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アドラー心理学に学ぶ、50代からやり直す夫婦の関係改善方法とは

kurashino

「あなたにとって理想の夫婦関係は?」と質問されたら、どんな風景が思い浮かぶでしょうか。
週末は映画を観に行く、旅行に行ったら手をつなぐ、毎日パートナーと晩酌をする......。10人いれば10通りの"理想的な夫婦関係"があることでしょう。

では、改めて想像してみてください。先ほど想像した理想に、いま隣にいるパートナーを当てはめて考えることはできますか?

夫婦関係は円満ですか?

「『いい夫婦の日』をすすめる会」が、18~69歳の既婚者1,000人を対象にした調査によると、50代の7~8割が、夫婦関係は「とても円満」「まあ円満」と答えています。何とも胸がほっこりする結果ではありますが、これを「結婚歴」という別の視点からみると、そうは言ってもいられません。結婚歴を重ねるほど「とても円満」の回答率が減っているのは見逃せないポイントです。

『いい夫婦の日』をすすめる会『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査|P7 2.夫婦は円満だと思うか」の情報を基に作図

また、同アンケートには、「生まれ変わったとしたら、今のパートナー(夫もしくは妻)を選びますか」という面白い質問もありますが、夫婦円満度別に見ると顕著な差があることがわかります。

『いい夫婦の日』をすすめる会『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査|P8 3.生まれ変わったら、今のパートナーを選ぶか」の情報を基に作図

まとめると、「夫婦円満である」と答えた方は「来世も今の相手と一緒にいたい」と考えていますが、「まあ円満」と答えた方になると、その割合は2分の1以下に......。いやはや、寂しい結果ですね。

いうなれば、結婚した当初は、「来世も共にいたい!」と思っていたはずの円満な夫婦関係は、年月が経つにつれ妥協の上に成り立つ関係となり、それが当たり前になってしまった――というところでしょうか。

50代――夫婦関係を見つめなおしてみましょう

話は変わり、ハヴィガーストという人物をご存じでしょうか。アメリカ出身の教育学者なのですが、彼の代表的な考えのひとつに「発達課題」というものがあります。これは、人が生涯にわたり発達し、幸福になるためには、人生のそれぞれの時期に達成すべき課題をこなす必要がある、という考えです。このうち50代が含まれる壮年期の課題に、「自分と配偶者が人間として結びつくこと」があります。
仕事や子育て環境の変化が生じ始める50代において、夫婦関係を見つめなおし、深い信頼感で結ばれ直すことは、今後の人生の幸福感に関わる重要なポイントだということです。

ここでいま一度、長年付き添ったパートナーと自分との関係を振り返ってみましょう。「嫌いになったわけではない。けれども、どこか諦めにも似た感情もあり、可能ならば関係をより良くしたい。とはいっても、今さら距離を縮めるのは難しいし、気恥ずかしい」。そんな葛藤が芽生えてくる方にお勧めしたい心理学的方法があります。それが、タイトルにもある、「アドラー心理学を背景に考える新しい関係づくり」です。

1分でわかるアドラー心理学のさわり

具体的な方法をお伝えする前に、アドラー心理学について少しだけお話しさせてください。
アドラー心理学は、アルフレッド・アドラー(A,Adler)をはじめ、その後継者たちが発展させていった心理学で、多くの良好な人間関係を築くための理論や思想、心理療法が語られています。それもそのはず、アドラー心理学では、「人間の悩みは全て人間関係にある」と捉えているからです。

アドラー心理学では、人間関係を4つの要素で考えます。

  1. 自分(自分が自分をどう捉えているか)
  2. 相手(相手が自分をどうみているか)
  3. 関係(上司や部下、夫と妻、友人、など、自分と相手の関係)
  4. 環境(自分が所属している生活環境)

そして、人間関係に変化を生むためには、1~4のどれかを変えれば可能だと考えられています。しかしながら、「4.環境」を変えるは、たとえ職場や家を変えたとしても次の環境が良くなる保証はありません。「3.関係」を変えるも、たとえば専業主婦の役割が妻から夫へ移るなどしない限り、難しいでしょう。一番望まれやすいのは「2.相手」に変わってもらうことですが、それが簡単でないことは身をもってご存じの方が大半でしょう。人を介しても、直接話しても、相手に変わる意思がなければ意味がなく、実は最も変えにくい要素です。

残る方法は、「1.自分」を変えること。これこそがアドラー心理学の大きなテーマでもあり、人間関係の改善において最も簡単で確実な方法だということです。そして、いまから提案する方法はそう、「自分を変えて、夫婦関係を良い方向に変えよう」ということです。その手順として、3つのステップを紹介します。

STEP1:原因論でなく、目的思考で考える

一番に行うことは、いまの状態になった夫婦関係に対し、「原因を求めない」「過去を後悔しない」「怒らない」ということです。夫婦関係を振り返ると「どうしてあの時あんなことを言ってしまったのか」「あの時、ああしていれば」など、いまの状態になった原因を探し、悔やみ、悲観的に考えたくなることがあるかもしれません。けれども、まずは過去を1度保留にし、未来に目を向ける"目的思考"を意識しましょう。簡単に言えば「これから何ができるのか」を、いまの私が考えることです。

