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要チェック! 介護の負担軽減に利用したいショートステイとは?

kurashino

要介護(要支援)の認定を受けた人と同居中の家族が体調を崩してしまった、家を数日空けなければならない。そのような事情から介護が難しくなった場合に利用可能なのがショートステイです。心身ともに疲れのたまりやすい 介護者の休息にもつながるこのサービス。
本記事では、介護保険が適用される公的なケースにしぼって、利用条件や可能な日数、費用等について見ていきます。

介護施設への短期入所 ショートステイとは

ショートステイは、「短期入所生活介護」とも呼ばれ、要介護と認定された人が一時的に介護施設に入所し、ケアを受けられるものです。具体的には、入浴や食事などの日常生活上の支援や機能訓練等のサポートが行われます。

厚生労働省によると、ショートステイは「利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持回復だけでなく、家族の介護の負担軽減などを目的として実施」(※1)されています。また、予防の観点から要支援と認定された人が要介護状態になるのを防ぐために利用することも可能です。

サービスを利用するには、他の介護保険サービス同様、40歳以上から納付義務のある介護保険の被保険者であることが大前提です。そのうち65歳以上で要介護や要支援の認定を受けている人、および40歳以上65歳未満の医療保険加入者で、「初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる病気(特定疾病)により、要介護状態や要支援状態になった場合」(※2)に限られます。
高齢社会となった今、2015年度末の時点でショートステイの利用者数は年間33万人と、2001年度末に比べて2倍以上に増えています。

厚生労働省「短期入所生活介護及び短期入所療養介護 P5」の情報を基に作図

利用方法と注意点 費用負担は

ショートステイの連続利用日数は最大30日ですが、厚生労働省の資料(※3)によると、約7割が14日以内と、2週間以上の利用者はさほど多くないことがうかがえます。

介護保険の適用により、費用の負担は原則1割ですが、住んでいる地域がどの地域区分(1~7級地、その他)に属しているかによって異なり、3割となる場合もあります。サービス費用は、施設の形態、居室の種類、職員の配置などによって異なります。1回の利用で30日を超えた場合、要介護の認定期間を過ぎてしまった場合は全額負担となるため、注意が必要です。

▼介護サービス利用の目安

サービス費用の設定

1日当たりの利用者負担(1割)

要支援1

437円

要支援2

543円

要介護1

584円

要介護2

652円

要介護3

722円

要介護4

790円

要介護5

856円

厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)」の情報を基に作表

また、日常にかかる生活費(食費・滞在費・理美容代など)も別途負担する必要があり、施設ごとに料金が設定されているため、施設を探す際には比較してみましょう。
なお、施設の利用料は、個室、2人部屋、3人部屋など、居室タイプによって設定されており、さらには市民税の納税額によっても料金に違いがあります。
地方都市では、日常生活費を足しても、1日あたり2,000~3,000円で収まることが多いですが、東京23区内では5,000円以上する施設も見受けられるなど、都市部は高い傾向にあります。

なお、厚生労働省のウェブサイトには、介護事業所を検索できるページがあり、近所にある介護施設を探す際に役立ちます。

厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」のトップページのキャプション画像

地域別、目的別に介護事業所を検索できるため、ショートステイを希望する方は、目的別検索から「施設等に短期間宿泊して介護してもらう」を選び、近くのショートステイ利用可能な事業所を調べてみましょう。部屋タイプや日常生活費、算定方法も具体的に掲載されているので便利に活用できます。

なお、ショートステイが可能な事業所は全国で約1万カ所ありますが、そのうち8割以上が、「併設型」「空床型」と呼ばれるもので、ショートステイの専門施設ではありません。空床型とは、長期入所者も使用するベッドに空きがある場合、短期入所者を受け入れる体制もあるという状態です。

