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不登校は本当に甘え? 原因と対処法を小中高生別に精神科医が解説

kurashino

小学生・中学生・高校生のお子様をお育ての親御さんのなかには、「子どもが不登校になったらどうしよう」と心配されている方もいるかもしれません。落ち込んで帰ってきたり、同級生とのトラブル等があったりしたときは、さらに気が気ではなくなることもありえるでしょう。

この記事では、大切なお子さんが仮に不登校になったとき、また不登校になりそうなときにどう対処すればよいのか、精神科医の立場からお話しします。

不登校とは

不登校は、かつて「学校恐怖症」「学校嫌い」などと表現されることもありましたが、現在は「学校に定期的に通えない状態」を指す言葉になりました。

完全に学校に行けなくなる前には、「朝、起きられずに遅刻する」「学校には行くけれども保健室に行ってしまう」「2-3日に一度は登校する」といったさまざまな段階を経ることになります。ただ、そうなった時点で、ご家族の心配はすでに大きいでしょうから、ここでは「学校を休みがち」の状態を含めて「不登校」と考え、話を進めていきます。

小中学生と高校生の不登校ではここが違う

小学校・中学校(公立)の不登校

小学校・中学校の不登校では、学校に通わなくても卒業証書をもらえるという意味で、高校生のそれとは異なります。学校で何があって不登校になったのかは、この場合は問いません。言い換えれば、代替手段で教育をすることも考えられるでしょう。つまり、子どもの意思に沿って「学校に行かない」という行動を取ることも可能です。ひどいいじめがある場合など、精神科医の立場としては、「学校は、命をかけてまで行くところではない」と考えています。
また、「不登校の原因を根気よく改善する」のも、もちろん選択肢のひとつです。いわば、「万全の状態で次の学校へ行く」ことを目指します。最近は別室登校なども盛んです。

高校の不登校

高校の不登校で言えることは「休む日数・時間・教科」は限られているということです。なぜなら高校は、単位を取らなければ留年になるからです。そうなると、再び同じ学年に在籍するか、別の学校に移るかという問題が出てきます。これが、高校の不登校で早々に起きてくる問題です。

この場合、全日制タイプ以外の学校を親が先回りして探しておくのも良いでしょう。小中学生と比べ、いわば"短期決戦"となるため、学校に少しでも行けない兆候が見られたら、早めの病院受診をお勧めします。

私立中学の不登校

同じように"短期決戦"を迫られるのが、私立中学です。もともとが「試験を受けて一定のラインに到達した」子どもが集まっているため、学習進度も早く、一度学校に行けなくなると勉学での遅れがどんどん進みます。
現状を打破する方法として、地元の中学校に転入することも考えられますが、「せっかく受験したのに、いまさら公立に通うだなんて耐えられない」と本人のプライドに触れてしまうこともあるでしょう。

不登校になりやすい病気

それでは、どういった病気の子どもが不登校になりやすいのでしょうか。いろいろな理由がありますが、以下の3つの病気を代表例として挙げておきます。

1.社交不安障害

昔は「社会不安障害」「対人恐怖」「赤面恐怖」と言われた病気です。人前で発表するといった場面で緊張してしまい、脈拍が速くなったり、呼吸が速くなったり、汗をかいたりする病気です。薬物治療の対象となりますので、状況により通院を検討するとよいでしょう。およそ8歳から15歳までに発症することが多いとされています。

2.強迫性障害

「もう汚れていないのについ手を洗ってしまう」などの脅迫行動と、「もし犯罪をしていたらどうしよう」と言った強迫観念からなりたっている病気で、「そんなことはあり得ない。バカバカしい」ということは分かっているのにやめられないことが特徴です。
ADHD(注意欠如多動性障害)との関連が指摘され、5歳で発症したケースも出ています。こちらも薬物治療の対象となりますので、状況により通院を検討しましょう。

3.発達障害

現在は「自閉症スペクトラム障害」と「ADHD」とに分けられています。なかには、そのどちらも併存する子どももいます。「変わった子」と言われていじめにあったり、逆に人の気持ちがわからなくて意地悪をしてしまったりします。その結果として学校に行きにくくなったりします。

