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寝たきりでも入浴するために 在宅で利用できる介護サービスを抑えておこう

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親の介護のなかでも負担の大きい入浴介助。寝たきりの場合、すべてこちらで介助しなければならないため重労働です。また、浴室の床は滑りやすく、転びそうになってヒヤリとすることも。

自宅では、入浴より手軽にできる清拭(せいしき:からだを拭くこと)がよく行われますが、それだけでは清潔を保てません。「寝たきりになったら入浴は無理」と諦めている人もいるかもしれませんが、介護サービスを利用すれば寝たきりでも入浴できます。

今回は、寝たきりの人が入浴するメリットや入浴介助をしてもらえる介護サービスについてまとめました。親の状態に合った入浴方法を検討し、介護する側もされる側も快適な生活を送りましょう。

想像以上に大変! 家族が入浴介助をするときの問題点

まず、寝たきりの人(主に「要介護5」と認定された人)の介護の現状を、データを見ながらお話しします。
要介護度が重くなるにつれて、家族が介護に費やす時間は長くなります。厚生労働省によると、寝たきりのため、生活全般に介護が必要な「要介護5」では、56.7%の介護者が1日のほとんどを介護に費やしていることが分かっています。

厚生労働省 「2019年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況 P27」の情報を基に作図

もうひとつのデータを見てみましょう。
長い介護時間のなかでも、入浴介助は家族にとって大きな負担になっています。内閣府の調査では、「介護で苦労したこと」の2番目に「入浴(58.3%)」が挙がっています。

内閣府 「「介護ロボットに関する特別世論調査」の概要|(ア)介護で苦労したこと(複数回答,上位5項目)」の情報を基に作図

なお、寝たきりの人を入浴介助するとき、具体的には以下のような問題点があります。

1.浴室までの移動が難しい

ベッドと浴室までの距離が遠い、段差があるなど、移動が難しいケースも珍しくありません。

2.身体的負担が大きく、1人での介助は難しい

私がご家族からよく聞いたのは、なんとか浴槽に入れられたとしても、上げるのが大変という話です。低い位置から引き上げる動作は、想像以上にからだへの負担がかかります。

3.設備が整っていない

病院や介護施設であれば、寝たままシャワーや入浴できる機器が揃っています。一方、自宅ではこのような設備が整っていないので、どのように入浴介助したらいいのか迷ってしまいます。

4.浴室が滑りやすく転倒するリスクがある

実際に自宅で入浴介助をしているとき、滑って怖い思いをしたことがある人も多くいます。

 

親が寝たきりになると介護に費やす時間が増え、自由になる時間がなくなります。このような状況のなかでの入浴介助は、身体的にも精神的にも介護する家族を追い詰めてしまいかねません。

清潔を保つためだけではない、寝たきりの人が入浴するメリット

寝たきりの人の入浴介助が大変だからといって、入浴をさせなくてもいいわけではありません。寝たきりだからこそ得られる、入浴のメリットがあります。

1.清潔保持

入浴の大きな目的は清潔を保つことです。古い角質がやわらかくなるので、清拭と比べて汚れが落ちやすくなります。

2.血行促進

温かいお風呂につかると身体がポカポカと温まり、全身の血行がよくなります。これは、疲労回復やむくみの解消などにつながります。

3.褥瘡(じょくそう)予防

褥瘡(床ずれ)とは、同じ体勢のままいることで皮膚が圧迫され血流が悪くなり、赤みや傷ができてしまうことです。悪化すると、骨が見えるほど深い傷になることもあります。寝たきりになると褥瘡のリスクが高くなるので、日々気をつけなければいけません。
褥瘡予防のコツはいくつかありますが、皮膚の清潔と血行促進は大切なポイントです。入浴によってこれらの効果を期待できます。

