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乳がんって何歳から発生率が高まるの?

kurashino

芸能人が公表したというニュースに触れることも多いことから、近年特に注目が集まっているがんのひとつが、乳がんです。
原因のひとつに女性ホルモンが関わっていることは広く知られていますが、じつは肥満とも密接な関係にあることをご存知でしょうか。一般に知られているよりも、健康に深刻な影響を与えるのが、肥満と言っても良いでしょう。

この記事では日本人女性の最新の乳がん罹患状況とともに、乳がんと肥満の関係、具体的な予防法についてお伝えします。

日本人女性の乳がん罹患状況は?

乳がんに罹患する女性は年々増加しており、日本人女性のがん罹患率(部位別)では第1位、死亡率は第5位と決して珍しい病気ではありません。(※1)
乳がん発症のピークは40代後半と60代の2回あり、閉経前後と老年期に多いのが特徴です。

国立がん研究センター「がん情報サービス がん登録・統計 グラフデータベース」数値を抽出のうえ作図

すべてのがんを対象にすると、現代の日本では男女ともに2人にひとりが生涯に1度はがんにかかるとされており、女性は11人にひとりが乳がんになるというデータもあります。(※2)

このようなデータを目にすると、多くの方が不安に感じることでしょう。しかし、大切なのは必要以上に病気を恐れるのではなく、乳がんという病気について正しく理解することです。まずは乳がんの原因と症状、具体的な予防法について学んでいきましょう。

肥満女性は乳がんリスクが高くなる。肥満と女性ホルモンの関係

乳がん発生に関与するとされるエストロゲンは、女性ホルモンの一種。子宮内膜の増殖や骨量の維持などを担う女性に欠かすことのできないホルモンです。
そのエストロゲンはさらに3種類に分類され、その中でも乳がんに特に関係しているのが閉経前の主要エストロゲンである「エストラジオール」と、閉経後の主要エストロゲンである「エストロン」です。

エストラジオール

エストロン

卵胞で産生され、性成熟期の主要エストロゲンとなる。エストロゲンの中ではもっとも作用が強い

脂肪組織で合成され、閉経後の主要エストロゲンとなる。一部は卵巣でも産生される。皮下脂肪の多い女性は、エストロンの産生が増加する。

乳がんの発生には、エストラジオールに長い期間さらされる個別的な要因(初潮が早い、閉経が遅い、晩婚・少子化による出産や授乳回数の減少など)のほか、生活習慣が深く関わっています。そのひとつに食生活の欧米化やアルコールの過剰摂取、運動不足などによる「肥満」が挙げられます。
脂肪の増加とエストロンの産生は相関関係にあり、「BMIが大きくなると乳がんリスクが高く」なるという調査結果も出ています。これは閉経後に限らず、閉経前でも同じことが言えます。このような理由から、生活習慣を改善し肥満を予防することは、乳がんの予防にもなると考えられているのです。

乳がんの予防と早期発見のためにできること

では、乳がんを予防するためには、具体的にどんなことに注意すべきなのでしょうか?
乳がんを発症した人の90〜95%は食生活などの環境因子の影響が複雑に関与し、5〜10%は乳がんを発症しやすい遺伝子をもつと言われています。まずは、食生活や運動といった生活習慣の見直しから始めてみましょう。

食生活の見直し

基本は毎日3食を規則正しくとることです。
タンパク質・糖質・脂質をはじめ、ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランスよくとるようにしましょう。食物繊維は脂質や糖質の吸収を穏やかにするとともに、前菜としてとることで食べ過ぎ防止にもなります。
また、私たちの体には「サーカディアンリズム」と呼ばれる体内時計が備わっており、この体内時計にしたがって食事をとることも大切です。体内時計の影響を受ける「Bmal1(ビーマルワン)」という遺伝子の一種が、脂肪の蓄積に関与しているためと言われています。

朝食を摂ることによって体内時計が作動し始め、体温が上昇し、意欲や活力・記憶力が活性化します。次に、Bmal1と呼ばれている遺伝子は脂肪の蓄積に関与し、昼間はほとんど産生されないにも関わらず、深夜になると増加します(特に午後10時から午前2時頃が一番多く、昼間の約20倍)。したがって、Bmal1の少ない朝や昼間に食事をすると肥満予防になり、深夜に食事をすると太りやすいことになります。

