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糖尿病専門医に聞いた!知っておきたい体と食事のこと

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50歳をすぎると体力の低下やさまざまな病気のリスクの高まりなど、健康面で気になることが増えてきます。とくに気をつけなければいけない病気は、癌のリスクと血管の老化、いわゆる動脈硬化などが中心です。

また、高齢化すれば癌になる人が増えます。シニアの病気の死因として最も多いのは癌です。ところが、その癌も、不治の病、という先入観も、最近はしだいに見直さなくてはいけない時代になってきました。癌も、特に早期発見でみつかれば、かなり完治するとされています。さらに進行癌で完治不能とされていた癌も、抗がん剤の進歩で、治るケースもあり。今では、癌と診断された人の3人に2人が、癌を克服できる時代になってきたとされています。

そう教えてくれたのは、糖尿病専門医の鈴木吉彦医学博士。今回は、50歳以降高まる病気のリスクについてお聞きしました。

鈴木吉彦
医学博士

50代以降の病気は時代とともに変化しています。それは、かつて治らないと思われていた病気が医学の進歩と共に治療可能になってきたことにも関係しています。その代表的なひとつが『癌』です。以前は死の病とも言われていた癌は治療が可能な時代となりました。しかし、逆に発見しづらくなってきている病気もあるのです。

50歳からは動脈硬化リスクが高まる

動脈硬化とは、老化した血管が硬化する病気です。コレステロールが血管の中に付着して蓄積すると血流が悪くなり、さまざまな病気の原因になります。若いうちは、コレステロールが蓄積する促進因子が少ないのですが、50歳以降になると、糖尿病や高脂血症を発症しがちになり、動脈硬化の促進因子が増えていくのです。

動脈硬化が進行するとその他の病気リスクも...

動脈硬化と関係が深いといわれる主なシニアの病気は下記の通りです。

動脈硬化と併発しがちになる病気

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 閉塞性動脈硬化症(足の血管が詰まること)

動脈硬化は老化現象のひとつです。防ぎづらいものではありますが、生活習慣の見直しや定期的な検査によって、併発しがちになる病気のリスクを極力減らしていく努力をすることをおすすめします。

動脈硬化を予防するためにできることは?

まずは、ご自身の動脈硬化の進み具合を知ることが肝心です。これは、動脈硬化自体に自覚症状がなく、シニアになると潜在的に進行してしまうものだからです。
動脈硬化の進行度を知るためには、頸動脈エコー検査というものがあります。保険診療内で検査できますから、定期的に受けることをおすすめします。

愛煙家は今すぐ禁煙を。60〜70歳から高まる癌リスク

喫煙が体に悪いことはよく知られていますが、とくに50歳以上が気をつけなければいけない動脈硬化の強い促進因子にもなることがあります。
タバコを吸うことによって、肺の中に活性酸素が生じ、その活性酸素が悪玉コレステロールに付着すると、血管内にコレステロールが付着しやすくなります。自覚症状がほとんどないため、若いうちは気づきにくいのですが、50代になると、頸動脈エコー検査で頸動脈プラークが見つかる場合が増えていきます。そのとき、動脈硬化が自分とは無関係ではないことを初めて知るケースがほとんどです。

※頸動脈エコー検査とは?
頚動脈部分に超音波を当てることにより、血管壁や内部の状況を調べる検査です。
頚動脈エコー検査によって判断されるのは、動脈硬化の進行度やそれに伴う心筋梗塞、脳梗塞などの病気リスクです。

喫煙リスクは動脈硬化だけにとどまらない

発癌リスクは、60代から急増します。喫煙関連の癌は、肺癌のほか、膀胱癌、すい臓癌などがあります。発癌リスクを抑えるために、50歳を過ぎる前に禁煙してください。肺癌については、禁煙してから約10年間はリスクが高いといわれています。ですから、50代に入っても喫煙を継続していると、発癌リスクが高い年齢まで悪影響が及ぶ危険性があるということです。

増えている癌と減っている癌

最近顕著に減っている癌は進行性の胃癌です。もともと胃癌は日本人に多く、欧米諸国では少ない癌だとされてきました。オリンパスなどの内視鏡検査装置が世界で最先端になれたのは、胃癌患者の多さゆえにその早期発見が必要とされたためです。(※1)
そして、日本で人間ドック検査も重要視され、胃癌の早期発見が内視鏡検査で可能になり、根治できるようになりました。

ピロリ菌の発見によって胃癌が減り、禁煙ブームで肺がんも減少

ピロリ菌の発見後、ピロリ菌と胃癌との相関関係(※2)が証明されるようになりました。ピロリ菌を駆除すると胃の粘膜は厚くなり、胃酸がもたらす胃壁への直接刺激を受けにくくなります。胃が胃酸に晒されるほど胃癌を発病しやすいとされてきたので、ピロリ菌を駆除することによって、胃酸に晒されにくくなるため、胃癌が減るという理屈になります。
もうひとつ減少傾向にあるのは肺癌です。これは、昨今の禁煙ブーム(※3)が原因です。

胃癌が減ったせいで、食道癌と大腸癌が相対的に増えている

その逆に増えている癌は、食道癌と大腸癌です。大腸癌についてはデータ上で横ばいとされていますが、大腸カメラ検査を受けてポリープを摘出する方が相対的に増えている印象を受けます。食道癌は胃の粘膜が厚くなることによって胃痛が減り、油が多く含まれる西欧食を食べがちになるという食生活の変化が原因です。脂っこい食べ物によって胃酸過多になりやすく、増えた胃酸は食道へと逆流します。胃液が食道に逆流することによって食道粘膜が胃酸に晒され、そこから癌が発症すると考えられています。
大腸癌が増えている理由は、食の西欧化により肉などを食べる習慣が増え、大腸に便が溜まりやすくなることが原因だといわれています。よく「焦げたものを食べると体に悪い」と聞きますが、便の中には発癌性物質を含んでいる場合もあり、それが大腸癌の増加につながっているという学説が由来しています。

50歳からは人間ドックが必須です!

50歳からは動脈硬化と癌のリスクが格段に上がり、会社の検診などではカバーできない疾患が急激に増えてきます。そのため、人間ドックなどのより詳しい検査がかかせません。
定期的に人間ドックを受けることを強くおすすめします。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

【参考】

※1 「いい夫婦の日」をすすめる会「『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査 調査報告書」
https://www.paltek.co.jp/nextdecade/1/

※2 日本癌学会|第23回日本癌学会市民公開講座 講演1「胃がんで亡くならないために何をなすべきか」
https://www.jca.gr.jp/public/seminar/023/001_asaka.html

※3 たばことがん もっと詳しく知りたい方へ:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco02.html

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