4.生活のなかに楽しみが増える

寝たきりになるとベッドから動けず、生活にメリハリがなくなります。しかし、自宅で入浴できれば、からだを動かし湯船に浸かることで刺激になります。
日本人はお風呂好きの人が多く、入浴を楽しみにしている高齢者はとても多くいます。また、入浴で血行がよくなると、副交感神経が優位になりリラックスできます。入浴は精神面にもプラスの効果があります。

 

このように寝たきりの人が入浴するメリットはたくさんあります。しかし、上述したように家族が介護するのは大変です。介護サービスを上手に利用し、負担を軽くしたいものです。

寝たきりでも大丈夫! 入浴介助で利用できる介護サービスと特徴

寝たきりの人の入浴にあたり、どのような介護サービスが利用できるのかを紹介します。

1.訪問介護

介護福祉士やホームヘルパーが食事や掃除などの日常生活を援助するために訪問するサービスです。入浴介助は自宅の浴槽を使います。ただし、利用者がからだをまったく動かせない、浴槽が深く介助が難しいなど、状況によっては入浴介助ができないこともあります。

2.訪問看護

看護師が自宅に訪問し、医療行為や服薬管理などを行います。医療ケアが必要な人や体調面で不安がある人におすすめです。日常生活の介助にも対応しており、入浴介助もしてもらえます。しかし、基本的に看護師が1人で訪問するので、訪問介護同様に状況によっては対応できないこともあります。

3.訪問入浴介護

寝たきりのまま入浴できる浴槽を自宅に持ち込み、入浴介助を行うサービスです。看護師1人、介護員2人の合計3名で訪問します。寝たまま入れる浴槽を使うことや訪問するスタッフの人数が多いことから、寝たきりの人も手厚い介助が受けられます。看護師がいるので、医療的ケアが必要な人も入浴できるのが魅力です。

要介護度が高くなるにつれて「訪問入浴介護」を利用する人が多くなっていることが、厚生労働省の調査で分かっています。

厚生労働省 「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況|2 居宅サービス事業所等の状況」の情報を基に作図

介護サービスを利用したいと思ったら

実際に、入浴の介護サービスを利用したいと思ったら、まずはその旨を担当のケアマネジャーに伝えましょう。ケアマネジャーは、あなたの親御さんの状態に合わせてどの介護サービスが適切か、相談にのってくれます。このとき、どのくらいの頻度で利用したいのか、介護サービスを利用するうえで重視するポイントは何かなど、家族の意向も伝えましょう。そうすることで介護サービスとのミスマッチが防げます。

ただし、介護サービスは希望すれば必ず利用できるわけではありません。要介護度によって支給限度額があり、その範囲のなかで利用する必要があるためです。
支給限度額内であれば、利用料は1~3割の自己負担で済みますが、支給限度額を超えると全額自己負担になってしまいます。すでに利用している介護サービスがあって、入浴介助を追加すると支給限度額を超える場合は、ケアマネジャーと相談しながら他の介護サービスを調整します。「要介護4」以下の場合は、区分変更を申請して要介護度を引き上げ、支給限度額を増やす方法もあります。いずれにしても、ケアマネジャーと相談しながら介護サービスを利用する方法を検討します。

介護サービスは、清潔保持を目的に複数利用することもできます。たとえば、週2回は訪問介護で清拭、週1回は訪問入浴で入浴介助など、組み合わせて利用している人もいます。

介護サービスの導入するときは、その人に合った入浴方法と介護サービスを検討することが大切です。

まとめ

入浴介助は転倒のリスクも高く、慣れていないと危険をともないます。重労働なので、家族にとって大きな負担です。特に寝たきりの場合は、無理せず介護サービスを利用することをおすすめします。

介護サービスにはさまざまな種類があるので、迷ってしまう人もいるかもしれません。それぞれの特徴を比較し、親の状態や家族の希望に合わせて選ぶのがポイントです。

入浴は、その人らしい生活を維持するうえで欠かせません。寝たきりであっても定期的に入浴し、心地よい毎日を送りましょう。

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