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遠距離介護の味方!「高齢者見守りサービス」の種類と選び方のヒント

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高齢の親と離れて暮らしていると、家族は心配が尽きません。急に具合が悪くなったり、ケガをしたり、火の不始末があったりしたらーー。さまざまな不安が頭をよぎり、どう対策すればよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

こうした不安を解消するひとつの手段として、今回は、離れた場所からでも親の様子や安否を確認できる「高齢者見守りサービス」をご紹介します。
ご両親の安全のため、ご家族の安心のために、ぜひ便利な見守りサービスの利用を検討してみませんか。

別居の親の介護にひそむ問題点

要介護の親と離れて暮らしていると、一体どのような問題が生じてくるのか、改めて考えてみましょう。

高齢の親との同居は減っている

昔は当たり前だった親との同居ですが、今は逆に別居を選択する人のほうが多くなっています。
厚生労働省の資料によると、65歳以上の高齢者がひとり、または夫婦のみで暮らす割合は、昭和58年は3割程度だったのが、30年以上が経った平成28年には6割近くにまで増加、一方、子夫婦と二世帯で暮らす割合は、約1割に留まっています。

厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果から グラフでみる世帯の状況|P9 家族形態別にみた65歳以上の者の構成割合の年次推移」の情報を基に作図

親との別居で生じる問題とは?

高齢の親と別居していると、急な病気やケガ、高齢者をねらった詐欺、火の扱い、戸締まりなど、心配な点がたくさんあるかと思います。
子世帯が近くに住んでいれば、日ごろから親の様子を把握しやすく、異変に素早く気づいたり、特殊詐欺などの被害を未然に防いだりと、さまざまなトラブルを回避しやすくなるでしょう。また、買い物や通院の付き添いなど、必要なときにすぐに手を貸せる点も大きなメリットです。しかし、親と離れて暮らす家族は、このように親の暮らしを直接サポートするのが難しくなります。

要介護認定を受けて介護保険サービスを利用すれば、ある程度は生活の不便な点をカバーできるものの、ヘルパーが四六時中見守ってくれるわけではありません。他人の目の届かないあいだ、どうやって危険から親を守るのか――。この点が遠距離介護に欠かせない課題といえるでしょう。

そして、親の介護のために遠い実家へひんぱんに通うとなると、子ども側には金銭的にも時間的にも大きな負担が生じるほか、気持ちの面で焦燥感が出てくることは、容易に想像できます。
第一生命保険会社が行った調査によると、親の家までの移動時間が1時間以上かかる場合、約8割の人が「親の家に通うのが大変」「何かあった時にすぐに駆け付けられない」と不安を感じているそうです。

第一生命保険会社「親の介護に対する 40・50 代の不安と準備(2015 年1月9日)|図表3 親の介護に対する不安(親の家への移動時間別)」の情報を基に作図

遠方に住む親を心配するのは子どもとして当然の心理ですが、距離の問題がネックになって親を十分にサポートすることができず、もどかしい思いを抱えている方もいるかと思います。幸い、高齢者のみの世帯が増加している背景や子世帯にのしかかる負担の面から、今は遠距離介護を支える支援やサービスが徐々に増えつつあります。

今回ご紹介する「高齢者見守りサービス」もその一つ。高齢者の生活を守るための地域の取り組みや、民間企業のサービスについて、くわしい内容をみていきましょう。

離れて暮らす親の介護に役立つ「高齢者見守りサービス」

親と別居している人が抱く不安を解消するために、自治体や企業はさまざまな機能を備えた多種多様な見守りサービスを取り扱っています。ここでは、見守りサービスの種類や費用、メリットやデメリットをお伝えしていきます。

高齢者見守りサービスとは?

「高齢者見守りサービス」とは、遠方に住む家族に代わって高齢者の暮らしを守るために、機器による見守りや訪問による安否確認を行うサービスのこと。
対面および機器を利用した安否確認のほか、異変時の家族への連絡、緊急時の専門スタッフの駆け付け対応まで、企業によってそれぞれ特徴の異なるサービスを扱っています。

見守りサービスのメリットとデメリット

安心かつ便利な見守りサービスですが、それぞれメリット、デメリットがあります。この2つを比較しつつ、導入するか否かを検討してみましょう。

メリット

  • 親の健康状態や日々の様子を知ることができる
  • 何か異常があった時の早期発見に役立つ
  • 緊急時には、警備員など専門スタッフが駆けつけ、必要があれば消防へ通報してくれる

デメリット

  • 親が生活を監視されているように受け取り、拒否感を持つことがある
  • サービスを利用していても、100%安全というわけではない
  • 月々の利用料金や初期費用がかかる

高齢者見守りサービスの種類

高齢者見守りサービスは、一般的には、利用者の家を直接訪ねて安否確認をする「訪問型」、親の家にセンサーを取り付けて日々の様子を知る「センサー型」、家に簡易カメラを設置して親の行動を見守る「カメラ型」、そして自治体の「緊急通報システム」などが主流です。それぞれの特徴や費用をご紹介します。

1.訪問型

直接自宅を訪問して安否確認をしてくれる「訪問型」の見守りサービスには、以下のような種類があります。

【専任スタッフによる訪問】
自治体によっては、協力団体と連携し、たとえば水道、電気、ガスの検針、郵便配達、生協や牛乳の配達の際に高齢者の安否確認をし、異変に気付いたときは市区町村の担当や地域包括センターへ連絡をするという取り組みをしています。お住まいの自治体で、高齢者に対しどのような見守り支援をしているのか、1度確かめておくとよいでしょう。

