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老老介護を防ぎたい! 今からできる対策とは?

kurashino

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」。全人口における高齢化率の上昇や「夫婦のみの世帯」の増加などによって増えています。
老老介護は介護者の負担が大きく、共倒れになりかねません。なるべく老老介護を防ぐために、今からできることはあるのでしょうか?

そこで今回は、老老介護の概要と現状、老老介護が増加する原因をはじめ、老老介護の問題点や対策についてまとめました。離れて暮らす両親が心配な人や、老老介護の対策を知りたい人にとって参考になれば幸いです。

老老介護とは?

「老老介護」とは、介護する人も介護される人も65歳以上の高齢者であることをいいます。関係性は夫婦に限らず、兄弟や親子の場合もあります。

内閣府の調査によると、主な介護者は同居している人が58.7%で、配偶者が25.2%と最も多いことが分かりました。年齢は、男性では70.1%、女性では69.9%が60歳以上であり、老老介護が多いことも推測できます。

内閣府「令和元年版高齢社会白書(全体版)|2 健康・福祉」の情報を基に作図

また、厚生労働省の調査「要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ」によると、老々介護の割合は、どの年代も増加傾向にあります。今後も、高齢化が進むにつれて、老老介護は増えると考えられます。

厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概要 |Ⅳ 介護の状況 P31」の情報を基に作図

老老介護が増加する原因

老老介護が増加する原因は、主に2つあります。

平均寿命と健康寿命の差

ひとつは、平均寿命と健康寿命の差が挙げられます。
平均寿命とは、0歳時における平均余命のことです。健康寿命とは、心身ともに健康で日常生活が制限なく送れる期間をいいます。
平均寿命と健康寿命の差が開けば開くほど、介護が必要な状態が長くなってしまいます。

内閣府「令和元年版高齢社会白書(概要版)|第2節 高齢期の暮らしの動向」の情報を基に作図

また、内閣府のデータから、健康寿命の延びが平均寿命の延びを上回っていることが分かります。

▼健康寿命と平均寿命の差

 

令和元年のデータ

(平成22年と平成28年の比較)

平成29年のデータ

(平成13年と平成25年の比較)

健康寿命(年)

平均寿命(年)

健康寿命(年)

平均寿命(年)

男性

1.72

1.43

1.79

2.14

女性

1.17

0.84

1.56

1.68

内閣府「令和元年版高齢社会白書(概要版)|第2節 高齢期の暮らしの動向」、内閣府「平成29年版高齢社会白書(概要版)|3 高齢者の健康と福祉」の情報を基に作表

今後も健康寿命の伸長が望まれますが、そうでない場合は老老介護が増える一因になります。

「夫婦のみの世帯」の増加

家族形態が変化し、65歳以上の人がいる世帯では「夫婦のみの世帯」が増加しています。
昭和55年では、三世代世帯の割合が全体の半数を占めていました。ところが、平成29年では夫婦のみの世帯が最も多い家族構成になっています。
夫婦のみの世帯だと、主介護者は夫婦のどちらかになってしまいます。子どもがいたとしても、仕事や育児で忙しかったり遠くに住んでいたりすれば、両親の介護は難しく老老介護につながるでしょう。

老老介護の問題点

老老介護になると、以下のような問題が起こります。

心身ともに負担が増える

介護は重労働です。寝たきりになり、からだが自由に動かなくなればなるほど、介護者の負担は増えます。また、身体面の負担だけでなく、精神的な負担も増えます。自分だけの時間がとりにくくなり、ストレスがたまりやすくなります。要介護者の状態は一定でないので、常に観察し、最適な方法を考え、実施しなければいけません。これは、かなりのプレッシャーです。
高齢者であれば持病を抱えている人も少なくないので、他の年代が感じるより大きな負担になるでしょう。

