夫婦・家族 夫婦仲 自分のこと

我が子が巣立った後、「老後」=セカンドライフを考えてみる(後)ライフプランはいつも前倒しで

kurashino

前回は、『わが子が巣立ったあとの「老後」について』ということで、わが子が巣立ったあとの過ごし方のうち、「自分のことは自分でできる」余裕がある年代についてご紹介しました。今回の2回目は、「自分のことが自分でできなくなる」時の過ごし方、向き合い方、備え方です。

自分が「できると思う」ことと、他人が「できると判断する」ことのずれが大きくなるのは当たり前

年齢を重ねていくにつれ、カラダの自由が利かなくなり、誰かの助けを借りなければできないことが増えてきます。それだけではく、新しいシステムや仕組みをとりいれて使いこなしていこうとする気力・理解力が弱っていきます。

最近の例では、コロナショックを機に、Zoomでのリモート会合などが急激に普及しました。このように以前では考えられなかった出来事がきっかけとなって、世の中の仕組みは突然大きく変わります。このような新しい仕組みは若者・現役世代ならば馴染むのにそれほど時間はかかりません。

では、同じように65歳以上の方にとってはどうでしょうか?

例えば、遠隔での健康状態や住まいの安全管理を監視する見守りシステムのようなもの(以下見守りシステム)については、コロナショックで子ども世代との行き来が難しくなったからといって、急速に普及するとは考えづらいです。

確かに、日本ではこれから少子高齢化が進み、要介護者に対して介護する人が不足することは明らかですが筋書き通りには進まないのはどうしてでしょうか。

見守りシステムが普及するには、「使いこなせる人」の数も増えなければなりませんが、それには、監視する側(子ども世代)とされる側(老親世代)の両方が使いこなせることが必要だからです。

見守りシステムといっても、機械ですから誤作動はつきものです。場合によっては老親世代からも管理センターに異常を知らせなければならないときもあります。

ですが、いろいろなボタンが並んでいても、いったいどれを押せばいいのか、そもそも異常なのかどうかもわからなくなりがちです。異常音、異常作動の見分けがつかなくなることもあります。

クライアントのお母様で、見守りシステムを入れて、警告音をお母様のご自宅に鳴らし続けたけれど、耳が遠くなってしまい大音量でテレビをつけっぱなしにしている彼女のもとには警告音が届かず、結局、ご近所の方に確認してもらったというエピソードを聞いたことがあります。

昔から住み慣れた自宅で最期を迎えたいという思いは、たくさんの前提条件が揃っていなければ叶わないということを早くから理解しなければなりません。異常があればすぐに駆け着けることができるほどの距離に近親者がいるというは1つの前提条件ですが、2つ目として老親の健康状態が単身での生活に耐えられると客観的に判断できることも大切です。

このうち2つ目の条件は、誰にも避けられない「老い」を考えると、日々あてはまらなくなると考えるべきです。更に難しいのは、老親自身が「大丈夫」と思っていることと、まわりが客観的に「この人は大丈夫」と判断できることの差が大きくなることです。

年齢を重ねるほどに、「他人に耳を貸さなくなる」と言われますが、これは誰にでもあてはまると言えるでしょう。他人からのアドバイスが受け入れられなくなる、自分の価値観以外のものを受け入れられなくなる、というのは自然の流れです。

2つのやるべきこと:1つ目は施設候補のピックアップ

この現実と向き合う余裕があるうちに、入所する施設の候補を絞り込んでおく、という心の準備をしておくのが理想です。

どうしようもならなくなってから慌てて探しても、満足のできる施設にめぐり逢うことは難しいです。また症状は季節の変わり目やちょっとした刺激で徐々に悪化していたところが急に進行してしまいます。

以前から血流があまりよくなかったが、季節の変わり目や風邪を引いたきっかけで、脳梗塞が形成されてしまって突然カラダが不自由になってしまった、などという例はよくあることです。

当たり前の「日々、カラダは弱っていく」という現実から目を背けずに、自分の入所する施設候補を決めておきましょう。そうはいっても、介護保険でカバーされる老人ホームに入所するには、要介護要件などを満たさなければなりませんから候補を絞るのは難しいですが、「この条件は優先したい」といった優先項目だけでもはっきりさせておきましょう。

施設入所の場合、介護度・一時金や月々にどれくらいかかるのか、どこまでが月額請求費に含まれていて、どのサービスはオプションなのか、についてはしっかり確認しなければなりません。

ちょっと調べものをすることもだんだん億劫になってしまいがちです。自分の衰えを見て見ぬふりをして放置せず、早めに最低限の準備だけは済ませましょう。いよいよ自分で自分のことができなくなって、また身よりがいなくなってから、行政のお世話になる(最悪の場合は生活保護)場合でも施設入所はできますが、受け入れ人数が限られているため条件はかなり厳しくなります。

2つのやるべきこと:2つ目は、財産管理を誰にどのように管理してもらうかを決めておくこと

2つ目は、自分の資産管理を第三者に託す準備をすることです。前回ご紹介したエンディングノートという名の備忘録に自分の資産についてまとめておく作業をしているという前提で、その資産の管理をいざとなったら「誰に任せるか」をはっきりさせておかなければなりません。乱暴な言い方ですが、自分が死んだ後のことは基本的には、遺族が処理をすればいいのですが、問題は自分がまだ存命の間でも自分の財産を管理することはできなくなった、自分のことを自分でできない。こうなる前にきちんと準備しておかなければならないのです。

このような財産管理の一つとして、任意後見契約をご紹介します。

信頼できる家族、もし家族がいない場合は福祉法人や法律専門職に、自分の財産の管理を委託するものです。現金・預貯金・不動産・有価証券などの管理、税金、公共料金、保険料などの支払いなどがあります。

「判断能力が低下する前に」後見人になってもらいたい人と契約を結んでおいて、判断能力が十分ではなくなってからその契約を有効にするしくみです。

ポイントは、判断力能力が低下しなければ契約はスタートしないということと、「判断能力が低下する前に、あらかじめ」契約しておかなければならないという点です。

判断能力はまだあるが、カラダが自由にならず、生活費を下ろしたり手続きに役所に出向いたりするのが難しい場合は、任意代理契約(財産管理等委任契約)で、判断能力が低下した場合に、任意後見契約に移行するというしくみをあらかじめ設定しておくケースもよく聞かれます。

自分の判断能力が低下したかどうか気づくことが制度移行の前提になりますから、定期的な訪問によって心身の状態をチェックしてもらう見守り契約も併せておけば安心です。

常に前倒しで「老い」と向き合う勇気を持つ

これらご紹介してきたことで共通して言えるポイントは、「今と、将来の自分と向き合う」ことです。

先延ばしにしたり、見て見ぬふりをしたりしても、結局自分のことは自分で責任をもっていくことが今後ますます求められていくでしょう。

情報収集する、専門家のアドバイスを聞くという柔軟な態度も意識して持ち続けることが大切です。

HOT

-夫婦・家族, 夫婦仲, 自分のこと
-