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パート勤務でも介護休業を申請できる? 要介護認定は必要?その条件や給付金について

kurashino

親の介護が必要になったとき、仕事との両立に悩む人は少なくありません。
特にパートタイムで働く人の場合、出来るだけ収入は確保したい一方で、長期の休暇や休業を認められるだろうか、と疑問に思うことは多いでしょう。
ただ、現状の制度では、一定の条件を満たしていればパート勤務でも「介護休暇」「介護休業」を申請することができます。
安易に退職を考える前に、確認しておきましょう。

介護休業上の、要介護状態とは

介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために、労働者に一定期間の休業が認められるというものです。
具体的には、通算93日の休業を取得でき、3回までなら分割して休業することが可能です。

この場合の「要介護状態」の判断基準はふたつあります。ふたつのうち「いずれか」に該当すれば介護休業の対象になります。

  1. 介護保険制度でのいわゆる「要介護認定2以上」であること。
  2. 介護保険制度での「要介護認定」を受けていなくても、下の12の項目のうち「2」がふたつ以上、または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められる場合。
項目\状態 1
(注1)
2
(注2)
3
①座位保持(10分間一人で座っていることができる) 自分で可 支えてもらえればできる
(注3)
できない
②歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる) つかまらないでできる 何かにつかまればできる できない
③移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作) 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
④水分・食事摂取(注4) 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑤排泄 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑥衣類の着脱 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑦意思の伝達 できる ときどきできない できない
⑧外出すると戻れない ない ときどきある ほとんど毎回ある
⑨物を壊したり衣類を破くことがある ない ときどきある ほとんど毎回ある
(注5)
⑩周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある ない ときどきある ほとんど毎回ある
⑪薬の服用 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑫日常の意思決定(注6) できる 本人に関する重要な意思決定はできない(注7) ほとんどできない

(注1) 各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。
(注2) 各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高年齢者等の場合に必要な行為の「確認」「指示」「声かけ」等のことである。
(注3) 「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。
(注4) 「④水分・食事摂取」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。
(注5) ⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。
(注6) 「⑫日常の意思決定」とは毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。
(注7) 慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。

図1 介護休業における「要介護状態」の判断基準(出所:「育児・介護休業制度ガイドブック」厚生労働省) p11

上記に当てはまる場合は、要介護認定を受けていなくても介護休業の対象になり得ます。

そして、パートタイムやアルバイトといった呼び方に関係なく「有期契約労働者」の場合は、申出時点で、下記の要件を満たしていれば介護休業が可能です。

  1. 入社1年以上(同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること)
  2. 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6カ月経過する日までに労働契約(更新される場合には、更新後の契約)期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

「2.」の項目は、休業後職場復帰することが前提で、それが明らかになっている必要がある、と考えると良いでしょう。

介護休業中の給付金について

介護休業中は、会社からの給料は支払われませんが、条件を満たせば「介護休業給付」が支給されます。

上述の介護休業の条件を満たす人で、さらに以下の両方に該当する必要があります。

  1. 雇用保険の被保険者である
  2. 介護休業開始前2年の間に、1年以上雇用保険に加入している

ただ、「2.」については、1年以上の雇用保険加入がなくても、介護休業開始日前2年のあいだに自分の病気などがあった場合は受給要件が緩和されるため、条件を満たす可能性があります。

給付金額ですが、原則として賃金の67%の金額が給付されます。
賃金の月額ごとに見ると、概ねこのようになります。

  • 平均して月額15万円程度の場合、支給額は月額10万円程度
  • 平均して月額20万円程度の場合、支給額は月額13.4万円程度
  • 平均して月額30万円程度の場合、支給額は月額20.1万円程度

ただし、給付額には上限があります。
介護休業給付金は、ハローワークに申請後、審査を経て「介護休業給付支給決定通知書」が交付されることで給付が始まります。通知書にある支給決定日から1週間程度で振り込まれます。必要書類などの問い合わせ先は、地域のハローワークです。

また、支給・不支給の決定に不服がある場合には、決定をしたハローワークを管轄する都道府県労働局に不服の申し立てができます。
支給・不支給の処分決定日の翌日から3カ月以内に、都道府県労働局の雇用保険審査官に直接文書や口頭で審査請求をする必要があります。

決定をしたハローワークや自宅住所を管轄するハローワークを経由して審査請求をすることもできます。
手続きの方法は、都道府県労働局の雇用保険審査官に問い合わせるのが良いでしょう。

介護休業中に受けられる公的支援や注意点

介護休業中の公的な経済支援としては、他にもいくつかの制度があります。

ひとつは保険料の支払い免除です。
介護休業中は勤務先から給与が支払われない、という場合には、雇用保険料の支払いが免除されます。
また、介護休業給付は非課税ですので、給付金から所得税や復興特別所得税を差し引かれることはありませんし、翌年度の住民税決定の際の収入には含まれません。

なお、介護休業を申請するにあたって、介護の対象である家族が要介護状態であることの証明書類を求められる場合があります。この場合は、可能な範囲で対応しなければなりません。
「証明書類を医師の診断書でなければならないとすることは望ましくない」というのが厚生労働省の見解ではありますが、何が証明書類になるかは会社によって異なります。会社の就業規則で求められているものを提出することが望まれます。

しかし、介護をしていると、その都度診断書をもらいに行く等いろいろな書類を揃える手間が取れないということもあります。もし提出できなかったとしても、介護休業を取れなくなるということはありません。休業させないことを事業者は禁じられているためですます。

トラブルが生じた際の解決援助

パートタイムで働く人でも、介護休業を取得できることは知られつつありますが、「申請しづらい」「職場で不当な扱いを受けるのではないか」といった心配はまだ残ることでしょう。

就業規則などでしっかり確認しておきたいところですが、「話が違う」「納得がいかない」といった場合には労働局に申し出ることができ、労働局長からの助言や指導に基づく解決援助や調停によって解決を支援してくれる「紛争解決援助制度」があります。

話を大きくしてしまうと余計に嫌がらせを受けるのではないか、という懸念もあるかもしれませんが、紛争解決援助制度は外部に申立者や事業者の名前が出るものではなく、プライバシーが保護されています。
また、紛争解決援助制度を利用したことを理由に、事業主がその労働者に解雇や配置転換、減給などの不利な扱いをすることは禁止されています。
もちろん、事前に詳細を相談できる場所が社内にあるのがベストではありますが、もしトラブルになった時にはこのような方法があることを知っておきたいところです。

諦める前に1度確認を

これまでは介護となると、「パートの仕事はやめざるを得ない」という雰囲気があったかもしれません。
しかし、パートタイムで働く人が増えていること、パートタイムと正社員のあいだでの取り扱いの格差をなくす必要性が企業に強く求められるようになっています。

親の介護が必要となった場合はまず、給付金制度をはじめ、整備されている内容を把握し、退職については慎重に考えたいところです。

給付金や保険料支払いの免除などによって、今の仕事を続けた場合と手取り収入がどう違うのか、それによる家計への影響がどうなるのか、1度シミュレーションしてみるのも良いでしょう。

また、企業によっては介護休業を取得できる対象者の範囲を広くしていたり、勤務時間の短縮や繰り上げ(繰り下げ)に対応したりするところもあります。

いざという時にトラブルにならないよう、まずは就業規則を確認するところから始めてみましょう。

介護の最大の特徴は「いつまで続くかわからない」ことです。休業はひとつの手段と認識のうえ、他にはどのようなサービスがあって、どのサービスを使っていくのか、早い段階から検討しておく必要もありそうです。

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