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免疫力の弱ってくる大人こそVPDを知っておこう。インフルエンザはワクチンで重症化を防ぐ!

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「VPD」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?VPDとはVaccine-Preventable Diseasesの略で、直訳すると「ワクチンで予防可能な病気」のことです。

日本でワクチン接種が可能なVPD(2019年11月現在)

ワクチンが定期接種となっているVPD

結核
麻しん(はしか)
風しん
水痘(みずぼうそう)
百日咳
ジフテリア
破傷風
ポリオ
日本脳炎
肺炎球菌感染症
ヒブ感染症
B型肝炎
HPV感染症(子宮頸がん)
インフルエンザ(65歳以上の方など)

ワクチンが任意接種となっているVPD(自治体によっては補助金対象)

おたふく風邪
ロタウイルス胃腸炎(2020年10月から定期接種になる予定)
黄熱
帯状疱疹(水痘ワクチンを使用)
A型肝炎
狂犬病
髄膜炎菌感染症
インフルエンザなど

日本ではVPDによる健康被害を防ぐために、生後2カ月くらいからさまざまなワクチンの接種がすすめられています。そのため「ワクチンは子どもが対象」と思われがちですが、病気に対する抵抗力が低下してくる中高年にこそ必要なワクチンもあります。そのうちのひとつが、インフルエンザワクチンです。

インフルエンザは、ワクチンを接種することで病気に対する抵抗力が高まり、感染しにくくなります。また、感染しても症状が重症化することが少なくなります。さらにワクチン接種で感染拡大を防止すれば、予防接種可能年齢前の乳児やアレルギーや病気などが理由でワクチン接種ができない人を守ることにもつながります。

確かに、VPDは数多くある感染症の中のごく一部に過ぎません。しかし、ワクチンで感染リスクを下げ、重症化を防ぐことは、健康寿命を伸ばすことにもつながります。そこで今回は、インフルエンザを中心に、VPDとワクチン接種の有用性について解説します。

毎年接種が必要なインフルエンザワクチンと他のワクチンの違い

ワクチンの中には、黄熱ワクチンのように1度接種すれば生涯免疫を獲得できるものもありますが、数年で効果が弱くなってしまうものもあります。たとえば、破傷風ワクチンの効果持続期間は10年程度とされています。破傷風菌は土壌に広く存在する菌なので、ガーデニングや災害ボランティア活動などで感染することもあります。また、日本脳炎ワクチンの効果持続期間は4~5年程度とされています。日本脳炎は、東アジア・南アジア・東南アジアが流行地域とされており、日本でも毎年10例前後の報告があります。しかも患者の大半が60歳以上となっており、死亡例も報告されています。

しかし、VPDはワクチン接種で感染リスクを軽減することができます。ライフスタイルや行動範囲に合わせて、必要であればワクチンの接種を検討しましょう。ただし、大人のワクチンの接種スケジュールは、今までのワクチン接種歴や病気の罹患歴によって変わってきます。複数回の接種が必要になることもあるので、ワクチン接種を希望するときは余裕を持って医療機関を受診するようにしましょう。

ちなみに、インフルエンザワクチンは毎年接種が必要です。これは、インフルエンザワクチンの効果持続期間が5カ月程度と短めであること、またインフルエンザウイルスは流行する「株」が、ほぼ毎年変わることなどが理由です。
なお、インフルエンザワクチンは接種してから2週間ほど経たなければ効果が現れません。日本では、12月下旬から3月上旬にかけてインフルエンザが流行することが多いので、遅くとも12月上旬にはワクチンを接種することをおすすめします。

NIID国立感染症研究所「感染症発生動向調査 週報(IDWR) 速報データ 疾病毎定点当たり報告数~過去10年間との比較~」を基に作図

ワクチンはあなたの大切な人たちを守る手段

ワクチンは、重篤な感染症から身を守るための手段です。それと同時に、周りにいる人たちに感染を広げないための手段でもあります。実際、小中学生にインフルエンザワクチンの集団接種が行われていた1960~1980年代にかけては、集団接種の対象ではなかった高齢者の死亡や入院が大幅に抑えられていたことが報告されています。

インフルエンザに限らず、VPDである麻しんやおたふく風邪は、妊娠中に感染すると流産のリスクが高まります。また、風しんや水痘は胎児に重大な影響を及ぼす可能性があります。その他、百日咳は生後間もない乳児が感染すると、無呼吸発作やけいれんを起こしたり、命を落としたりすることもあります。特に、麻しん・風しん・水痘・おたふく風邪のワクチンは、妊婦に接種することができないタイプのワクチン(生ワクチン)です。大切な家族を守るために、そして後悔をしないために、必要なワクチンについては家族全員で接種を検討しましょう。

妊婦や新生児に与える影響が大きいVPD

VPD
(妊婦のワクチン接種の可否)

妊婦が感染した場合のリスク

注意点

麻しん
(接種できない)

流産・早産

2000年4月1日以前に生まれた人は、予防接種の回数が十分でない可能性がある

風しん
(接種できない)

胎児の障害

2000年4月1日以前に生まれた人は、予防接種の回数が十分でない可能性がある

水痘
(接種できない)

胎児の障害
症状の重症化
新生児に水痘の症状

2011年10月1日以前に生まれた人は、予防接種歴がない可能性がある

おたふく風邪
(接種できない)

流産

定期接種の対象外。接種歴のない人もいる

インフルエンザ
(接種できるが、主治医と要相談)

症状の重症化

毎年流行期前に接種することが必要

百日咳
(接種できるが、主治医と要相談)

無呼吸発作、けいれん
死亡(6カ月未満)

ワクチン接種歴があっても感染するおそれがある

ワクチンで健康を維持しよう

大人になってから接種するワクチンの多くは、保険適用のない自費診療となります。しかし、ワクチン接種にかかる費用と、病気になった時に生じる損失(仕事を休むことで生じる損失、治療費、公共交通機関を使えない場合の交通費、看病や介護にかかる費用、後遺症によるリスクなど)を比較すると、損失のほうが大きくなるケースがほとんどです。特に中高年では、ワクチンを接種して病気への感染リスクを下げること、重症化を防ぐことが、健康寿命を伸ばすことにもつながります。
たとえばインフルエンザの場合、喘息・心疾患・糖尿病などがあると症状が重症化しやすいことが知られています。これらの病気がある方は、家族全員でワクチン接種を検討し、感染リスクや重症化リスクをおさえるようにしましょう。

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