【食事の宅配サービスによる安否確認】
比較的安価で利用できるのが、「食事の宅配サービス」です。自治体のほか、民間事業者でも配達の際に安否確認をし、必要があれば家族に連絡をしてくれるところもあります。
1食400~600円程度のお弁当代金のみで、本人に直接手渡ししてくれるので、離れて暮らす家族にはとても助かるサービスではないでしょうか。

【郵便局の見守りサービス】
郵便局が独自で打ち出すサービスとして、「みまもり訪問サービス」と「みまもりでんわサービス」の2種類があります。万が一の時には緊急で警備員が自宅へ駆け付けてくれる「駆けつけサービス」をオプションで付けることもできます。

  • みまもりサービス
  • 月に1度郵便局員が自宅を訪問し、30分程度、生活や健康の様子を本人に尋ねたり、一緒に脳活トレーニングを行ったりするサービスです。訪問した内容はメール等で家族に知らせてくれます。料金も数千円と、比較的利用しやすいでしょう。

  • でんわサービス
  • 毎日決まった時間に自動音声による体調確認をし、その内容を家族の指定した連絡先へ報告してくれます。こちらも利用料金は1,000円余りと、取り組みやすい価格設定です。

2.センサー型

センサー型の見守りサービスには以下のような種類があります。

【警備会社の見守りサービス】
一例を挙げると、室内にセンサーを取り付け、一定時間動きがない場合は「異常あり」と判断し、自動的に会社へ信号が送られるというものがあります。この場合は、状況に応じて警備員が自宅へ駆け付け、消防に通報するなど、突然のトラブルに早期に対応してくれます。
24時間対応の無料健康医療相談サービスを付帯する会社もあり、ちょっとした体調変化について気軽に相談することができます。

利用料金は、最初に数万円の工事代金がかかるケースが多く、月々の支払いは5,000円前後が主流です。会社によっては初期費用を抑えるプランもあり、その場合は月々の利用料が割高になります。
民間のサービスはどうしても高額になりがちですが、高齢者の生活の不安をトータルでフォローしてくれますので、いざという時に非常に頼りになることでしょう。

【家電を利用した見守りサービス】
電気会社や家電メーカーでは、テレビ、エアコン、洗濯機など、家電の使用状況をAIが分析して親の安全を見守るサービスを提供しています。
家電の使用状況を通じて、親が普段どのように過ごしているかを、子ども側は手元のスマホで手軽に把握することが可能です。たとえば、夜中にテレビがつけっぱなし、朝から家電を使用した形跡がないなど、いつもとは違う様子が見られたら契約者に連絡がいく仕組みになっています。会社によっては、専任スタッフが自宅を訪問してくれるサービスが付いているところもあります。(※別料金になる場合もあり)
利用料金は、初期費用が数万円、月々の利用料金は数千円が相場です。

ほかにも、電気ポットの操作状況で親の生活を見守る方法や、電球のON/OFFの点灯状況によって生活状況を把握する方法など、多くの企業で工夫をこらしたさまざまな見守りサービスを扱っています。

3.カメラ型

自宅に設置した簡易カメラの映像を通じ、スマホやタブレットなどで親の様子を見守る方法です。会話ができるタイプもあるので、服薬の時間になったら声かけをして飲み忘れを防ぐなど、便利な面もありますが、その一方で「まるで監視されているようだ」と、親側が拒否感を持つ場合も少なくありません。カメラの設置を考えるなら、相手のプライバシーや心理的ストレスを十分考慮し、カメラの設置場所を工夫するなどの配慮をしましょう。

部屋の室温を感知できるタイプもあり、夏場の熱中症予防の効果を見込めます。高齢になるにつれ、暑さや寒さを感じにくくなる傾向があるので、こうした機能が付いているとより安心ですね。

利用料金は、初期費用数万円、月々の利用料金が数千円ほど。なお、オプションとして、緊急時にはガードマンの駆け付けを依頼できるサービスもあります。

4.その他

自治体でも、独自の高齢者向け見守りサービスを実施しています。多くの自治体で行っている「緊急通報システム」は、専用の通信機を安価で貸出しており、いざという時に駆け付け対応や通報をしてくれます。また、地域のボランティア団体でも、見守りサービスを行っているところがあります。詳しくは、担当のケアマネジャーやお住まいの地区にある「地域包括支援センター」へ問い合わせてみましょう。

見守りサービスの選び方のポイント

見守りサービスはとても種類が多いので、何を選べばよいのか迷ってしまう人も多いかもしれません。選び方のポイントとして、以下の2点を念頭に置くとよいでしょう。

  • 不安な点を解消できるサービス内容であること
  • 無理なく支払える料金であること

たとえば、歩行の不安や認知症の傾向があり、日常生活に不安を感じている人であれば、センサー型やカメラ型で常時見守りができ、さらに緊急時の駆け付け対応が付いているサービスが最適でしょう。逆に、日常生活に問題がなく、持病もないという人なら、自治体の定期的な訪問でも十分かもしれません。

そしてもうひとつ、重視したいのは、「利用料金」です。見守りサービスのほとんどは毎月料金が発生するため、継続して支払える価格帯であることが大切です。予算の範囲内で、より自分たちに適したサービスを選ぶようにしましょう。

まとめ

今回ご紹介した「高齢者見守りサービス」をうまく活用すれば、遠くに住んでいても日々の親の安全を見守ることができます。もちろん、見守りサービスを利用すれば、危険を100%避けられるわけではありませんが、親の身を案じている方にとっては、大いに検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
まずは、このようなサービスがあることをご両親に話し、ご家族で話し合うところから始めましょう。

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