どうあがいても過去を変えることはできません。であれば、「その時の自分の選択は正しかった」「意味があった」と信じ、今後の困難を乗り越えるための活力を生むことに力をいれましょう。

STEP2:自分を知り、自分を勇気づける

続いては、実際に困難を乗り越えるための活力、アドラー心理学の骨頂でもある"勇気づけ"に関することです。アドラー心理学における勇気とは、「困難を克服する力」のことです。これは、生きていくなかで生じるさまざまな課題や困難に立ち向かうこと、一歩前に進むために必要な力のことを指し、その力を得られるよう対等の立場で援助することを「勇気づけ」と言います。
夫婦関係の改善でたとえると、いままで改善したいと思いながら動けなかったという状況は、自分自身の課題に立ち向かう勇気がくじかれていたことが問題、ということになります。そして、このくじかれた勇気を取り戻すことが課題解決の肝となる、というわけです。

では、今すぐ自分に対してできる簡単な勇気づけの方法をお伝えしましょう。まずは、自分で自分を表現してください。わかりやすくいうと、一人自己紹介です。これは、アドラー心理学のなかで「セルフトーク」と呼ばれています。具体的にいうと、「私にはリーダーシップがある」「私は気を遣える」など、主語を付けながら自分を表現することです。
紙に書き、視覚化しながら取り組むことがおすすめです。これ以上は出ないというところまで自分について考え、自分が自分をどのように捉えているかを知りましょう。

このセルフトークを書き出すと、おそらくですが、自分で本来培ったセルフトークと、人から言われた言葉がそのままセルフトークとなったものが出てくると思います。お気づきのとおり、このセルフトークは、知らぬうちに自分のイメージを作り上げてしまうほど影響力が強いものなのです。

セルフトークによって作り上げられるイメージを「セルフコンセプト」と言います。ネガティブなセルフトークは、ネガティブなセルフコンセプトを作りあげてしまいます。これは、自分で自分のことを信じられないなど、困難に立ち向かう力を削いでしまうことにもつながります。

大切なのは、自分自身に勇気を与えること。ポジティブなセルフトークはあなたの強みです。そのまま大切にしてください。
ネガティブなセルフトークが出てきたら、それをポジティブな言葉に変換し、最新のセルフコンセプトを作りましょう。これが出来上がったとき、「どうせまた失敗する」「自分も○○がなければできていたんだけどなあ」という言葉は、こころから消えているでしょう。

STEP3:接し方を変えよう

人間関係のなかで最も変えにくいのが、相手です。しかし、ここが変わらなければ人間関係はなかなか変化しません。ここでは相手への接し方について考えてみましょう。

STEP2で、「言葉の選び方には技術があるのでは」と思われた人もいるかもしれません。しかし、STEP3で肝心なのは、「相手の存在を理解しようと努力すること」です。パートナーの姿をよく観察し、小さなことでも積極的に関心を持つようにしましょう。相手が、何をしている時に、どんな表情で、どんな言葉を使って、どういうものの見方をしているのか、知ろうとしてみてください。図鑑を書くようなイメージで客観的に知ろうとするのも良いでしょう。すると、自分と相手は同じものを見ても、違う見方をしていることに気がつき、相手のことを色眼鏡をかけずに捉えられるようになります。この時点で、夫婦間に何らかの変化が生じる方も出てくることでしょう。
自分と相手の考え方、物の捉え方の違いの理解が進むと、相手の行動を予想したり、先んじて起こりやすそうなトラブルを回避したりすることができるからです。

ここでもうひとつ、この後にしていただきたい行動は、「ありがとう」「うれしい」「助かるよ」などの感謝の言葉を伝えることです。行動を受け止め、認める言葉は、言われた側に「役に立っているんだな」「頑張ってみようかな」と、力を与えます。もう気づいた方もいるかもしれませんね。感謝の言葉は、一番簡単で効果的な相手への勇気づけでもあるのです。
とはいえ、なかなかいままで口にしてこなかったぶん、第一歩を踏み出すのが難しい方も多いでしょう。そういった場合は口に出す前段階として、メモに「ありがとう」と書いて机に置くなどしてください。感謝の言葉に慣れることができますし、仮に相手から「口で言いなよ」と言われてたら「そうね、次から口に出そう」と、堂々と宣言もできます。これを習慣化すると、お互いの口からポジティブな言葉が自然と出てくるようになります。これが関係改善のひとまずのゴール、または新しい関係の始まりといえるでしょう。

最後に

夫婦関係は、いくつものポジティブな面とネガティブな面を持ち合わせる多面体です。しかし、それはいくらでも柔軟に捉えなおし、変化させることができます。まずは、自分自身を、次にパートナーを見つめ、知り、理解すること。そのうえでパートナーに感謝の言葉を伝える習慣を作ること。これが、どの夫婦関係にも共通する、良い関係づくりの方法です。
これからの未来を創造するために、まずは今日、どうして夫婦関係を見直したいと感じたのか、自分の目的を探してみるのはいかがでしょうか。

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