時間栄養学 |愛媛労災病院 院長 宮内文久|産業保健コラム

この「時間栄養学」という考え方を参考にすると、カロリーの高い食事や間食をとるのは夜間よりも昼間の方が適しているということになります。本来備わっているからだのリズムに合わせて規則正しく食事をとることが、肥満予防には非常に重要だということです。

さらに注意したいのは、「食べる量を減らす」というダイエット法です。食べる量を減らせば当然摂取カロリーは減りますが、からだにとって必要なタンパク質などの栄養素まで不足してしまいます。大切なのは、「必要な栄養素をバランスよく、決まった時間に適量とること」と心得ましょう。

節酒を心がける

飲酒も乳がんのリスクを高めると言われています。女性のほうが男性よりも体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告もあります。
適度な飲酒は心身をリラックスさせますが、飲み過ぎは禁物です。食事と同様、"ほどほど"に抑えることを心がけましょう。

毎日の運動習慣

肥満予防だけでなく、健康の維持・増進のためにも毎日の運動習慣は大切です。食生活の見直しとともに、積極的に体を動かすようにしましょう。

成人に対する個人目標(例) ※3

  • 日頃から「散歩」「早く歩く」「乗り物やエレベータを使わずに歩くようにする」など意識的にからだを動かしましょう
  • 1日平均1万歩以上歩くことを目標にしましょう
  • 週2回以上、1回30分以上の息が少しはずむ程度の運動を習慣にしましょう
  • 最初の運動として、ウォーキングからはじめましょう

理想は日々の生活にウォーキングやジョギングなどを組み込むことですが、なかなか難しいという方は「愛犬の散歩」や「いつもより遠回りをして帰宅する」など、実行しやすい目標を掲げて取り組んでみましょう。ただし、高血圧や心臓病などの持病がある方は、主治医の指示にしたがい運動量を調整してください。

国立がん研究センターでは、すべてのがんの予防法として上記の「食生活の見直し」「節酒」「運動習慣」に加えて「禁煙」「適正体重の維持」を挙げており、『5つの健康習慣を実践することでがんになる確率を低くしていくことが可能』と提唱しています。(※4)
現在の生活習慣を振り返り、実践できるものからひとつずつ取り入れてみてください。

乳がん検診と自宅でのセルフチェック

がん対策として予防と同様に大切なのが「早期発見」です。厚生労働省は、40歳以上の女性に対し2年に1回の乳がん検診を推奨しています。定期的に視診・触診・マンモグラフィ・超音波検査などの検査を受けることが、乳がんの早期発見につながります。

また、自宅で簡単に行えるセルフチェック法もあります。乳がんは自分で発見できる数少ないがんです。2年に1回の乳がん検診に加え、毎月1回のセルフチェックをおすすめします。

普段から「自分のおっぱい」を知っておこう

セルフチェックで異常に気付くためには、普段から自分のからだについてよく知っておくことが大切です。わずかな変化に対して「あれ?」と気付くことが、がんの早期発見につながります。万が一、乳房にしこりなどの異常が見つかった場合は、早めに病院を受診しましょう。

乳がんの特徴的な症状

  • 乳房のしこり、エクボ(がんで皮膚がひきつれてエクボのように変形する)
  • 乳首の陥没
  • 乳首や乳輪周囲のびらん
  • 乳首からの血性分泌液
  • 乳房周囲のリンパの腫れ
  • 乳房の皮膚の変色(オレンジの皮のように変色する)

まとめ

乳がんは女性のがんの中ではもっとも多く見られますが、早期発見できれば高い確率で治癒する病気です。必要以上に病気を恐れるのではなく、定期検診やセルフチェックで早期発見に努めるとともに、普段の生活を見直すことからがん対策を始めてみましょう。
また、医療の世界は日進月歩です。最新かつ信憑性の高い情報をキャッチして、根拠のない情報や治療法にまどわされないことも大切です。

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