これらの事業所の約7割は2カ月前から予約受付を開始し、利用者の半数が1~2カ月前に利用申込みをしているという調査結果もあります(※3)。ですから、実際に利用したくとも空きがない場合が考えられるため、利用を検討するのであれば、早めに行動に移しましょう。
なお、申し込みにあたっては、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、紹介してもらうのが一般的です。初めて利用する施設では、利用者本人や介護者との面談が行われることもあります。

「介護者の休息」のため 6割超え

ショートステイはどのような理由で利用されているのでしょうか。公益社団法人 全国老人保健施設協会の調査によると、6割以上が「レスパイト」と回答しています。これは休息を意味し、2位の「家族の外出」を大きく上回る結果となりました。

公益社団法人 全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における在宅療養支援のあり方に関する調査研究事業 報告書 平成29年3月|図表36 要支援・要介護別利用目的」の情報を基に作図

家族等の介護者にとっては、短期間であっても介護から解放されることで身体的にも精神的にも負担が減り、それが休息のひとときにつながっているのです。すなわち、物理的に介護ができる状況にあっても、日々の介護生活のなかで「少しだけ休憩したい」「自分の時間が欲しい」等の理由からショートステイが使われていると言えるでしょう。

また、介護を受ける側も、外に出て家族以外の人と触れ合い、施設によるアクティビティ等に参加する機会も得られることで、社会からの孤立を防げると期待されています。

また、ショートステイは介護者が病気になったときや冠婚葬祭、出張等により一時的に在宅介護が困難となった際にも頼れるサービスです。介護者の急病などの緊急事態においては、近くの施設が予約で埋まっていても、自治体によって設けられた「緊急ショートステイ」を利用できる可能性があります。一例を挙げると、東京都豊島区では、原則、利用日前日までに予約すれば、7日以内を限度に利用できるとされています。

緊急ショートステイ|豊島区公式ホームページ

突然の事態に備え、自分の住む地域で緊急ショートステイがどのような条件となっているのか、前もって確認しておくと、安心できることでしょう。

医療処置のある療養介護も

介護老人保健施設や診療所、病院のなかには、医療処置も施される「短期入所療養介護」というショートステイもあります。療養生活の質の向上だけでなく、介護者側の心身の負担の軽減を図る目的があり、生活介護同様にレスパイトのための利用が6割を超えます(※3)。

ここには、医師や看護職員、理学療法士等が配置されており、日常生活上の支援等のサービスのほかに、専門家による医療処置やリハビリテーションも受けられるのが特徴です。

実際の利用率は、診療所と病院がわずか3%にとどまり、97%は介護老人保健施設となっています。(※3) 利用者の傷病としては、脳血管疾患や認知症患者が多いようです。
利用を希望する場合は短期入所生活介護と同じく、まずはケアマネジャーに相談しましょう。

厚生労働省「短期入所生活介護及び短期入所療養介護 P20」の情報を基に作図

なお、政府は2018年に長期的な医療と介護の必要な高齢者を対象とした「介護医療院」を創設しており、ここでは短期入所の療養介護サービスを提供しているケースもあるため、今後、受け入れ施設の幅が広がっていくことも期待されます。

まとめ

介護保険の被保険者として公的サービスを受けたい場合、区市町村の窓口で要介護(要支援)認定を受けることが大前提ですが、新規の場合は原則6カ月(最長12カ月)、更新後は原則12カ月(最長36カ月)と有効期間が定められているため、サービス利用時に無効とならないよう更新時期には気をつけてください。

ショートステイは要介護度によって費用が異なり、所得や地域によっても負担割合が変わってくるものです。すぐに利用する予定がなくてもケアマネジャーに相談し、身近にどのような施設があるのか、具体的な料金がどれくらいなのか等、把握しておきましょう。緊急時のために自治体による利用条件等について情報収集しておくことも、いざというときの助けになるはずです。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group12.html

※2 厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護保険とは」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/about.html

※3 厚生労働省 「短期入所生活介護及び短期入所療養介護(参考資料)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168704.pdf

※4 厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 東京都」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/13/index.php?action_kouhyou_pref_search_propose_index=true

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