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"熟年離婚"にならないために、お互いの大切なものを知る

kurashino

長年連れ添った夫婦に転機が訪れるのは、家族のカタチが変わった時。
子どもが進学や就職、結婚などで巣立ってしまうと、これまで子ども中心だった生活が、一気に2人きりの世界に変わってしまいます。
そして、退職もまた生活が変わるターニングポイントのひとつ。夫が常に家にいる生活にうんざりする妻、退職後に妻とどのように時間を過ごしてよいのかわからない夫。
ケンカが増えてしまったり、会話がなかったり......。でも本当は、2人で人生を楽しんでいけたらと願わずにはいられないですよね? どうしたらお互い幸せに暮らしていけるのでしょう。

夫の秀海さんと2人で、夫婦カウンセラーとして多くのご夫婦の悩み相談を受けている安東美紀子さんにお話を伺いました。

子どもがいなくなることで、夫婦間の我慢が浮かび上がる

これから2人で暮らしていくという未来を考えたとき、「お互いが大切にしているものは何か」ということをきちんと話して理解することがとても重要になります。
相手を個として尊重することです。ご相談にいらしたご夫婦に、こんなケースがありました。

関係がうまくいかなくなった50代のご夫婦です。

外出ばかりする夫に対し、妻は家族を第一に考えてもらえていないという不満を抱えていました。また子どもが巣立ったことで家にひとりでいる時間が増え、自分が夫に大切にされていないとも感じていました。また、2人には共通の趣味もありませんでした。
そこで、お互いの生活で何を大切にしているのかについて話し合っていただきました。妻にとって大切なものは、食事や健康、住まいなど"家" "家族"にまつわるものが多く、一方、夫は趣味仲間や飲み会など "交友関係"にまつわるものが多くありました。

夫の価値観では友人らとの関係の優先度が高くはありましたが、それは"家族が大切でないということではなかった"のです。一方、妻の価値観では"家族を大切にすることは、家にいること"でした。それをお互いが理解していなかったことが、関係がうまくいかないと感じる原因でした。

お互いの優先順位が異なる、価値観が違うというのは当たり前だし、合わなくてもいいんです。でも、知っておいたほうが相手の行動の理由が分かり、気持ちもラクになることが圧倒的に多いですよね。お互いに大切なもの尊重しあえれば、価値観が合わないこと自体は問題ではなくなります。

このように、子どもが巣立った後に関係がギクシャクしてしまうのは、夫婦1対1の時間が増えるから。
これまでお子さん中心の生活でしたが、お子さんが巣立ったことで、そのエネルギーがすべて相手に向いてしまうことは、どの家庭でも起こりがちです。1対1になったぶん、お互いの言動につい目が行ってしまい、これまで気にならなかったこと、見過ごしてきたことがより気になってしまうのです。
お子さんのために、と我慢してきた方の中には、これを機に離婚を考える方も実際にいらっしゃいます。

お互いを理解するために"言葉にする"ことの大切さを知る

2人でいる時間が増えたぶん、これまで以上に思いやりを持ったコミュニケーションが大切です。ご相談の中で多いもめごとの原因のひとつは、夫によるモラハラ的コミュニケーションです。
50代以上の男性は、言葉の表現が気づかないうちに高圧的になる傾向にあります。相手の領域に踏み込みすぎたり、妻は自分に属していると思ったりしがちです。長年一緒にいることで、自分のスタンダードを相手が理解して当たり前と思ってしまっているんですね。

一方、女性は"不機嫌は悪"を知ることが大切です。
長年一緒にいるせいか、「もう少し優しく言ってほしいな」と、ストレートにかわいく言葉にできないという人も多いのではないでしょうか。面と向かって言葉を発するとケンカになってしまうからと、言わない代わりにため息をついたり、ムスッとしたりして態度で怒っていることを伝えようとします。しかしそれは、男性に対して逆効果になることがあります。
妻が不機嫌だと、"俺が悪かったな"という気持ちよりも、"家の居心地が悪い"という気持ちのほうが強くなってしまうのです。妻がいつもイライラしていると感じて家の外に居場所を求め、浮気につながってしまうこともあります。

※厚生労働省「平成 30 年(2018) 人口動態統計の年間推計」を基に作図

上のグラフは、国内における離婚件数の推移です。2002年の28.9万件をピークに徐々に減少傾向にありますが、2000年以降は毎年20万組以上の夫婦が離婚を選択しています。
「熟年離婚」というと妻から夫へ突きつけるもの、というイメージがありますが、最近は夫から妻へというパターンも増えています。

昔のように、離婚が仕事に悪影響を及ぼすことがなくなり、働く男性も離婚することの抵抗感が薄れてきています。実際に離婚して独身となり新しい人生を楽しんでいる人が周囲にいると、ご自身の夫婦関係がうまくいっていない場合は、離婚が選択肢に入ってくるのです。
子どもが巣立つまでは現状を維持し、その後に離婚を考える人も珍しくありません。特に浮気をしている男性では、新しい女性と未来を......と考えているケースもあります。

そうならないためにも、普段の生活で言葉のコミュニケーションを大切にし、相手の価値観を尊重する。そして2人でどのような未来を歩んでいきたいか、夫婦でいま一度話し合ってみませんか? 「ごめんね」という言葉ひとつを発するとしても、どんな声質かにより、受け取る側の印象は変わります。感情的にならず、声の音にも意識を向けてみてください。

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