これらの症状が疑われる場合、まず病院に行って心理検査をするのが近道です。その子のための取扱説明書を作るイメージです。そのうえで、どうすればみんなの輪のなかで生きていけるのかを考え、学年が上がったタイミングなどで学校に戻ることを検討すると良いでしょう。勉強の遅れがある場合などは支援学級の利用なども考えましょう。

小学生・中学生の不登校への対応

小学校・中学校は1日も学校に通わなくても卒業証書がもらえます。勉強に遅れを取らないようにしつつ、「不登校になった原因」に目を向け、家族で一致団結して不登校と戦うことが大事です。
両親のうちのどちらかが「病気の我が子を受け入れられない」となると、治るものも治らないような状態になってしまうので、正面からぶつかっていきましょう。そして、進路を考えたとき、「全日制の高校ではない選択肢を探してみよう」となった場合には、以下のような進学先を検討してみましょう。

1.インターネット型の学校(通信制含む)

オンラインとスクーリング(たまに学校に行くこと)を基本に教育を実施している学校です。全国展開している学校も多いので、ぜひ資料を取り寄せ、比較検討するとよいでしょう。

2.単位制の学校

地域に1〜2校存在しています。最低限の単位数で高校卒業資格を得られるので、本人のペースで学び、卒業を目指せます。

3.専修学校

普通の高校がちょっと苦しい子どもに、手に職をつけさせてくれたうえで高校卒業の資格を取らせてくれる学校です。ただし、全日制の学校と登校時間は変わらないので、そこだけは注意が必要です。

4.高等支援学校

支援学校も選択肢の一つですが、「療育手帳(知的障害の認定)」がないと通えない都道府県が多くなっています。発達障害だけで療育手帳を発行してもらえる都道府県は限られています。進学にともない療育手帳を取得する場合は、まずは役所に相談してみましょう。

高校生の不登校への対応

高校生の場合、「上の学年に進めない」「単位を落とした」という段階で、単位制の高校やインターネット型の高校への転学など、速やかな方針転換が必要になります。この場合、資料を集めるなど、子ども自身が自分で必要なことをするのは状況的にも厳しいでしょう。こうしたことは親が先回りして準備する必要があります。転学先の候補となる学校は説明会や学校見学、入学式などを年に何回も実施しています。実際に足を運んだり話を聞いたりしつつ、最後は家族で話し合って決めるようにしましょう。

不登校になった子どもの進路は

1.大学受験

いったんは不登校になったとしても、大学受験に挑戦する子どもはたくさんいます。人間関係が密な高校までより、大学の人間関係のほうが楽で落ち着く子もいます。本人が「行きたい」というのであれば、可能であればチャレンジさせ、応援できる体制を取りましょう。

2.働く

進学せずに働く、という選択肢に関しては障害者就労や一般就労をするケースと、「就労支援センター」に通うケースの2つがあります。就労支援センターでは手に職をつけてくれたり、障害者就労を斡旋してくれたりするので、自宅で引きこもって就職先を探すよりは現実的と言えるでしょう。

親としてとるべき態度

親として取るべき態度は、あくまでも「その子自身を拒否しない」ことに尽きます。あなたの思ったとおりには育たなかったかもしれません。「期待」には沿わなかったかもしれません。ですが、「期待」したのは親のほうです。精神科医の立場では、叶うところは本人に任せてあげるべきと考えます。「期待に応えてくれないあなたは受け入れられない」では子どもとの関係に溝が生じます。
不登校問題には家族の団結が必要です。ぜひ本人を受け入れるところから始めましょう。

まとめ

今回は、子どもの不登校についてお話ししてきました。そのときどき、その年代に合わせて対処は変わりますが、前提はあくまで「本人を無条件で受け入れる」ことです。不登校は大変なことかもしれませんが、病院も力になってくれます。家族全員でかかりつけ医と一緒に乗り越えていくことを願っています。

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