異常の早期発見が難しい

高齢になるにつれて、身体機能や判断力が低下します。たとえば、要介護者がトイレで転倒したとしましょう。自力では動けないので助けを呼びますが、介護者は耳が遠く聞こえません。そうすると、発見が遅れてしまいます。そして、ケガの有無や病院に連れていくべきなのかなど判断し、適切に対処する必要がありますが、これらもひとりで対応するのは大変です。
このように突発的なこと以外にも、介護をしていると判断すべきことがたくさんあります。
異常の早期発見ができないと、介護生活を続けるのも難しくなります。

介護以外の負担が増える

家事全般をこなし、家計を切り盛りしていた妻が倒れて、寝たきりになったとします。夫は介護に加えて、家事をこなし、家計を管理しなければなりません。これは慣れるまでどの世代の人にとっても大変なことですが、高齢者にとってはなおさらでしょう。

老老介護を防ぐために。今からできる対策

では、老老介護を防ぐために、できることはあるのでしょうか? これまでの内容を踏まえながら、老老介護にならないよう今からできる対策をまとめました。

健康状態を維持する

先述のとおり、老老介護の原因のひとつは平均寿命と健康寿命の差が開くことです。そのため、健康的な生活習慣を心がけ、健康寿命をできるだけ延ばすことが大切です。

厚生労働省では、健康寿命を延ばすために「スマート・ライフ・プロジェクト」を推進しています(※)。そのなかで取り上げられているのは、以下の4つです。

  • 毎日10分の運動をプラス
  • 1日あと70gの野菜をプラス
  • 禁煙でタバコの煙をマイナス
  • 健診・検診で定期的な健康チェック

できるものから少しずつ取り入れ、健康寿命を延ばしましょう。

また、友だちと会ったり趣味を楽しんだりすることもおすすめです。刺激のある生活は、脳の活性化や精神面の安定につながります。体調が良いときは、家に閉じこもらず、はつらつとした生活を送りましょう。

家族や親戚と話し合い、協力体制をつくる

介護が必要になったときのことを考え、健康なうちに話し合いをすることをおすすめします。話し合う主なポイントは、以下の通りです。

  • 自宅で過ごすのか、施設に入所するのか
  • 誰が介護をするのか
  • 主介護者の他に、手伝ってくれる人はいるのか

介護は、いつどのように始まるか分かりません。余裕をもって話し合うことで、介護する人もされる人も、納得のいく介護生活につながります。もちろん、細かいことは介護が始まってみないと分かりませんが、あらかじめ話し合うことで周囲の協力を得やすくなります。
ご近所づきあいがうまくいっているのであれば、近所の人も頼りになります。ときどき様子を見てもらったり、異変に気づいたときに連絡をもらえるようにしたりすると安心です。

介護保険サービスの概要を把握する

介護保険サービスでは、少ない自己負担でさまざまなサービスを受けられます。万が一、老老介護になったとしても、プロの介護が受けられれば大きな支えになります。しかし、利用するためには介護認定を受けなければなりません。どのように申請し、利用するのか、どのようなサービスがあるのかを把握しておきましょう。概要だけでも知っていると、いざというときに焦らずに済みます。
役所だけでなく、地域包括支援センターでも情報を得ることができます。市町村独自にサービスを展開している場合もあるので、気軽に訪れてみてください。

施設への入所を視野に入れる

自宅での介護だけが方法ではありません。持病や環境などにより自宅での介護が難しい場合、施設入所も検討しましょう。
施設にはさまざまな種類があり、入所の条件や特徴が異なります。まずは大まかに把握し、いざというときは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しながら決めましょう。

まとめ

老老介護は、心身ともに大きな負担がかかります。
まずは、介護が必要になったらどうするか、両親と話してみましょう。できるだけ健康寿命をのばすため、生活習慣を見直すことも大切です。

そして、介護が始まったら、子どもも両親も自分だけで抱え込まず、周囲を頼ってください。親戚や近所の人、社会的サポートなどを活用し、少しでも老老介護のリスクを減らしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※厚生労働省「健康寿命をのばそう!Smart Life Project『スマート・ライフ・プロジェクトについて』」
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/about/

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