によって起こる白内障や加齢黄斑変性といった目の疾患予防についても、はっきりとした研究結果は得られていない状況です。ビタミンEは、たくさんとっても老化を予防できるものではないようです。

抗酸化作用に踊らされないで

過剰な活性酸素は、私たちの体に良くない影響を及ぼします。しかし、抗酸化作用のある栄養素のサプリメントや健康食品の効果は、はっきりしていません。場合によっては、摂取し過ぎがかえって体に悪影響となってしまうことも考えられます。
安易にサプリメントや健康食品に頼らず、バランスのとれた食事や適度な運動、ストレスの溜まりにくい生活習慣などを心がけるようにしましょう。

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