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老後も心豊かに暮らすための「生涯学習」、その種類と選び方を学んでみよう

kurashino

生涯学習とは文字どおり、生涯にわたり学習を続けることです。仕事を持っているあいだは実務的なことに目が行きがちですが、退職してからも何かに興味を持ち、学び、知ることは日々の生活を豊かにしてくれるものです。

しかし、突然そう言われても何をどうすれば良いのかわからず、定年が近づくと途端に戸惑う人もいます。ですが、難しく考える必要はありません。

引退後の学び直し

内閣府の調査によると、学校を出て一度社会人(主婦・主夫)となった後に、再び大学や大学院に通い、または公開講座等をとおして勉強する意欲のある人は、36%にのぼっています。(※) ここには、「学んだことがある/現在学んでいる」も含まれており、すでに学習を進めている人も少なくありません。年齢別では、50代60代の3割以上が、実際に経験していたり、また学習してみたいと考えた経験があるとされています。
人生の半分を過ぎてもなお、学びたいと考える人の多くは、「教養を深める」「人生を豊かにする」ことを主目的に置いているのではないのでしょうか。

「生涯学習」というと、こうした学校に通い、席について勉強するもの、というイメージが強いかもしれませんが、「学ぶ」というのはもちろんそれだけではありません。
ソニー生命が50~79歳の人を対象に行った調査によると、「今後、学習していきたいこと」には幅広い内容が含まれています。

ソニー生命「シニアの生活意識調査2018|図2 シニア層が今後学習したいこと」の情報を基に作図

民間の音楽教室や健康のためのプログラム、美術や料理といった「趣味」についても、その知識を深めるための勉強をしたいと考えられる対象です。

「生涯学習」とは、生涯にわたって何かを「学び続ける」「知識を増やし続ける」ことです。これまでの趣味を深めることもそうですが、やってみたいと思っていたものの現役時代には時間の余裕がなかったこと、あるいはこれまでの人生で関わってこなかったようなまったく新しいものに目を向けてみるのも良いでしょう。

「認知症防止」と考えてはいけない

老後の習い事について、よく「認知症にならないために何かをしておいたほうが良さそう」のように言われることがあります。たしかに、新しい知識を身につけ、継続すること、手先やからだを動かすことは、認知症防止の一助となり得るのでしょう。

ただ、「自発的」でなければ、人生を豊かにするという意味合いは薄れてしまうかもしれません。もちろん最初は勧められて始めたものがどんどんのめり込んでいき、いつしか自主的になっていった、というのは非常に良いことです。しかし、「これまでやったことのない」ことに対し、ちゅうちょしてしまう人は多いようです。「何の知識もないのに本当にできるかなあ」となってしまうパターンです。

音楽が好きで、実際にサックス奏者でもある筆者が、定年を間近に控えた上司から声をかけられたのは、「ピアノを弾けるようになりたいけれど、楽譜も読めないのに大丈夫かなあ」というものでした。一方で50代になった先輩から「俺もサックス始めてみたよ!」と声をかけられたこともありました。
ジャズなどを聴くのは好きだったけれど自分で演奏しようとは思わなかったその人にも、何かきっかけがあったのでしょう。かつ「今から始めれば定年後も楽しめる」という計画もあったようです。

楽譜を例に取ると、実はそんなに高いハードルではありません。人生のなかでまったく無縁だったわけではなく、小中学校の音楽の授業ではある程度教わっていますから、触れているうちに「思い出す」ものです。

筆者のサックスの師匠の元では、60を過ぎて初めて楽器に触れるという生徒さんも少なくないそうです。もちろん教える人はプロですから、その人の経験値に応じて楽しさを引き出してくれるものです。

また、こうした「習う」ものばかりが生涯学習ではないと筆者は考えます。たとえば、自宅の周辺を散歩したりウォーキングしたりする習慣がある人なら、河原に花が咲いていたり、鳥の鳴き声が聞こえたりすることに気付く人も多いことでしょう。
現役の頃は「健康のため」「メタボ防止」を目的に始めた人も多いかもしれません。ですが、退職後はせっかく時間が増えるのですから、よく見る花を図鑑で調べてみる、野鳥に興味を持ってバードウォッチングを始めてみる、そしてこれらに継続して取り組めるならば、それが日々を潤すものになるのは間違いありません。さらには、写真に興味が湧いたり、双眼鏡のレンズについて妙に詳しくなったりと、知識の世界というのは無限に広がっています。
「何かを知っている」というのはそれだけで純粋に楽しいものです。身近なことから興味の枝葉を広げていくのもまた「学習」です。

人前での発表は必須ではない

習い事やスクールのようなものになると、コンクールや発表会のようなものが気になる人もいるかもしれません。人付き合いも出てきます。それがモチベーションになる場合もあれば、積極的になれない人もいることでしょう。

ここに、放送大学の在学者に関する意外なデータがあります。テレビ放送で講義が行われ、必要に応じてテキストを購入する「放送大学」ですが、その在学者の4割強が「50代以上」というものです。

内閣府「平成29年度高齢社会対策の実施の状況|図3 放送大学在学生の年齢別内訳」の情報を基に作図

放送大学のメリットは「好きな講義だけを聞くこともできる」という点でしょう。また、自分が何についてもっと知りたいのかが漠然とした状態でも、無料トライアルとして、まずは講義を受けてみるという方法もあるのです。そこから自分の関心ごとが生まれ、テキストを購入して興味の幅を広げていくのも良いでしょう。

通学して多くの人に囲まれることもなく、ひとりで自分のペースで学べる点は、人付き合いに煩わされずに学びを深めたい人に適したスタイルと言えるのかもしれません。

まとめ

教養がいろいろな形で、日々の生活を豊かにしてくれるものであることは、間違いありません。多くのことに気づき、常に新鮮な気持ちで毎日を過ごす大きなツールであるとも言えます。

また、定年後の夫婦の話としてよく聞く、「夫が毎日家にいるようになって妻が疲れる」という状況の解消にも役立つ場合があります。仕事を辞めてしまうと日々の会話の話題が乏しくなりがちですが、常に何かを学び続けていることで、話のバリエーションも広がることでしょう。夫婦で同じ習い事がするのも楽しいことですし、それぞれに関心ごとを持ち、お互いの時間を尊重して過ごす日々も素敵です。さらには、知識をシェアするというのもまた楽しいことです。

このように、学習をきっかけにどんなセカンドライフが始まるかは、わかりません。予想もしていなかったチャレンジをしている可能性もあるでしょう。
何も大きく構えたりハードルを感じたりする必要はありません。ちょっとしたきっかけから始めたことが自分のなかで育っていくのを実感するのもまた楽しい過程ではないでしょうか。

好奇心を失わない人は、対象が何であれ若々しさを保っているものです。ぜひ生涯学習に目を向け、いつまでもこころ豊かな生活を夫婦ともに楽しめるとよいですね。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※ 内閣府「生涯学習に関する世論調査の概要|大学などでの学習に関する考え方」
https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-gakushu/gairyaku.pdf p7

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